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渚さんはガベージダンプを猫と歩む。  作者: 紫炎
第2章 ルーキーズライフ
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第048話 渚さんと楽しいショッピング

 ルークとライアンが話している間にも狩猟者ハンター管理局で無事入金も終えた渚たちは、管理局を出て今は街に出ていた。


「さて、お金も入りましたし。ちょっと機械市場に行きましょうか?」


 リンダのその言葉に渚が首を傾げる。その後の予定は聞いていなかったのだが、機械市場というのも渚は知らなかった。


「なあリンダ。機械市場って何だ?」

機械人オートマータがやっている市場ですわ」

機械人オートマータ? ミケ、知ってるか?」

『言葉の意味は分かるけど、それがどういう意味を指しているのかは分からないね』


 そうミケが返すと、リンダが「見て貰えば分かりますわ」と言って踵を返して歩き出す。そして、渚を連れてリンダの向かった先は街の入口に近い広場で、そこには幾つものテントが並んでいた。

 それぞれで何かしらの販売をしているらしく、どうやらそこが市場のようなのだが……


「あれ、ロボットだよな。ミランダの親戚か?」

『いや、規格が違う。アレは僕にも分からないね』


 渚の問いにミケがそう返す。

 それぞれのテントにいるのは人間ではなくロボットのようだった。それもミランダのようないかにもロボットと分かる姿ではなく、マネキン人形に近い形状のロボットだ。


「彼らがわたくしたちに銃を売ってくれているのですわ。マシンアームなども扱っておりますし、メンテナンスなども基本的には彼らに頼っていますの。だからここは狩猟者ハンターにとっては、なくてはならない場所ですわね」


 そのリンダの言葉にミケが興味深そうな顔で『へぇ』と口にする。


『リンダ、彼らはここの住人なのかい?』

「いいえ、ミケさん。機械人オートマータの方々は群馬圏か栃木圏に拠点があるそうで、ここまで森を抜けてやって来ていますのよ。いわゆる出稼ぎというヤツですわね」

「出稼ぎかぁ。大変なんだな」


 渚が妙なところで感心したが、ミケの方は『森をね』と口にするとそれ以上は何も言わなかった。それから渚が近くまで進んでいくと、機械人オートマータが『ラッシャイ』『ラッシャイ』『ラッシャイ』『ラッシャイ』『ラッシャイ』と次々と声をかけてきた。その勢いに圧倒されながらも、渚は先に進むリンダの後を追っていく。


「なんか色んなもの売ってんな」

「あらゆる銃器が揃っていますのよ。さて、ナギサ。あそこで買い物ですわ」


 そうリンダが言いながら、テントのひとつに足を運んだ。


『ラッシャイ。オヤりんだカ。今日モいきノイイらいふるガ揃ッテルヨ』

「どうもデウスさん。けれどライフル銃ってわたくしの腕だと当てるの難しくて。そういえばナギサは得意ですわよね」


 リンダからの言葉に渚は「まあなぁ」とだけ返す。ナギサの射撃の腕はマシンアームとチップの力によるところが大きく、得意かと言われれば首を傾げてしまうのだが、リンダからしてみれば渚のライフル銃の腕前は神がかっているレベルであった。


「けど、ライフル銃ならあるし、予備も持ってるしなあ。で、どんぐらいなんだよ?」

『らいふるナラ大体十万カラ、拳銃ハ5万カラスルヨ。弾丸ナラ対装甲弾一箱5000円ダネ。20発入ッテルヨ』


 そう言って機械人オートマータがフリフリと弾丸が入っているらしい箱を振っている。


「やっぱり銃弾ってそんなもんなんだな」

「ええ、ライフル銃の弾ならそうですわね。まあ、対装甲弾頭は5万近くしますけど」


 リンダの言葉に渚が「高っ」と声をあげた。


「リンダ、そんなもんポカポカ撃ってたのかよ」

「普通は使いませんわよ。アーマードベアだって捕縛弾で捕らえるのが一般的で、あんな派手に撃つことは稀です。ただ、惜しんでいては死んでしまいますし」

「まあ……そりゃあ、そうだな」


 リンダの言葉に渚は頷く。グレネードランチャーから撃てる対装甲弾頭は、先日のアーマードベア戦でも非常に役に立っていた。対装甲弾頭がなかったならば、今リンダが渚の横に立っていることもなかったはずである。


機械人オートマータではない人間がやってる中古店なら、もっと安いものも買えますけど、安全性を考えるとこちらで購入する方が良いのですわ」

『人間ノめんてなんすハ信用デキナイカラネ。手ヤ頭ガフッ飛ブノハ嫌ダモノネエ』


 その言葉に渚とリンダが苦笑いをする。それからミケが声をかけてきた。


『渚、せっかくだからショットガンを買ってみたらどうだろう』

(ショットガンって、あの弾がいっぱい出るヤツだったよな?)


 散弾銃ショットガンなら渚にも少しだけ分かっている。それはFPSで学んだと思わしき知識であった。


『そうだよ。至近距離での威力は対装甲弾頭に匹敵するから、距離を詰めて攻撃ができる君にはうってつけの武器だ。できれば、あの奥にあるヤツが欲しいけど』


 ミケが前足をあげて示したのは、他に比べて銃身の短いショットガンだった。


(あれか?)

「なあ、デウスさんだったか。あっちのショットガン? っていくらすんだ?」


 渚がミケの指定したショットガンを指差すと『オ目ガ高イネ、オ客サン』とデウスが返した。


『DOG-225。軍仕様ノ精度ガ高イモノダケド他ニ比ベテ値ガハルヨ。ソレニそーどおふダケド問題ナイノカイ?』

「ソードオフ?」

『問題ないよ。銃身を短くすることで、散弾を散らすのを速めて至近距離での威力をあげるんだ。距離をとった攻撃はライフル銃があるだろ?』


 横からのミケの説明を聞いた渚が「問題ない」と言ってデウスに頷いた。


『デハ一五万円ポッキリデイイヨ』

「お、おう。じゃあ、ワッペンをかざせばいいのか?」


 渚には高いのか安いのかは分からなかったが、リンダが何も言わないのであれば問題ないのだろうと購入することにした。


『マイドネ。弾ノ箱ミッツさーびすシトクヨ』

「うーん。確かに拳で機械獣と戦う渚なら、その選択も良いかもしれませんわね」


 リンダも納得した顔で頷いているので、やはり悪くない選択のようである。

 それから渚はショットガンを包んでもらい、またリンダの方は特に新しい銃弾が欲しいというわけではないらしいが、サブマシンガンの銃弾と対装甲弾頭については唸りながら一箱購入していた。

 そうして買い物をひと通り済ませたところで、渚がふと何かを思い出し、リンダに尋ねた。


「なあ、リンダ。ビークルにさ。なんか装備させられるものってないか?」

「ああ、そうですわね。けど付けられるとするとセントリーガンとかですわ。あれは100万超えしますし、誤射も多くて……あまり評判よくないのですけど。うーん、せっかく腕があるんですから、別の何かが装備できませんかしら」

『腕?』


 デウスが首を傾げると、リンダが頷いた。


「ええ、ナギサのビークルには機械獣の、アーマードベアアンサーの腕が付いているのですわ」

『ヘエ。面白イコトシテルネ、オ客サン。確カニアレハ大キイカラネ。がとりんぐデモ持タセルカイ?』

「そんなお金ありませんわよ」


 リンダが渋い顔をする。


『ソウカイ。らいあんガコナイダ買ッタカラ、モウ一丁仕入レテタンダケドネ』

「個人情報をバラさないでください。けど局長、あんなの買ってるんですの?」

『派手好キダカラネ、アノ人ハ。ジャア、使エルトシタラあれカナ?』


 そう言って、デウスが指を差した先にあったのは何本か束になっている鉄の棒だった。


「なんだよ、それ?」


 その棒は先からはコードが伸びて、何かを引っ掛けるような金具も付いていた。そして、デウスが『すたんぽーるダヨ』と口にする。


『鎖ト繋イデ機械獣ガ入レナイヨウニスルモノナンダケド、コレナラしょっくばとんノ代ワリニ使エルンジャナイカナ?』

【解説】

スタンポール:

 アイテールをエネルギーとして電流を流し続ける鉄柱。それらを鎖で繋いで柵にすることでシールド処理されていない機械獣の侵入を防ぐ効果がある。

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