表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
渚さんはガベージダンプを猫と歩む。  作者: 紫炎
第5章 首都攻防
155/321

第155話 渚さんと急ぎの出向

『おや、早かったですね』


 野盗バンディットたちによる首都コシガヤシーキャピタルの襲撃の可能性あり。そのことを聞いたライアンから緊急で首都に知らせるよう指示された渚たちは予定よりも早くビークルに戻ってきていた。

 なお、ミランダの方はすでに強化装甲機アームドワーカーを脱いで運転席に座っており、先ほどの戦闘でたいそう暴れたらしいという形跡も見られない様子であった。


「局長にさ。さっさと首都に行けって言われたんだよ。そういやミランダも今回は大活躍だったって局長から聞いてるぜ。また顔見せろとか言ってたけど、気に入られたみたいだな」

『ライアン局長が……そうですか。クキシティに戻った際には調査局に一度訪ねてみます。まあ、活躍したと言ってもそう大したものではありませんが、私視点での映像データは記録してありますし、現在編集中ですのであとで視聴もできますよ』

「マジかよ」


 今回ミランダは強化装甲機アームドワーカーとガトリングレーザーを用いて入り口付近の野盗バンディットを追い払っていたのだが、どうやらそれを本人がいたく気に入ったようであった。

 その様子に渚が思い出したように腰に下げていたものを目にすると、それをとってミランダに手渡した。


「そんじゃあさ。こいつはミランダにやるよ」

『これは?』


 ミランダが受け取ったソレをしげしげと眺める。

 それはモランとの最初の戦いで渚が鹵獲した小型ガトリングレーザーだ。


野盗バンディットから奪い取ったヤツだけど、遺失技術ロストテックの小型化されているガトリングレーザーだ。こいつならミランダも携帯にはかさばらないだろうし」

『ほぅ』

『ただしね、ミランダ。それはあくまで護身用だ。たとえ小さくても強力な武器だからアイテールの消費も少なくない。使わないのが一番だということは覚えておいておくれよ』


 続けてのミケの言葉に対し、ミランダは肩をすくめる動作をして返した。


『ミケは無粋ですね。けれども承知いたしました。とりあえず腹部スペースに入れておきましょう』


 そうミランダが返すと自らの腹部ハッチを開いて、その中から出てきた補助腕サブアームが器用に小型ガトリングレーザーを掴んで収納していく。そこは元々医療装置を入れるスペースであったのだが、渚が手に入れる前に取り外されて売られてしまっていたため、何も入っていなかったのである。


『実は首都で君の強化パーツが手に入らないかをウルミに調べてもらってもいるんだ。入手可能なものを確認してそちらも検討しよう』

『それは楽しみですね』

「ああ、ミランダがだんだん物騒になっていくのか」

『ガトリングレーザーを渡した君が言えることかい? とはいえ、本業メディックの能力をオミットするような改造はしないから安心してくれ』

「お三方、いつまでもおしゃべりしてないで早く行きますわよ。局長から緊急って言われてるのでしょう?」

『そうですね。急ぎましょう』


 後ろから続いてビークルに入ってきたリンダと外にいるクロの言葉に渚が「ああ、そうだな」と言って頷いた。オオタキ旅団の襲撃がいつ始まるかは分からない以上、コシガヤシーキャピタルに早く辿り着いた方が良いのは確実だ。

 なお、クロを含めた五体のブレイドマンティスは外で並走する予定である。


「それで、これをこなせばゴールドランクになれますのよね?」

「ああ、局長にはそう言われたよ。ルークとも正式に組ませるってな。今まで正式じゃなかったんだな」

「ルークは調査局御用達でしたし、何かありましたらそちらを優先する義務がありましたから。それが解かれたということでしょうね」


 なるほどと言う顔をした渚を見たリンダが少しだけ考え込んでから、眉をひそめた。


「ところでナギサ。なんだか疲れた顔していますわね」

「まあなぁ」


 野盗バンディットとの戦闘以上にドクやライアンとのやりとりの内容の方が渚には精神的には重いものがあったのだ。その上にそれらはまだ解決のめどが立っていない。


「色々と機密情報を知らされて、黙ってなきゃいけないことが増えてさ。ちょっとストレスが溜まってんだよ」

「ああ、地下に降りたと言っていましたね」

「リンダはあの地下のこと、知ってるのか?」


 渚の問いにリンダが首を横に振る。


「いいえ。詳しいことは知らされていませんし、知らないということは知らなくてもいい情報ということでしょう」

「そうかもしれないけどさ。知りたいとは思わないのかよ?」


 リンダがその問いにも同じように首を横に振った。


「いいえ。アンダーシティの決定は絶対ですわ。口を挟む必要はありません」

「んー、そっか」

「それにしてもゴールドランクですのね。やりましたわねナギサ。アンダーシティに戻るのにまた一歩近づきましたわ」

「あ、ああ。そうだったな」


 リンダの言葉に渚はなんとも言えない気持ちで頷いた。

 リンダはアンダーシティを信頼している。であれば、やはり話すことは時期尚早か……と。いや、そもそもが渚の最初の目的もアンダーシティの入居だったはずだが、今の渚は自分がそれを望んでいるかは分からなかった。


『方法はふたつ見当がついている』


 実のところ、ライアンとの会話のあとにミケがそう提案している。

 その内容はどちらも困難で実行可能かも定かではないが、第三の選択を用意し、その上でアンダーシティともコシガヤシーキャピタルとも共存の道を模索することが地上の人間が生き延びる道なのだとミケは口にしていた。

 その理屈は分かる。けれども渚はまだ自分がどうしたいのか……という答えを出せていない。

 そして、悩む渚を乗せたビークルはカスカベの町を出て南の首都コシガヤシーキャピタルへと走り始めた。

【解説】

ミランダ:

 主人たちがあまり怪我もしないし運転手や家事全般以外にすることがなかったため、本来の仕事が出来ず日に日に彼女のAIにもストレスが溜まりつつあった。そんな折、ミランダはストレスを解消するとある仕事と巡り合った。そう、それがお掃除(殲滅)である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ