第80話「神殿という名の宮殿」
~イエサル宮殿・跡地~
神殿とされている宮殿、かつて栄華を誇ったイエサル宮殿だ。
この美しい彫刻が施されている柱を見ると、過去の栄光が垣間見える。
宮殿の中心には栄華を誇った王、ソロモンの玉座があった。しかし、再三に渡って紛争や大戦の戦火の中、荒廃と化したアイブラハーン地方には栄華の面影などないに等しく、ただ虚しい廃墟へ風化していた。
ここまでにおいてモンスターと出会ったが、ことかくこともなくMOB狩りに等しかっただが、玉座のあった場所を探すと無数に広がるダンジョンの入り口があり、そこには深い闇が広がっていた。
~イエサル宮殿・地下~
恐る恐る入っていくといきなり、灯篭が燃え始め、進路を案内するかのように明かりを照らしていた。いくつかの階段を下り、フロアを変えながらすすみ、アンデットと対峙しながらも前に進んでいた。
「お、おい。俺はこういうの苦手なんだよなぁ。あはは…」
「セイメイさん、お化け屋敷とか苦手なんですか?」
「苦手というよりは好きじゃない。」
「それ…苦手っていってませんか?」
クリスはツッコミをいれてきたが、セイメイはそれどころじゃない。
セイメイは大のお化け嫌いなのだ。科学的根拠のない得体の知れないものは基本的に受け付けないという思考のため、そういった心霊現象は大っ嫌いなのだ。
コト…
「でやぁあああああ!!!」というと、刀を抜き、音のする方へ構える。
どうもそういうエフェクト音に反応するようになってきているようだ。
「はぁ…はぁ…」
「セイメイ様??大丈夫ですか??」
「ああ、少しびびった。」
「少しどころじゃないワイ!ワシのほうが驚いたわ!!」
「いや、すまん。どうも苦手だ。こういうところわ…。」
「プフフ、マスターも怖いのとかあるんですねっ!」
クリスが茶化すとセイメイは反論する。
「いいか、クリス。なぜ人類は火を使いはじめ、科学が発展したと思う??こういう分からないことを神の教えだとか、悪魔の仕業だとさせないで科学的根拠に基づいて実証してきている。教えとは何だ?そもそもだな…」
「はい、マスター。もういいです、お説教はいりません。」
クリスは膨れっ面でこちらを見て、プイと横を向いてしまった。
「クリス、そうじゃねーんだよ。だからな…」
「マスター、もういいじゃねーか?お化けが怖いマスターでもワシは軽蔑せんぞ?」
「おまえまで…!」
「ええんじゃよ。それより、あちらさんがまってくれんぞ?」
というと、くいっと親指で進行方向を見ると、アンデット系のモンスターわさわさと現れた。
「こんなときに…!!」
どこからともなく、クリスの声がセイメイの横をすり抜ける。
ライトニング・スラスト!!
ば、か!!
聖なる光が全てを包み辺り光の一線が進行方向に真っすぐ突き刺さる
くぅうう!!懐かしいエフェクトだすなぁ~!
すり抜けた攻撃は、容赦なくアンデットを成仏させていた。
「なんちゅう威力じゃ。」
「えっへん!聖攻撃ですからねw下手な物理攻撃より、威力がでますよっ!」
「まったく、嬢ちゃんには圧倒される。」
「PTの視覚も奪われるのも理解していただきたいものですわ。」
「それはすいませんでしたね。そういえば、スカルドさん活躍してましたっけ?この旅で?」
ちらりとスカルドの顔をのぞきながら、ニヒヒと笑う。
ムカ!
「あなたのような、がさつな攻撃しかできないような職業じゃなくってよ?」
「がさつ??綺麗に一掃しているのにがさつとはなによ??」
「メンバーを大事に出来てない時点でがさつですぅ!!」
「おいおいやめろって。」
「セイメイさんは黙っててください!今日はゆるしませんよ!?」
「望むところです。決闘でいかがでしょうか?」
「いいですよ!そっちのほうが決まりますからね!」
「やめんか二人とも!!ワシのクエストを手伝ってくれるのはありがたい。だが、喧嘩をすることまでは頼んでおらんぞ??」
「ソロモンの言うとおりだ、時には年長者の意見も聞くことが大事だぞ?二人とも。」
「セイメイ様まで…。」
「つぎ、騒いだら減給だからな!?他の仲間に示しつかんだろ??ったく…」
セイメイは一人で先にすすむと、骸骨兵士が現れる。
ぎゃあああああああーーーーーーーーーーー!!!!
「…ったく、マスターもなにやってんのじゃ…。」
ソロモンは肩を落としていると、ルカは何か呪文を行っていた。
「どうした?」
「あと少しで到着する。」
ふと、まえをみると、戦っているセイメイの先には大きな門がうっすらと顔をのぞかせていた。
セイメイと戦っているモンスターをよこめに大きく分厚そうな門に差し掛かる。
「こりゃでっかい門じゃな。」
「ここに鍵が眠っている。」
ルカが、門に触れると自然と分厚い門が開く。
戦いを終えたセイメイが合流すると、門の中へと入っていく。
~イエサル宮殿・地下大広間~
ガランとした大きな空洞があり、そこには祭壇が設けられていた。奥には誇りを被り、錆付いた箱があった。薄暗く光を放つ祭壇にソロモンが登る。
「ソロモンの鍵がここにねむっているんだな。」
ソロモンが近づき箱を開けると、古びた書物が横たわっていた。
「ん?鍵じゃねーのが入っていたんだけど?」と俺らのほうに振り向き、書物を見せ降りてくる。
一斉覗き込むと、どうやら魔導書のようだ。
「あー俺らはよめないぞ?魔力が関係しているとかじゃなく専門外だからだぞ?」
「それはわかっている。ふむなになに?」
種の魔術道具の作り方、儀式を行うにあたっての決まり事、七つの惑星の霊の力を借りる為の術式等についての解説が記載している。また、この書の最も特徴的な内容は豊富な図版とその付録にある大量のペンタクル(魔術に使う護符)である。
「なんて書いてあるんですか?」
「ああ、いわゆる魔法陣の書き方じゃな?それとトリセツが細かく記載してある。じゃが、これだけでは使いもんにはならんだろうな。」
「なぜですの?」
「簡単に言えば、使い方がわかっていてもどのような効能や効果、召喚がされるかわかっていない。この手のモノは、むやみに扱うとMPの消費が激しく、場面に適したものが使えるというものではないのじゃよ。」
「とりわけ、鍵じゃないのか。」
ソロモンは少し落胆していたが、ルカが口を開いた。
「ソロモンの鍵は、それよ。」
「うお!びっくりしたぁ~。いきなりしゃべるなよ。」
セイメイは驚いていた。
「どういうことじゃ?」
ソロモンは質問をすると、ルカはこう答えた。
「知っているヒトは知っているのだけど、、まず“ソロモンの鍵”は全て書物、魔導書。」
「え?そうなの?ルカちゃん??」
「そうよ。大きな鍵と小さな鍵、二つあるわ。」
「んじゃあ、既にもう一冊は手に入れた?ということになるけれど?」
「そうね。」
「じゃあ、小さな鍵を手に入れにいこうぜ!?」
「そのまえに先の大戦で使用された召喚書、あれはなに??」
クリスが気になったことを話した。
「嬢ちゃん、察しがいいね。あれは、大奥義書といって、コピーのコピーなのじゃよ。だから、使いきりで使うことができるんじゃ。」
「あーだから、戦場で現れてすぐ消えてしまうのはそういうことなのね?」
「そうじゃ。それにあれ意外と高額なのじゃよw」
「うはぁ…。」
「今回の指輪を手にすれば、永続的に使えるという代物なんじゃよ。」
「うはwすごいです!!」
「じゃあ、ちゃちゃっと集めて、いきましょーう♪」
クリスはノリノリで門の方へ向かうと、門はしまっていく。
「ええ?ちょ、ちょっとちょっと!!??」
「ん?閉じ込められたのか?」
「そうのようですわね。セイメイ様、あちらを!!!」
祭壇を見ると宙に浮く高貴な服を着た幽霊が現れた。
「……。」
「せ、セイメイさん?落ち着いて!」
気絶するセイメイを抱きかかえているクリスをみると、どうやら幽霊が苦手だったようだ。
卒倒しているセイメイと裏腹に幽霊が話しかけてきた。
≪我ノ宮殿ヲ荒ラス不届キ者ヨ、天罰ヲ与エヨウ…≫
というと、どこからともなく無数の魔物が現れた。
「スカルドさん!マスターを!!」
セイメイをスカルドに託すと、スピアを出し、スキルを発動する。
聖なる光よ、我が槍に力を!!
セイクリッドランサー!!!
スピアーを突き出し、三段突きを行うと、いくつかの群れは消すことができるが、まだ大量に残っていた。すると、クリスの後ろを狙う一匹の魔物が襲う。
「嬢ちゃん!後ろ!!」
我が炎よ、燃やし尽くさん…
エンシェント・フレイムッ!
魔物をめがけ炎が地を走る!!あたると魔物は燃え上がり、焼き尽くすと消えてしまった。その間にソロモンはクリスの手を引き、下がらせる。魔法を唱えたのは、ルカだった。
「あなた、やるじゃない!?」
スカルドは驚いて拍手をしていた。
「ルカ、おまえ…。」
ソロモンはルカをみると既に次の詠唱を行っており、次の魔法を繰り出していた。
氷消の刃よ、我が刃となりて解き放て…
アイス・フラワー
無数の氷刃がルカを中心に三日月型に並び、片腕で横一線に払うと氷刃は斉射される。勢い良く飛びてた氷刃は魔物達に当たると綺麗な花のように咲いている。
―――おまえさんじゃその魔法は普通打てんのじゃ…。ルカ…。ばれてしまう…。
「もう!マスター!目を覚ましてください!」といいながら、身体をゆらし無理くり起こす。
「くぅ…。俺はなんで寝てたんだ?」
「あのね!!マスター!!お化けはいたの!!だから、落ち着いて聞いてください!今、ルカちゃんとソロモンさんが応戦しています!!」
「ああ、わりぃ!前に出るわ!!」
セイメイは身体を起こし、刀を抜いて、ソロモン達の前にでる。
「セイメイ様、遅いですわよ!今、ルカとクリスが第一線を突破しました。」
「わりぃな。気絶しちまって。」
「いえ…、意外にかわいいとこあるんですね。」
カァァァーー…顔を真っ赤にしたセイメイは動揺を隠すように話す。
「お、おう!まぁかわいいとこないと、愛されないからなw」
「マスター、とりあえずホイ。」
ソロモンはクイックタイムとコンセントレーションをかけた。
「わりぃ、ソロモン。」
「ええんじゃ、それより魔法を使うんでな。ボクちゃんメガネに負けるが詠唱入れるぞぃ。」
「ああ、かまわん。この場はなんとかしよう。クリス?悪いんだが、プロテクションかけれるか?」
「はい、いきます!」
我がセラフィムよ、加護を与えよ。
ハイプロテクション!!
「おう助かるわ。」
「先制とりますので、霧かけます。」
フリージングミスト!
セイメイ達の身体が魔物の攻撃の手から一時的に逃れることとなった。
絶対先制攻撃のスタンスを取れたセイメイに襲い掛かる魔物達、まだ戦いは始まったばかりだった。





