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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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99ー食べられちゃう?

 なんとコッコちゃんは、卵に魔力を与えながら温めていたのだ。それも、ごく微量の魔力らしい。

 コッコちゃんは、魔鳥さんだから魔力は持っている。でも、本当に少ししかない。だから、魔法も使えずとっても弱っちい。

 それでも、持っているのだ。魔力を。その魔力を与えながら温めているのだそうだ。

 さすが、弱くても魔鳥さんなのだ。

 コッコちゃんの、真っ赤な鶏冠の前に小さな豆粒ほどの角がある。これは魔鳥さんだからだ。

 この角が大きい程、力が強く魔力も多いらしい。コッコちゃんの角は豆粒程だ。それだけ弱いという事なのだ。


「ぴょぉーッ!?」

「まあまあ! 驚きですね!」

「本当、びっくりしたよ。コッコちゃんの生態って分かっていないからね」


 マリーも驚いているけど、実際に精霊眼で見たディさんも驚いている。

 コッコちゃんの生態を研究しようにも、逃げ足が早くてなかなか捕まえられなかった。だから、詳しい事は殆ど解明されていないらしいのだ。


「コッコ?」

「クックックッ」

「え? しょうなの?」

「ククッ」

「ロロ、コッコちゃんは何て言っているんだい?」

「こっこちゃんも知らなかったって」

「そうなの?」

「しょうらしいのら」


 きっと無意識だったのだろう。ただ無心にコッコちゃんは卵を温めていたのだ。親心なのだ。


「ロロ、どうした?」

「こっこちゃんも、けなげなのら」

「ん? そうかい?」

「しょうなのら」


 だって、大変だよ? ずっと温めるのは。


「ロロ、魔鳥だからね。普通の鳥さんとは少し違うんだ」


 なんだと? どう違うのか?

 普通の鳥さんは卵の上に座り込みお腹に抱えて温める。何日も掛かるだろう。何日掛かるのか知らないけど。

 でも、コッコちゃんの場合は違う。直ぐに抱卵しなくても大丈夫なのは同じらしいが、コッコちゃんの場合はずっと温めている訳ではないのだ。

 朝昼晩と、定期的に温めるだけで孵化するらしい。それも、1週間でだ。


「だから今まで回収し忘れていても、次の人が回収すれば雛にはならなかったんだろうね。今回は偶々だろう」


 じゃあ、俺達は人工的に孵化させる時にも、魔力を少し流さないといけないのか?


「実験してみようね」


 ディさんが人差し指を立てて、バチコーンとウインクをした。だから、超イケメンのディさんのウインクは目に悪いのだ。チカチカするぞぅ。


「孤児院では、ニルスとハンナに温めてみてもらうよ。二人の魔力量が違うし、魔力操作の熟練度も違う。良い実験になるんじゃないかな。でね、ロロも実験してみてよ」

「ボク?」

「そう、1日に3度。朝昼晩に少しだけ魔力を流しながら温めてみて」

「ろうやってあたためるの?」

「そうだなぁ、孤児院と同じ様にしようか?」


 孤児院では、いらなくなった布で包んでいたらしい。じゃあ、俺も同じ様にするのだ。実験するなら、同じやり方が良いだろう。


「興味深いよね。ロロが温めた卵の孵るのが楽しみだ」


 どういう意味なのだ? 俺、特別な事はしないぞぅ。

 と、思っていた時期もあったよね……。

 俺はまだ自分が、分かっていなかったのだ。俺が卵を温め初めてから丁度1週間後。無事に雛が孵ったのだ。


「ピヨ!」

「ピヨヨ!」

「ピピッ!」


 そうなのだ。俺が魔力を流しながら温めていた卵が3個孵ったのだ。で、それを聞きつけたディさんがやって来た。満面の笑顔だ。嬉しそうなのだ。


「ギルドでリアとレオに聞いたよ! やっぱロロなら、やってくれると思ったよー!」


 なんて言っている。何故なら、俺が温めていた卵から孵った雛が他の雛より一回り大きいのだ。

 しかも、色が淡い黄色ではなく、鮮やかな濃いオレンジだ。それに、とっても元気なのだ。

 歩き方が違う。ヨタヨタではないのだ。テケテケテケと走って来る。と言うか、走り回っているのだ。

 俺を見つけると、我先にとダッシュでやって来る。

 どうしてなのだ? どうしてこうなった?


「アハハハ。予想していたんだよ!」

「えぇ~、でぃしゃん」

「だって、ロロは魔力量が多いだろう。だからだよ」


 ディさんは確信犯だったのだ。先に言って欲しい。

 ディさんが、雛の様子を見る為とか言いながら、片手には野菜が沢山入った大きな籠を持っている。どっちがメインなのか?

 雛じゃなくて、ニコ兄のお野菜目当てなのじゃないか? 露骨なのだ。

 最近ディさんは毎日来ている。もう、うちに住んじゃえばいいのに。て、位なのだ。ディさんなら大歓迎なのになぁ。


「増えたね〜」

「しょうなのら。お野菜もたくしゃん食べるのら」

「そうなんだ。ねえ、ロロ」


 なんだ?


「ロロは忘れているかも知れないけど、コッコちゃんてお肉も美味しいんだよ」


 ディさんがそう言った途端に、コッコちゃん達は一斉にぴゃーッとピカの後ろに避難した。

 コッコちゃん達は言葉が理解できるのだ。だから身の危険を感じたのだろう。

 のべっと寝そべっているピカに、隠れているけど目から上と尾羽が出ている。しかも、冠のような赤い鶏冠と尾羽がプルプルと震えている。明らかにディさんを警戒しているのだ。


「アハハハ! 隠れちゃった」


 ディさんも笑っているから、食べるつもりなんてないのだろう。


「でぃしゃん、むり。かわいしょうなのら」

「だよね〜」


 そうだよ。これだけ懐いてくれると、情も移るってものなのだ。日向ぼっこ友達なのだし。


お読みいただき有難うございます!

雛がまた増えました。^^;

続けて読むぞ!と応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいでっす!

宜しくお願いします。(๑˃̵ᴗ˂̵)/

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[一言] 魔鳥じゃなくてチョコ⚪︎誕生した?
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