表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/486

97ー孵らなかった

 ディさんが『うまいルルンデ』のコッコちゃんの話をしてくれる。


「オスカーさんに懐いちゃってさ。勝手に柵から出て来て厨房に入ってくるんだって」

「うちと、いっしょら」

「そうだね〜」

「ふふふ。コッコちゃんはお利口さんですからね」


 平和な話をしながら、街の中を歩いて行く。もう、教会が見えて来たのだ。

 卵はどうなっているのかなぁ?


「びおじい、こんちは〜」


 と、手をふりふりしながら入って行く。


「おう、ロロ。元気だな?」

「うん、げんきら」


 ビオ爺もまだ心配してくれているのだ。もう俺は、とっくに怪我は治っているのにね。


「ビオ爺、卵はどうかな?」

「変わりないなぁ。全然孵る気配がないんだ」


 そんなに早く孵らないだろう? 鶏さんの卵って、孵化するのに何日掛かるんだっけ? こんな時には、ググりたいよね〜。無いけど。


「そうかぁ。1週間もあれば孵る筈なんだけどなぁ」


 はやッ! たった1週間で孵化するのか? たしか鶏さんはもっと掛かる筈だぞ。


「ロロ、コッコちゃんは魔鳥だからね」

「しょうらった」


 それでもだ。毎日最低2個卵を産んで、1週間で孵化していたら凄い数になるのじゃないか? 森の中がコッコちゃんだらけになっちゃうのだ。

 あっちにもこっちにもコッコちゃん。そうなったら捕まえるぞ。


「卵の時点で狙われて食べられちゃうんだ。無事に孵っても、雛のうちに食べられたりするし。コッコちゃんは、弱いからなぁ」


 おふっ、それは可哀想なのだ。沢山卵を産んでも、全部が無事に孵らない。その上、食べられちゃうなんてさ。きっと美味しいって、魔獣も知っているのだ。


「卵を温めていても、危険が迫ると放棄して逃げちゃうから余計だよ」


 あらら。そんなに弱いのだ。じゃあ、飼っている方が安全で良いのではないか?

 安全なのだから、育ってほしいのだ。


「ビオ爺、僕が見てみるよ」

「おう、頼む」


 みんなで、教会の裏に出る。広場の片隅にある畑の近くに、コッコちゃんの柵が作ってある。なのにコッコちゃんは、そこにはいない。

 外に出て、木陰に集まってお昼寝していたのだ。やっぱ、出ちゃうのだ。どこも一緒らしい。


「ハンナ、卵はどこかな?」

「あら、ディさん! ロロにマリーさんも、いらっしゃい」

「こんちは〜」


 手をふりふりしている俺に、ひまわりの様な笑顔で手を振り返してくれる。ハンナはいつも、太陽の様な明るい笑顔なのだ。


「卵は今、子供達が見ていますよ」

「中かな?」

「はい、どうぞ」


 俺達が、孤児院の中へ入って行くと、コッコちゃんが後を付いてきた。


「コッコッコッ」

「クック」


 ここのコッコちゃんもお喋りなのだ。人見知りってしないのかな?


「うん、元気らった?」

「ククッ」

「コケッ」

「しょっか、よかったのら」


 元気だよ〜。ここは安全だから良いね〜。と、話している。ね、やっぱ安全がいいよね。

 なら、森のコッコちゃんも保護しちゃうか? 捕まえられたらの話だけど。


「ロロ、それは駄目だ。森の生態系を壊したら駄目なんだ。分かるかな?」

「うん、わかるのら」


 そっか。コッコちゃんしか捕まえられない様な、弱い獣や魔獣もいるのだろう。そんな獣や魔獣にとっては、コッコちゃんは大切な食料なのだ。

 それに、コッコちゃんが草を食べるから、森が保たれているという事もあるのだろう。


「ロロは賢いね」


 ディさんが、頭を撫でてくれる。まるで、親目線なのだ。最近、ディさんは父性に目覚めたのだろうか?

 孤児院の中に入って、みんなが集まっているリビングの様な部屋に行く。そこに子供達が集まっていた。


「あ、ディさん。ロロ、マリーさん」

「卵はどうかな?」

「ん〜、駄目だと思う。冷たいんだ」


 いつも遊んでくれるニルスが言った。よく観察して考えている。いくら温めても冷たいままらしい。

 子供達は、布を何枚も重ねて30センチはあるだろう大きな卵を大事そうに温めていた。交代でずっと付いていたらしい。


「どれどれ、ちょっと見せてね」


 ディさんのエメラルドの瞳がキラランとゴールドに光った。もう覚えたぞ。精霊眼なのだ。


「ふふん」

「ロロ、何自慢気に胸張ってんだよ」

「しぇいれいがんなのら」


 言ってやったぜ。堂々とさ。どう? ちゃんと覚えていただろう?


「ロロ、みんな知ってるぞ」

「ありゃりゃ」


 なんだよ、そうなのか。折角、教えてあげようと思ったのにぃ。


「ああ、本当だ。駄目だ、孵化しないね」

「ええー、ちゃんと交代で温めてたのになぁ。ディさん、何でだ?」

「ん〜、どうしてだろう? ただ温めているだけじゃないのかも知れないね」


 流石のディさんでも、そこまでは分からないか? なら、俺が提案してあげよう。


「こっこちゃんが、あたためてるとこを、でぃしゃんに見てもらうのら」

「なるほど、そうしようか。いい考えだね」


 な、いい考えだろう? ふふふん。

 コッコちゃんは、卵を産んで直ぐに温める訳ではない。朝イチに卵を産んだら、お腹が空くらしい。

 朝ご飯を食べてお水を飲む。それから、今日も平和でいいね〜なんて言いながら一休みしてから『じゃあ、そろそろどっこいしょ』と、卵を温め始める。

 なので、いつもはそれまでに卵を貰っちゃうのだ。しかも、一日中ずっと温めている訳ではない。自由に柵の外に出て、お昼寝していたりするのだ。結構、アバウトなのだ。

 明日は、卵を2個だけ取らずに残しておく。温め始めた頃にディさんが、うちまで見に来るという計画なのだ。


お読みいただき有難うございます!

なろうさん、なんだか新しくなっちゃって、イマイチ使い方がまだよく分かっていない。^^;

応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをお願いします!

書くモチベーションアップになります。

目指せランクイン!(ずっと言うとるで〜^^;)

宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ