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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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96ーディさんとマリーと一緒

 自然な蔓のカーブが難しい。大きく、うねらせているから。


「ん〜、むじゅかしいのら」

「ああ、坊ちゃま。そういう時はですね……」


 マリーに少し教わる。なるほど〜。


「しょっか。ここをこうしてぇ……ちょびっとかさねてぇ……」

「そうです、そうです。お上手ですよ」

「ふふん、ありがと」


 いい感じだ。糸の色も変えているのだ。葉っぱより蔓の方が、先っぽより根本の方が濃い緑にしている。緑色で濃淡もつけたいのだ。本格的なのだよ。

 でも、刺繍は午前中でおしまいなのだ。何故なら……


「ロロー! 来たよ〜」


 ほら、またディさんがやって来た。今日はね、一緒に教会へ行くのだ。

 教会で待っていてくれたら良いのに、ディさんはお迎えに来てくれる。ディさんだって、心配性になっているのだ。


「でぃしゃん、こんちは〜」

「あ、刺繍をしてくれてたの?」


 テーブルに出してあった、糸や布を見てディさんは覗き込んできた。


「しょうなのら。まら、見たららめ」


 俺は体でそれを隠す。まだ見せられないのだ。


「えぇー!? どうして?」

「できあがるまれ、ひみちゅ」

「そうかぁ〜、秘密かぁ。アハハハ」


 笑いながら、俺を抱き上げる。ディさんの見た目はとってもスマートだ。細いのだ。でも、俺を抱き上げる手は力強い。安心感がある。


「でぃしゃん、おひるたべた?」

「まだだよ」

「いっしょにたべるのら」

「うん、ありがとう〜」


 そう言いながら、お外に出て行く。ディさんの向かう先は、もちろんニコ兄の野菜畑なのだ。

 下ろしてもらって、ディさんと一緒に畑の中を歩く。


「立派だね。葉が艶々している」

「にこにいは、おじょうじゅ?」

「うん、凄く上手に育てているよ。こんなに美味しいお野菜が、この国で食べられると思わなかったよ」


 ん? 『この国で』と言った。


「でぃしゃん、どこがうまうまなの?」

「お野菜かな? それはね、エルフの国だよ。お野菜もお魚やお肉も、凄く美味しいんだよ。パンだってそうだ。だから、僕はこの国で初めて食事をした時に驚いたんだ」

「へぇ〜。うまうまじゃなかったの?」

「美味しかったよ。でもね、エルフの国はもっと美味しいんだ」


 それは凄いのだ。食べてみたい。エルフの国かぁ。遠いのだろうなぁ。

 気付いたら、ディさんは手に沢山お野菜を持っていた。


「あらあら、ディさん。これに入れて下さい」

「マリー、有難う」


 マリーが大きな籠を持って来た。もうよく分かっている。

 大きな籠いっぱいに、お野菜を入れてキッチンへ持って行く。ディさんは袖を捲ってヤル気だ。


「葉っぱが大きくて艶々してるね〜」


 なんて言いながら、鼻歌混じりにバシャバシャとお野菜を洗っている。


「お昼はサンドイッチにしましょうか?」

「まりー、たまごサンドがいい」

「はいはい。コッコちゃんの卵ですね」

「うん、ふわっふわに焼いて」

「ふわっふわにですね。分かりましたよ」


 俺はテーブルの上をお片付けなのだ。庭先で日向ぼっこしていた、コッコちゃん達が中に入ってくる。

 ジューッと、卵を焼く音がして良い匂いがしてきた。


「コッコ」

「ククッ」

「しょうらよ。こっこちゃんのたまごら」


 何してるの? いい匂いがするね。と、話しかけてきた。


「コッコッコ」

「クック」

「らね、しょれはちょっとね」


 ふふふ。良い匂いだけど、自分達の卵は食べる気がしない。と言っている。そりゃそうだよね。自分達が産んだ卵だからね。

 お昼に、マリーが作った大きな卵サンドを食べた。ディさんは、自分で作った特盛サラダもムシャムシャ食べていた。

 それから教会へ行ったのだ。マリーとディさんに手を繋いでもらった。俺達の後ろにはピカだ。

 いつもと違う感じなのだ。ちょっぴり嬉しい。なので、俺の得意技スキップを披露しようではないか。


「えへへ」

「アハハハ。ロロ、ご機嫌だね」

「あらあら。ロロ坊ちゃま、躓きますよ」

「わふッ」

「ぴか、らいじょぶら」


 はしゃいでいると、帰りに疲れちゃうよ? と、言われた。

 ピカまで心配性なのだ。俺達の後ろを付いてくる。チロはいつもの様に、俺のポーチの中でお昼寝だ。

 ずっと眠っているのに、家に置いて行くと拗ねちゃうのだ。チロも一緒に行きたいらしい。


「こっこちゃん、げんきかなぁ?」

「元気だよ。試しに卵を温めてもらってるんだ。孵化しているか、楽しみだ」

「へぇ〜」


 もう、そんな事をしているのか。ほんの数日前に、話していたところなのに。


「次の日に、早速ビオ爺に話したんだ」

「成功したら良いですね」

「ね、本当だよ。そしたら、いい産業になるかも知れないしね。それに何と言っても、子供達が中心になって出来る事なんだ。こんないい事はないよ」


 なるほど、なるほど。この街の産業に出来るのだね。それは良い事なのだ。

 ルルンデは、卵の美味しい街として有名になっちゃったりしてね。

 さすがに街中をコッコちゃんが歩いたりはしないだろう。いや、どうだろう? 不安なのだ。


「そうそう、エルザが話してましたよ。『うまいルルンデ』で、コッコちゃんの卵料理が好評なんですって」

「そうなんだよ。毎日数量限定で提供しているんだけど、直ぐになくなっちゃってさ」


 へえ〜、なら『うまいルルンデ』のコッコちゃんは、元気に卵を産んでいるのだね。


お読みいただき有難うございます!

メンテナンス、やっと終わりましたね〜

すっごく変わっていて驚きました^^;

応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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