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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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91ーレオナルトの思い 2

(レオ視点です)



「ロロは眠ったの?」

「はい。ディさん、今日は有難うございました」

「いいって。僕がやりたくてお節介を焼いてるんだから」

「そんな事ないです。ディさんにはお世話になってばかりだわ」

「ふふふ。僕は君達をエルフの国に連れて行きたいよ。こんな堅苦しい国じゃなくてさ、自由に生きて欲しいな」

「エルフの国ですか?」

「そうだよ」


 ディさんが話してくれた。エルフの国は大陸の中央にある大森林の真ん中にあるんだそうだ。

 エルフしか辿り着く事ができない森の最深部。そこに、エルフの国がある。

 貴族や平民という身分制度のない国。そんな国がある事自体が信じられない。あまり知られてもいない。

 身分制度のある国で生まれ、貴族から平民になった。僕達は身分差別というものを身に染みている。その身分制度自体がないそうなんだ。そして、勿論差別はない。

 何より、エルフは子供を大切にするそうだ。


「エルフはね、子供が少ないんだ。出生率が低いんだよ。その所為もあるけど、子供に対する考え方がこの国とは違うんだよ。子供は未来を担う宝だ。みんなで可愛がり育てる。エルフはそうなんだよ。君達みたいに才能豊かで良い子は、連れて行きたくなるね。本当にこの国で幸せなのか? と思ってしまう」


 でも、それなら何故ディさんはこの国にいるのだろう?

 確か、エルフはこの国にはディさん位しかいないと聞いた覚えがある。


「そんな事はないよ。この国には、僕以外に大使として駐在しているエルフがいるよ。商人だっている。王都にいるから、知らないだけだよ」


 そうなんだ。知らなかった。


「それでも、僕は変わり者らしいけどね」


 そう言って、ディさんは笑う。きっとディさんは、これまでにも同じ様に手助けをしてきたのだろうな。僕達みたいな子供を助けてきたのではないかな? そう思う。

 ディさんは懐が深い。そして、温かい。愛情が豊かなんだと思う。

 ディさんを見ていると、父上を思い出す。

 父上は、厳しいという印象はなかった。どんな時でも、僕達を見守ってくれている感じだった。

 実際、父上に酷く叱られた記憶がない。


「坊ちゃま達がお利口だからですよ」


 なんて、マリーは言ってたけど。姉上は結構お転婆さんだったと思うんだ。

 その証拠に、母上にはよく叱られていた。父上も一緒に、母上に叱られたりしていた。

 でも母上は、姉上が父上から剣術を習うことに反対はしなかった。反対どころか……


「女の子でも、自分を守る術を身に着ける事は大切よ」


 と、言っていた。母上は剣術なんて全く出来なかった。自分が出来ないから、姉上には身に付けて欲しいと思ったのかも。

 いや、母上は魔法が得意だった。だから魔法で、自分の身を守れたのかも知れない。

 剣術だけじゃない。領地経営だって、僕と同じ様に姉上は教わっていた。

 僕が成人するまでの、ほんの数年でも必要になった時の為と話していた。まさか、こんな事になるなんて想像もできなかっただろうけど。

 姉上と僕が学園に通うからと王都に出て来た。父上は領地と半々の生活になってしまった。それでも、子供達の側を離れる選択肢はないと話していた。

 僕達が長期休暇に入ると、家族揃って領地に戻った。きっと両親は王都よりも領地の方が好きだったのだろう。

 僕はそれも楽しみだった。僕も、王都よりも領地の方が好きだったんだ。

 伯爵で領主だと言うのに、収穫期には領民達と一緒に作業した。大雨の日には、一緒になって河川や作物を見回った。領民達からも愛される領主だったんだと思う。


「私は、私の両親から教わった。言葉で、行動で、沢山の事を教わったんだ。レオ達にもそうありたいと思っているよ」


 そう話してくれていた。

 僕達に沢山の愛情と時間を掛けてくれた。それが、普通だったんだ。当たり前にこの先も続くと信じて疑いもしなかったんだ。

 両親が亡くなるなんて、そんな事は考えもしなかった。

 その当然の日々が、前触れもなく壊れた。一気に、足元が崩れ落ちた。

 あの叔父夫婦は、僕達の両親とは正反対だ。絶対におかしい。

 そう思い続けて、でも何もできなくて……1年だ。

 やっと、ディさん達の力を借りて糸の先を掴む事が出来そうだ。

 この1年は、僕達の意識を変えていった。何もかもだ。

 マリーがいてくれるから、まだこうして姉上と2人でクエストを受けられる。生活費を稼ぐ事が出来るんだ。

 マリーがいなかったら……まだ幼いニコとロロを連れて、どうしていたのか想像もつかない。

 僕達が家を出る時に、突然やって来たピカにも助けられた。いつの間にか、ロロに寄り添う様に座っていた。

 その、ロロの刺繍が切っ掛けでディさんと出会った。

 僕は油断していたんだ。ずっと、気を張り詰めていた姉上と僕。

 生活が軌道に乗って、冒険者としてもディさんやギルマスに認められて油断したんだ。

 まさか、ピカが狙われてロロにあんな事が起こるなんて。いや、領主様に言った様に予測出来た事なんだ。もっと、警戒するべきだったんだ。

 なのに、そこからもまた縁が出来た。


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告も有難うございます。

明日も読むよと応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] エルフの国は身分制度が無くてもエルフだから良いんだろうけど 人間の世界は身分制度が無いと本当に駄目だなぁと、昨今は特に思う。 金や、地位の有る無しで差別が発生するのに 金持ちも貧乏人も全…
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