90ークリーンができた
「わふわふ」
「え? しょうなの?」
「わふ」
きっとディさんにはもうバレてるよ。と、言われた。そうなのか? ああ、そっか。なんとか眼なのだ。
「わふ」
「わかってるのら」
精霊眼だね。と、突っ込まれた。分かっているのだ。
どうして俺は、コッコちゃんやピカとばかり話しているのだ? 人間はどうした?
あれ、いつの間にかチロがピカの背中で眠っている。ピカは、モフモフだから気持ちいいのだ。
レオ兄が集中して、ディさんの動きを見ている。やはり、お手本になるのだろう。
「よし、れきた!」
「わふッ」
「らね~」
とっても上出来だと、ピカが褒めてくれた。ちゃんと、尻尾も上を向いている。土で作ったピカの土人形。俺の小さな両手に乗せられるくらいの大きさなのだ。
ふふふん。なかなか良い出来ではないか? よし、もっと作ろう。
また、コネコネ。ここで少しお水を足しておくといいのだ。つい鼻歌がでちゃうよね。
「ふっふふ~ん、ふっふふ~ふふん♪」
何の歌なのか自分でも分からない。あ、そうだ。思い出したぞ。
「こっいぬがね、のっはら~でよっちよっちかっくれんぼ~♪」
そんな事をしていると、コッコちゃん達は俺の周りで座って眺めているのだ。
相変わらず「コッコッコ」「クック」と話しながらね。
コッコちゃん達の土人形も作って欲しいのだって。ちょっと待ってね。コッコちゃん達は羽が難しそうなのだ。足だって細いし、鶏冠や嘴なんて激ムズなのだ。
リア姉が特訓をしている間、ずっと作っていたらピカの小さな土人形が2つ出来た。
乾いた砂を上から掛けて、スリスリすると少し艶が出てきた。知ってた? 泥団子の要領だよ。
ちゃんと、木のカケラで、毛並みを描いたりもしたのだ。力作ではないか。
「ロロ、何作ったんだ?」
「れおにい、ぴかなのら」
「上手だね。でも、ほっぺに土が付いてるよ」
あらら、いつの間に? 道理でほっぺが、カピカピする筈なのだ。
「アハハハ、お鼻にも付いてる」
レオ兄が拭いてくれる。有難う。
「あらあらまあまあ、そろそろお昼にしませんか?」
マリーが呼びに来たのだ。そうか、もうそんな時間なのか。
――キュルルル
「アハハハ、ロロお腹すいたね」
「うん、しゅいたのら」
お腹が鳴ってしまったぜ。さあ、お昼ご飯を食べよう。
「ロロ坊ちゃま、お手々洗いましょう」
「うん」
マリーが、外に置いてある桶から水を掬って手に掛けてくれる。
よし、チャレンジなのだ。
「くりーん」
俺が試しにそう言うと、手がシュルンと綺麗になった。ついでに、泥がついた服も綺麗になったのだ。おお、超便利。
「まあまあ、ロロ坊ちゃま」
「れきたね~」
「はい、出来ましたね」
ふふふん、これで俺も魔法が使えたのだ。
「ロロ、練習してたの?」
「ううん、ポカポカぐるぐるしてたのら」
「そうか、偉いなぁ」
「なになに?」
ディさんとリア姉もやって来たのだ。
レオ兄が説明してくれる。
「ロロが初めてクリーンできたんですよ」
「ロロ、凄いわ」
「へぇ~、ロロ。練習したの?」
「ポカポカぐるぐるしてたのら」
「うん、お利口さんだね」
ディさんに、優しく頭を撫でられたのだ。
むふふ。ちょっぴり嬉しい。父さまはこんな感じだったのかなぁ? なんて思ったりする。
「姉上が、初めてクリーンできたのって何歳だっけ?」
「レオ、それを言うんじゃないわよ」
「え? 何歳なの?」
「10歳ですよ。僕の方が早くできたんだ」
「リア、君は本当に魔力操作を練習しなよ。その魔力量が勿体ないよ」
「ディさん、分かってますぅ」
ふふふん。リア姉は10歳なのか。俺は3歳なのだ。へへん。
「あ、ロロ。何よ」
「ボクは3しゃいなのら」
「あー、ひどーい!」
今日は朝から突然領主様がやって来て、家の中がブリザードになっちゃった。
それでも、ディさんが来てくれて場を収めてくれた。どんな話になったのか、俺は知らないけど。
でも、温和なムードでみんなが出てきたのだから、悪い話にはなっていないのだろう。
それから、ディさんがリア姉の特訓に付き合ってくれた。
今はみんな笑顔なのだ。お昼もみんなで食べた。いつもお昼は、マリーと2人だけだから今日は賑やかで楽しいのだ。
ああ、とっても楽しいし嬉しい。お昼はマリー特製の兎肉のバターソテーだった。今日は、はちみつバター味なのだ。
皮がパリパリで中はジューシー。ナイフで切ると、そこから透明な肉汁が出てくる。
沢山食べた。きっと、マリーも張り切って作ったのだ。2人だと、ついついパンに挟んで手間を掛けないようにしてしまう。
ディさんはやっぱり、自分でお野菜を採ってきて特盛サラダを作って食べていた。
満足そうだ。マリーさんの特製玉ねぎドレッシングもお気に入りなのだ。
ディさんに、とってもお世話になってしまっているのだ。有難いなぁ。ディさんと出会えて良かったのだ。
レオ兄とリア姉の、肩の力も抜けたんじゃないかな? 今迄は2人で頑張ってくれていたから。
俺がもっと大きかったら、何か手伝えるのに。俺はまだ3歳なのだ。でも、俺にでも出来る事をするのだ。
そして、俺はお昼寝だ。いつの間にかウトウトとして、レオ兄にベッドへ運ばれたのだ。
お読みいただき有難うございます!
ふと思いついたのですが、リリのお話を投稿している途中から『いいね』機能が追加されたのですよね。
どんなもんなのだろう?と、リリを見てみると、いつの間にか沢山の『いいね』をして頂けていて驚きました。
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