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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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89ー図案と土人形

 また自然にコッコちゃんが会話に入って来る。俺の足に体をスリスリしてくるのは良いんだけど、ふんわりとした尾羽がこそばゆいのだ。


「コッコ」

「クック」


 もう行かなくてもいいよね~なんて言っている。何がいいのやら。分かっているのか?


「クック」

「しょう?」

「クッ」


 分かっているそうなのだ。本当なのかよ。コッコちゃん、ギルドとか知らないだろうに。それよりもだね。


「でぃしゃん、みてほしいのがあるのら」

「ロロ、なにかな?」


 ちょいちょいと、ディさんを家の中へと誘う。


「でぃしゃん、ここ。しゅわって」


 俺はソファーを、手でペチペチと軽く叩いて示す。


「うん、なにかな?」


 取り敢えず、ディさんはソファーに座ってもらって、俺は自分のお道具箱にしている大きな木箱を棚から出してもらう。


「まりー、あれ」

「はいはい」


 マリーはもう分かっているのだ。刺繍糸や生地やらが色々入れてある俺のお道具箱。そこから、四つ折りにした紙を広げてディさんに見せる。


「これみて」

「これ……ロロが描いたの?」

「しょうなのら。でぃしゃんの刺繍、考えたのら」

「凄いじゃない。上手だ」


 ディさんはそれをジッと見つめる。俺が描いた刺繍の図案なのだ。

 葉っぱが沢山描いてあって、その葉っぱは蔦で繋がっている。地面から空を目指すかの様に、大きく畝り這い繁る蔦に元気な葉っぱが幾つも生えている。

 ディさんが持って来たスカーフに刺繍する図案なのだ。

 どうだ? なかなか良い感じではないかと自分では思う。力作なのだよ。よくこの小さな手で描いたと自分でも思うのだ。

 女の子だったら、葉っぱだけじゃなくてお花もプラスするのだけど、ディさんは男の子だからね。葉っぱだけなのだ。


「なになに? 私にも見せて」

「ロロ、いつの間にそんなの描いてたんだ?」

「ふふふん」


 ちょびっとお腹を……じゃなくて、胸を張ってみよう。色鉛筆があったら、綺麗に色を塗ったりできるのだけどね。そんな物は、無いし図案だからいいか。


「ロロ坊ちゃまは、毎日少しずつコツコツと描いていらしたんですよ」

「そうなんだ」

「ロロ! 上手だわ!」


 と、また抱き着いてくる。リア姉、本当に怒るよ。油断も隙もありゃしない。


「りあねえ、らめ。くっちゅくのはらめ」

「ロロ! 冷たいぃ!」


 ああ、もう。本当に泣き虫女神とそっくりなのだ。いかんよ、いかん。あんな大人になったら駄目なのだ。


「わふ」

「え、らってしょうなのら」

「わふぅ」


 ふふふ。ピカがそんなに女神は酷くないよ。とか言うけど、そんな事はないのだ。

 気が良いのは分かるのだけど、行動だよ。あれだと駄女神と言われても仕方ないのだ。


「刺繍はまらこれからなのら」

「うんうん、急がないからいいよ。凄いね。楽しみだ」


 そうだろう? 頑張って刺繍するぞ。刺繍糸も色々買ってきたからね。マリーがちゃんと持って帰って来てくれていたのだ。楽しみだ。


「レオ、私達もジッとしていられないわ! 特訓するわよ!」

「ええー、姉上。今日は槍でやろうよ」

「剣よ! 私は槍なんて使えないもの」

「なら、僕がレオの相手をするよ」


 なんだって? ディさんがレオ兄と槍で対戦するのか? それは見てみたいのだ。


「ディさん、槍も使えるのですか?」

「僕は何でも使うよ。弓が1番だけどね」


 と、またバチコーンとウインクをする。本当、長い睫毛で風が起こりそうなのだ。


「ディさん、じゃあ先に私と対戦して下さいッ!」

「いいよ~」


 あら、ディさんは楽勝ムードだね。リア姉は、ディさんの相手になるのかな?

 リア姉は張り切って外に出て行く。

 俺はまた、ピカとチロ、それに7羽のコッコちゃんと一緒に、家の前に並んで見学なのだ。

 コッコちゃん、もう普通に柵の外にいる。誰も何も言わないし。


「コッコッコ」

「クック」

「コッコー」


 あらら、また喋っているよ。


「わふ」

「キュルッ」

「え、しょう?」

「わふん」


 コッコちゃんやピカとチロは、ディさんが余裕だと話しているのだ。

 確かに、ディさんは木剣で打ち合いながらリア姉にアドバイスをしている。良く見ているね。


「リアは剣も力任せなの? 剣筋が丸わかりだ」

「エイッ! そんな事ないですッ!」

「ほら、右だ。次は左。もっと相手をよく見てみなよ」

「ハイッ!」


 おお、ディさんがとっても先生っぽいのだ。いや、師匠なのだ。

 よく見ていると、ディさんの足元が殆ど動いていない。軽く躱わしているのだ。駄目だね、相手になってないや。

 俺はリア姉の特訓をみながら、土をコネコネ、ペッタンペッタン。

 庭の土でピカの土人形を作っているのだ。ちょっとお水が欲しいなぁ。土が硬すぎるのだ。

 トコトコと畑の方へ行って、水遣り用に溜めてあるお水を少しだけ器に入れて持って来る。

 それだけの事なのに、コッコちゃんは付いてくる。直ぐ戻るから、待っていてくれていいのだよ。


「コッコッコ」

「うん、しゅぐなのら」

「クック」


 直ぐそこでも付いて来るらしい。まあ、いいけども。

 元の場所に戻って、土にお水を少しだけ加えてまたコネコネペッタンペッタン。少しずつ形にして行く。ここら辺をちょっとね、もう少しふっくりとかな? ピカさんはとってもイケワンだよね。


「わふ?」

「かっちょいいワンちゃんなのら」

「わふぅ」


 だから、ワンちゃんじゃないよ。と、言っている。分かっているのだ。でも、まさかフェンリルなんて言えないだろう? みんなびっくりしちゃう。ニコ兄は喜びそうだけど。


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告も有難うございます!

明日も読むよ〜!と、応援して下さる方は是非とも、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

目指せランクアップです(๑˃̵ᴗ˂̵)/

宜しくお願いします!

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