表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/485

83ーうぇっぷしッ!

「ロロ、言いたい事を言っていいんだよ」

「れおにい……えっとぉ……ボクは……帰ってこられたから……けがもでぃしゃんになおしてもらったし……らから、らいじょぶなのら」

「ロロ……」

「れおにいと、りあねえにまかしぇるのら」


 ちびっ子特典だ。困ったら、自分より年上の人に丸投げできる。ここで、その特典を使ったのだ。


「う、うぇ、うぇっぷしッ!」


 息が詰まる様な空気の中、俺は盛大にクシャミをしてしまった。しかも、全身で思いっ切りだ。ああ、びっくりした。


「ロロ……」

「お鼻が、むじゅむじゅしたのら」

「アハハハ」

「フフフ」

「あらあら、ロロ坊ちゃまったら」


 なんだよぉ。俺、クシャミをしただけなのだ。だって我慢できないだろう? 出るものは仕方ないのだ。

 でも何故か、俺のくしゃみが切っ掛けで場の空気が少し和らいだのだ。狙った訳ではないのだよ、本当に。


「実は、リアを覚えているんだ」


 クラウス様がそう話し出した。

 リア姉だって学園に通っていたのだから、顔くらいは見た事があるのだろう。


「アウレリア・レーヴェント……ある意味、有名な令嬢だったからな」


 ……なんだと?


「姉上……」

「わ、私、何もしていないわよ」


 えぇ〜……みんな疑いの眼差しなのだ。だって、フィーネだってリア姉の事を覚えていたのだろう? 学年が違うのに。

 なんだっけか……たしか『令嬢なのに、やたら剣が強いと有名』て、言ってなかったっけ?

 クラウス様は、リア姉と同い年なのだ。学年が同じなのだから、フィーネより覚えがあっても不思議じゃない。


「最初は気付かなかったんだが……」


 クラウス様がリア姉と会ったのは、教会のバザーの時だ。あの時、直ぐには思い出さなかったらしいのだが、学園へ戻った時にふと思い出したらしい。


「突然退学したと、噂になっていたのを思い出したんだ」


 なるほどね。ところでさ……


「れおにい……」

「ロロ、どうした?」

「ちゅぢゅき、食べてもいい?」

「ああ、まだ途中だったんだね。いいよ。ニコも食べてしまいな」

「おう」


 そうなのだよ。忘れられていたけども、ニコ兄と俺はまだ食べ終わってなかったのだよ。だから、食べよう。


「あらあら、お茶を入れましょうね」


 出た……マリーのお茶攻撃なのだ。

 誰にでも、どんな時でもお茶を出す。そして、皆を巻き込む。マリーの必殺技なのだ。


「どうぞ座って下さい。お食べになりますか? フォリコッコの卵がありますよ」


 レオ兄まで勧めているぞ。まあ、いいか。重い空気よりいいのだ。


「なんと……フォリコッコ!?」

「レオ、それは魔鳥じゃないか」

「はい、庭で飼っているんですよ。表の柵の中にいたでしょう?」

「なんと……!?」

「魔鳥を飼うのか? 飼えるものなのか?」

「ええ。毎朝、卵を産んでくれるんです。美味しいですよ」

「そ、それは食べてみたいな。ね、父上」

「いや、そんな。謝罪に来たのに頂く訳には……」

「構いませんよ。なんせ1個が大きいんです」


 そんな話をしている間に、マリーが出してきた。ご自慢のお茶と、コッコちゃんのふわとろオムレツだ。今日はチーズ入りバージョンなのだ。

 ちゃんと、刻んだトマトのトッピング付きだ。美味しいぞぅ。


「さあさあ、どうぞ」

「かたじけない」

「いただきます」


 ほら、フォークを入れると中からトロットロのチーズが出てくるだろう? 半熟加減もベストなのだ。お口に入れたら感動するのだよ。


「むふふ」

「ロロ、どうした?」

「らって、にこにい。じぇったいに、うまうまなのら」

「そうだな」


 まあ、ニコ兄と俺はまだ食べるよ。モグモグモグと大人しく食べる。


「ロロ、口の周り」

「ちゅいてる?」

「うん」

「あとれふくのら」

「そうだな、また直ぐに付くしな」

「しょうしょう」


 モグモグモグとね。


「クフフフ……」


 クラウス様が、俺達を見て笑っている。何故に?


「クラウス、私は忘れていたらしい……」

「父上?」

「とても美味しい。心まで温かくなる」

「父上……」

「いかんな、涙もろくなってしまって……」


 目頭を押さえながら、領主さんが少しずつ話し出した。


「毎日、朝食は慌ただしくて戦争の様だった」

「ええ、確かに。料理を味わうなんて、できませんでしたね……」


 朝から令嬢が、お付きの侍女に当たりまくるのだそうだ。少しでも気に入らない事があると、ギャンギャン喚き、物を投げつける。その音が邸宅に響くのだそうだ。

 そんな中で、取り敢えず朝食を摂る。母親である夫人は……


「あらあら、また何かしたのかしら? 仕方ないわねぇ」


 と、優雅に笑っているらしい。

 余りにも、それが日常になっていて、異常なのだと思う事さえ忘れていたと。

 その内忙しい事もあって、領主様は別に食事を取るようになっていたそうだ。

 家が、安らげる場所ではなかったのだ。


「レベッカは赤子の頃から、よく泣いて愚図る子だった。それが、成長と共に収まるのではなく、成長と共に愚図り方も酷くなっていった」

「母上が、全てレベッカの思うままにさせていたそうなのです。可愛い、可愛いと。家族なのだから、私達は気付くべきだったんだ。もっとしっかりと、躾けなければならなかったんだ」

「クラウス、それは父親である私がしなければならない事だ。ロロくんが無事で良かった。本当にすまない事をした」


 ふむふむ。なるほろ。後悔してるのだね。モグモグモグ。


「まりー、りんごじゅーしゅちょうらい」

「はいはい」


 ちょっと、お喉が詰まったのだ。


「フフフ……」


 また笑われてしまったぞ。何故に?


お読みいただき有難うございます!

ロロのくしゃみ『うえっぷし!』お気に入りなのです。^^;

続けて読むよ!と、応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

毎日投稿する励みになります。

宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ