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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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81ー情報通?

 思わずレオ兄が声を上げた。


「うわッ!」

「やだ、レオ! どこ見てんのよ!」


 ああ、あれは痛いぞぅ。バシコーンッて音がしたのだ。


「どれどれ、見せてごらん?」

「ディさん、いつ来たの?」

「さっき来たんだ。それでレオは気が逸れちゃったんだろうね」

「いや、ディさん。僕が余所見しちゃったから」


 俺も一緒に、レオ兄の手首を覗き込む。真っ赤になっているのだ。


「ぴょぉ〜、いたいいたいら! た、たいへんら!」

「アハハハ。ロロ、平気だよ」

「らめ! まっかになってるのら! いたいのいたいのとんれけ〜!」


 俺は思わず、レオ兄の手首をナデナデしたのだ。そしたら、あら不思議。

 俺が撫でると、レオ兄の手首がペカッと光ったのだ。


「えッ!?」

「え、ロロ!?」

「おや?」

「ひょぇッ!?」


 すると、レオ兄の赤くなっていた手首が綺麗に治っていたのだ。何も無かったかの様にだ。


「コケックックックッ」

「わふッ」

「キュルン」


 うちは、人間以外の会話も交じるらしい。お喋りなのだ。しかも、人間より情報通だったりする。どうしてだ?


「え、しょうなの?」

「わふん」

「コッコ」

「キュルン」

「えぇー、しらなかったのら」


 リア姉やレオ兄、ディさんがポカンとしているぞ。どうしたのだ?

 ディさんが、目をキラキラさせながら俺の両肩を掴んで迫ってくる。


「ち、ちょっと待って。ロロ、幾つか聞きたい事があるんだけど!」

「なぁに? でぃしゃん」


 デジャブなのだ。つい最近同じ様に、ディさんに迫られた事があったのだ。


「レオの手首、治っちゃったよ!?」

「ねー、よかったね〜」

「いやいやいや」

「ロロ、どうして?」

「いたいのいたいのとんれけーって」

「アハハハ! ロロらしいや!」

「ディさん、これって……」

「立派な回復魔法だね。普通は『ヒール』て詠唱するんだけど、ロロは違うらしいよ。アハハハ」


 ディさんがウケているのだ。可笑しくないのだぞぅ。前世だとポピュラーな言葉なのだ。ちびっ子でもみんな知ってるぞぅ。


「それに、ロロ。コッコちゃんが話している事が分かるのかい?」

「しょうなのら。びっくりしたのら」

「そうかぁ、びっくりしちゃったのかぁ。アハハハ!」

「ロロ、ピカとチロだけじゃなくて、コッコちゃんも分かるのか?」

「れおにい、しょうなのね〜」


 ふむふむ。そうなのだよ。いつの間にかね。だってうちのコッコちゃん達は、自然に会話に入ってくるからね。


「どうしてかな?」

「ボクは、ていまーらから」


 ふふんと、ちょっぴり胸を張っちゃおう。


「いやいやいや。アハハハ!」


 ディさんがずっと笑っているぞぅ。


「ロロ、僕もコッコちゃんをテイムしているけど言葉は分からないよ」

「え……」

「そうだね、僕も分からないよ」

「えぇ……?」


 だって、分かるんだもの仕方がない。


「さっきは何て言ってたんだい?」

「ボクは、かいふくまほーが使えるようになったって」

「へぇ……ピカとコッコちゃんが?」

「しょう。チロもら。やっと使えたね〜って」

「やっと?」

「しょう。やっと」


 またまた、3人がポカンとしているぞ。


「ちょっとピカ、詳しく教えて!」


 そう言って、ディさんがピカに額をくっつけた。そんなので、分かるのか?

 分かるらしい。ディさんは『念話』というスキルを持っている。エルフならみんな使えるそうなのだ。本当、エルフって凄いのだ。

 その念話で、ピカに聞いたのだ。

 俺は元々、回復魔法が使えるらしい。攫われて怪我した時も、自分で回復できた筈なのだ。

 でも、まだちびっ子だからか、それとも魔法操作が未熟だからか使えなかった。それがやっと使えるようになったのだそうだ。

 それって、もしかして女神の世界で癒してもらったからかなぁ? あの、超美味しい桃を食べたからかなぁ?


「わふわふ」

「しょっか」


 ピカが、それが切っ掛けになったかもね。と、言っている。そうだよね。だって、今まで女神に呼ばれても使えなかったのだ。


「ちょっと、ロロ。見せて!」


 おっと、今度は俺なのだ。ディさんが、じぃぃ……と俺を見る。これは精霊眼で見ているよね。だって、ディさんのエメラルドグリーンの瞳がゴールドに光ったのだ。


「本当だ。回復魔法全般使えるようになっているよ。前は適性があっても、まだ使えそうになかったのに。どうして? 何があったのかな、ロロ」

「えぇっとぉ……」


 まさか、女神に癒してもらって桃を食べたなんて言えないぞぅ。


「けがしたからぁ……?」


 ピョコンと首を傾げる。


「アハハハ! 悪い事じゃないし、まあいいか」

「え、ディさん。そんな感じでもいいんですか?」

「いいよ、いいよ〜! 君達兄弟はとんでもないねー!」


 でも、笑っているディさんが、嬉しそうなのは気の所為なのかな?

 

「自分を守る力を持つ事は良い事だ。君達はその力を悪い事には使わないだろうしね。ロロはまだちびっ子だけど、回復魔法を使えたり付与できたりする。もっと訓練したら土属性魔法だって使える様になる。選択肢が増える事は良い事だよ」


 ああ、そうか。心配してくれているのだ。あんな事があったからだ。

 俺はまだちびっ子だけど、もし抵抗できる力があったら。

 単純な腕力では大人に敵わないけど、魔法なら抵抗できるかも知れない。そしたら、みんなに心配掛けずに済むかも知れない。

 なら、俺が選ぶ答えは1つなのだ。


「もっと、ポカポカぐるぐる頑張るのら」

「ロロは良い子だね~」


 そしてディさんは、いつもの様に自分でお野菜を収穫して、特盛サラダを作ってバクバクモリモリ食べて帰った。

 やっぱり、ニコ兄のお野菜目当てだったのだ。


お読みいただき有難うございます!

感想も有難うございます。嬉しいです!

明日も読むぞ!と、応援して下さる方は是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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