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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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77ー出てきちゃった

「ロロ、大人は色々あるんだよ」

「れおにい、しょお?」

「そうね。座らなかったら、ちょっぴり恥ずかしいかもね」


 リア姉まで言うのだからそうなのか?


「わふん」

「え?」


 ピカさん、君は大人なのだね。


「ロロ、ピカは何て言ったの?」

「おとなは、ちょっとはじゅかしいって」

「ふふふ」

「あれ? ロロ、ピカに触れてないのに何を言ってるのか分かるのか?」


 おやおや? そういえば、そうなのだ。今も、ピカに触れなくても分かったぞ。普通に会話していたのだ。


「ありゃ……わかるのら」

「ロロ! いつから? どうして? テイムはしてないよね? ピカをテイムできる筈ないんだ」


 ディさん、一度に幾つも聞かないで欲しい。


「えっちょ……おきてから?」

「ロロ、ちょっと見てもいいかなぁ?」


 ズズイと近寄ってくるディさんの目が怖い。

 ディさんのエメラルド色した綺麗な瞳が、ピカーンとゴールドに光った。また精霊眼で俺を見たのだ。


「うん、やっぱりテイムはしてない。なのに、どうして? いや、それよりロロ。ロロはテイマーのスキルが生えてるよ。これは、コッコちゃんをテイムしたからだよね。それだけじゃない。回復魔法が使えるようになっている。どうして? 何で? 前はそんなのなかったよね?」


 ディさんが、グイグイ来るのだ。そんな事を言われても……


「しらない」

「ええー! 何でだよぉー!」


 だって、知らないものは知らないのだ。回復魔法なんて使った事ないし。

 強いて言うなら……


「めがみの……いきなはからい?」

「ぶはッ!」

「ふふッ!」


 レオ兄とリア姉が、吹き出しているぞ。

 そんな事を俺に聞かれても、分からないのだ。

 どうやら俺は、回復魔法が使えるようになっているらしい。使った事がないけども、ディさんが言うなら本当なのだろう。

 女神よ、先に言っておいて欲しいのだ。もしかして、お詫びのつもりなのかな?

 そんな脱線はあったのだが、無事にメアリーさんがコッコちゃん達をテイム出来たのだ。1羽ずつ順にだよ。俺みたいに同時に何羽もは出来ないらしい。普通はできないとディさんが言っていたのだ。

 メアリーさんが『お座り』と言う度に、ヒョイッとお座りするコッコちゃんを見て2人は大爆笑していたのだ。


「ワッハッハッハ! マジで座ったぜ!」

「やだぁ! 本当なの!?」


 なんて、盛り上がっていた。いや、お腹を抱えて笑っていたのだ。

 でも見ていると、コッコちゃんはオスカーさんの方に寄って行っている。テイムできなかったのにどうしてなのだ?


「コッコッコッ」

「クックックッ」


 ほら、やっぱりだ。4羽がオスカーさんの足元に行くぞ。

 俺は、ディさんの側に行きクイクイッと服の裾を引っ張る。


「でぃしゃん、こっこちゃんどうして?」

「ん? 何がかな?」

「こっこちゃん、おしゅかーしゃんの方にいくのら」


 短いプックリとした指でコッコちゃんを指す。オスカーさんの、足元に群がるコッコちゃんが4羽。

 ディさんがしゃがんで話を聞いてくれる。


「おや、本当だね。オスカーさんの方が気に入ったのかな? テイムできなかったのにね」

「ね~」

「もしかして、雌寄りなのかな?」

「でぃしゃん、卵をうむからみんなメスなのら」

「ああ、ロロはしらないんだね。魔鳥には雌も雄もないんだ。両性なんだよ」

「ひょぉッ!?」


 なんとッ!? 両性具有らしい。驚いたのだ。

 だから、捕獲したコッコちゃんはみんな卵を産むのだね。


「そうだよ。フォリコッコはみんな卵を産むんだ。それだけ繁殖力が強いんだけど、なにしろ弱いからね。直ぐに食べられてしまうんだ。卵だって狙われるからね」

「ありゃりゃ、かわいしょう」

「そうだね。もしかしたら、コッコちゃんは飼われる方が幸せかもしれないね。狙われないし、餌はもらえるし」


 ああ、だからなのか。どのコッコちゃんも打算的な事を話していた。

 もしかしたら、餌がもらえるかもと言っていたのだ。コッコちゃんもきっと平和に暮らしたいのだ。


「おいおい、可愛いじゃねーか」


 オスカーさんが懐いてきたコッコちゃんを撫でている。簡単に触らせるのだね。本当に、警戒心がないのだ。


「お野菜のクズだけど、食べるかしら?」


 と、メアリーさんがお野菜を持ってきた瞬間に、コッコちゃんは速攻で移動した。見事な手のひら返しなのだ。


「コッコッコッ」

「コケッ」


 直ぐにお野菜に食いついた。朝ごはん食べたところなのに、食いしん坊なのだ。


「なんだよ、食い気かよー」


 オスカーさんは料理をしているから、もしかして良い匂いがしたのかも?

 とにかく、テイムできて良かったのだ。もう馴染んでいるみたいだしね。


「後で、ギルマスに言っておくよ。テイムしているって証明の、チョーカーを付けるんだ」

「しょう、ぴかみたいなの」

「わふ」


 ピカが首を伸ばして、付けているチョーカーを自慢気に見せた。


「キュルン」


 鳴きながらチロが、俺のポシェットから尻尾を出した。

 ボクも付けているよ。と、言っているのだ。起きていたのだね、いつも寝ているのに。


「え……?」

「あら……?」

「キュルン」


 今度はお顔を出したのだ。俺のポシェットから、チョロッとお顔を出している。出てきたら駄目なのだ。

 もう、お顔を出してしまったものは仕方がないな。


「ちろ。へびしゃん」


 俺は、堂々とチロを紹介した。両手でポシェットを前にズズイと出してだ。


お読みいただき有難うございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公も魔法を少しずつ使えたらいいですね。 神獣はテイムではなく別のカテゴリーのようですね。
[良い点] この回、ツッコミどころ満載でレオ兄、リア姉同様ツボりました(≧∀≦)
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