77ー出てきちゃった
「ロロ、大人は色々あるんだよ」
「れおにい、しょお?」
「そうね。座らなかったら、ちょっぴり恥ずかしいかもね」
リア姉まで言うのだからそうなのか?
「わふん」
「え?」
ピカさん、君は大人なのだね。
「ロロ、ピカは何て言ったの?」
「おとなは、ちょっとはじゅかしいって」
「ふふふ」
「あれ? ロロ、ピカに触れてないのに何を言ってるのか分かるのか?」
おやおや? そういえば、そうなのだ。今も、ピカに触れなくても分かったぞ。普通に会話していたのだ。
「ありゃ……わかるのら」
「ロロ! いつから? どうして? テイムはしてないよね? ピカをテイムできる筈ないんだ」
ディさん、一度に幾つも聞かないで欲しい。
「えっちょ……おきてから?」
「ロロ、ちょっと見てもいいかなぁ?」
ズズイと近寄ってくるディさんの目が怖い。
ディさんのエメラルド色した綺麗な瞳が、ピカーンとゴールドに光った。また精霊眼で俺を見たのだ。
「うん、やっぱりテイムはしてない。なのに、どうして? いや、それよりロロ。ロロはテイマーのスキルが生えてるよ。これは、コッコちゃんをテイムしたからだよね。それだけじゃない。回復魔法が使えるようになっている。どうして? 何で? 前はそんなのなかったよね?」
ディさんが、グイグイ来るのだ。そんな事を言われても……
「しらない」
「ええー! 何でだよぉー!」
だって、知らないものは知らないのだ。回復魔法なんて使った事ないし。
強いて言うなら……
「めがみの……いきなはからい?」
「ぶはッ!」
「ふふッ!」
レオ兄とリア姉が、吹き出しているぞ。
そんな事を俺に聞かれても、分からないのだ。
どうやら俺は、回復魔法が使えるようになっているらしい。使った事がないけども、ディさんが言うなら本当なのだろう。
女神よ、先に言っておいて欲しいのだ。もしかして、お詫びのつもりなのかな?
そんな脱線はあったのだが、無事にメアリーさんがコッコちゃん達をテイム出来たのだ。1羽ずつ順にだよ。俺みたいに同時に何羽もは出来ないらしい。普通はできないとディさんが言っていたのだ。
メアリーさんが『お座り』と言う度に、ヒョイッとお座りするコッコちゃんを見て2人は大爆笑していたのだ。
「ワッハッハッハ! マジで座ったぜ!」
「やだぁ! 本当なの!?」
なんて、盛り上がっていた。いや、お腹を抱えて笑っていたのだ。
でも見ていると、コッコちゃんはオスカーさんの方に寄って行っている。テイムできなかったのにどうしてなのだ?
「コッコッコッ」
「クックックッ」
ほら、やっぱりだ。4羽がオスカーさんの足元に行くぞ。
俺は、ディさんの側に行きクイクイッと服の裾を引っ張る。
「でぃしゃん、こっこちゃんどうして?」
「ん? 何がかな?」
「こっこちゃん、おしゅかーしゃんの方にいくのら」
短いプックリとした指でコッコちゃんを指す。オスカーさんの、足元に群がるコッコちゃんが4羽。
ディさんがしゃがんで話を聞いてくれる。
「おや、本当だね。オスカーさんの方が気に入ったのかな? テイムできなかったのにね」
「ね~」
「もしかして、雌寄りなのかな?」
「でぃしゃん、卵をうむからみんなメスなのら」
「ああ、ロロはしらないんだね。魔鳥には雌も雄もないんだ。両性なんだよ」
「ひょぉッ!?」
なんとッ!? 両性具有らしい。驚いたのだ。
だから、捕獲したコッコちゃんはみんな卵を産むのだね。
「そうだよ。フォリコッコはみんな卵を産むんだ。それだけ繁殖力が強いんだけど、なにしろ弱いからね。直ぐに食べられてしまうんだ。卵だって狙われるからね」
「ありゃりゃ、かわいしょう」
「そうだね。もしかしたら、コッコちゃんは飼われる方が幸せかもしれないね。狙われないし、餌はもらえるし」
ああ、だからなのか。どのコッコちゃんも打算的な事を話していた。
もしかしたら、餌がもらえるかもと言っていたのだ。コッコちゃんもきっと平和に暮らしたいのだ。
「おいおい、可愛いじゃねーか」
オスカーさんが懐いてきたコッコちゃんを撫でている。簡単に触らせるのだね。本当に、警戒心がないのだ。
「お野菜のクズだけど、食べるかしら?」
と、メアリーさんがお野菜を持ってきた瞬間に、コッコちゃんは速攻で移動した。見事な手のひら返しなのだ。
「コッコッコッ」
「コケッ」
直ぐにお野菜に食いついた。朝ごはん食べたところなのに、食いしん坊なのだ。
「なんだよ、食い気かよー」
オスカーさんは料理をしているから、もしかして良い匂いがしたのかも?
とにかく、テイムできて良かったのだ。もう馴染んでいるみたいだしね。
「後で、ギルマスに言っておくよ。テイムしているって証明の、チョーカーを付けるんだ」
「しょう、ぴかみたいなの」
「わふ」
ピカが首を伸ばして、付けているチョーカーを自慢気に見せた。
「キュルン」
鳴きながらチロが、俺のポシェットから尻尾を出した。
ボクも付けているよ。と、言っているのだ。起きていたのだね、いつも寝ているのに。
「え……?」
「あら……?」
「キュルン」
今度はお顔を出したのだ。俺のポシェットから、チョロッとお顔を出している。出てきたら駄目なのだ。
もう、お顔を出してしまったものは仕方がないな。
「ちろ。へびしゃん」
俺は、堂々とチロを紹介した。両手でポシェットを前にズズイと出してだ。
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