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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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75/485

75ークールビューティー?

「いたらきましゅ」

「いただき!」


 ニコ兄と2人で、フォークにお魚の唐揚げを刺して、あぁ~んとお口に入れる。

 噛むと、サクッと音がする。そしてお口の中に、ほんのりと甘みを感じるお魚さん。


「ぴょぉ〜! うまうまッ!」

「な、超美味いな!」

「あら、本当。美味しいわ」


 魔魚の唐揚げ、みんな大絶賛なのだ。

 お魚なのに口に入れるとジュワッと旨味が溢れてくる。肉厚なのだ。皮もパリッパリで香ばしくて美味しい。


「さくさくふわふわら」


 伝わるかな? 俺の辿々しい表現で。

 お肉じゃなくて、お魚だからフワッフワなのだ。

 そして、衣がサックサクだ。これは、マリーが上手なのだ。あんなに大雑把な作り方だったのに。

 これはあれか? 沢山作ると、なんでも美味しいと言う法則なのか? 美味しいから良いのだけど。


「ぴか、うまうま?」

「わふッ」

「キュルン」


 とっても美味しいらしい。今日はチロも唐揚げを食べている。いつもは胸肉を茹でたものなのだけど、唐揚げをブチッと噛み切りながら食べている。

 みんな笑顔なのだ。こんな平和がいいね。ちょっと事件があった後だから余計にそう思う。

 エルザが、お仕事から帰ってきて驚いていた。


「やだ、めっちゃ増えてる!」


 アハハハ、そうなのだよ。コッコちゃんの事を言っているのだ。

 その日、ディさんはお泊りして行った。

 翌日、早速コッコちゃんを届けに行く。それにディさんが付き合ってくれるのだ。

 うちだとコッコちゃんは大人しくしているけど、もしも、教会や『うまいルルンデ』で飼えそうもなかったら、うちに連れて帰ってくるんだって。


「誰か、テイムできそうな人がいれば良いんだけどね」


 なるほど~、そうだったのだ。

 うちではレオ兄と俺がテイムしているらしい。偶々、そうなったのだ。

 まさか、掌を前に出す事がそうなるなんて思わなかった。だって全然知らなかったし、かっちょいいと思っただけなのだ。


「ロロ、レオ兄のそばを離れるんじゃないぞ」

「にこにい、らいじょぶなのら」

「ニコ、大丈夫だよ。ちゃんと見ているから」

「おう。じゃあ、いってくる!」

「おばあちゃん、いってきます!」

「あらあら、またお弁当を忘れているわよ」

「あ、ありがとう!」


 ニコ兄が何度も振り返りながら、畑に出掛けて行った。

 俺はニコ兄が、見えなくなるまで手をフリフリしていたのだ。


「ニコは本当に心配性になっちゃったね」

「うん、しかたないのら」

「そうだね。もう少ししたら落ち着くだろう」

「れおにい、しょお?」

「うん、多分ね」


 多分かぁ~。それに、ニコ兄だけじゃないんだよなぁ。もっと手強いのがいるのだよ。

 さっきから俺にピトッとくっついて、俺のお腹をぷにぷにと触っている奴をジトッと俺は見る。


「なによ、ロロ」

「りあねえ、くっちゅかないれ」

「そんな冷たい事言わないでよ」


 そうなのだ。リア姉がやたらとくっついてくる。それも、お腹を触ったり、ほっぺにスリスリしながらなのだ。

 これは心配性と言うのか? 今迄遠慮していたのが、しなくなっただけではないのか? タガが外れたのではないか?


「みんなロロが大好きなんだよ」

「でぃしゃん、ボクもみんながしゅきら」

「ロロー!」


 ああ、ほら。ディさんと話しているのに、抱き着いてきたよ。しかもまた俺のお腹をプニプニしている。やめれ。


「れも、じゅっとくっちゅいてるのはらめ」

「ロロォ~」

「りあねえ、らめ」

「分かったわよぅ」

「アハハハ」


 ほら、ディさんも笑ってるぞ。シャキッとしようぜ。

 普通にしていたら、リア姉はどちらかというとクールビューティーなんだからさ。本当はちょっぴり脳筋気味なのを上手く隠せているのだ。


「じゃあ、マリー。僕達も行ってくるよ」

「はいはい、お気をつけて。ピカ、ロロ坊ちゃまをお願いね」

「わふん」


 ああ、マリーも少し心配性になっている。マリーの目の前で、攫われたのだから仕方ないのだ。

 リア姉とレオ兄に、手を繋いでもらって街まで歩く。トコトコと歩いて行く。

 俺達の前には、ディさん。後ろにはピカだ。完璧な布陣だよ。

 そして前を歩くディさんは、コッコちゃんが7羽繋がれた縄を持っている。7羽だよ。とっても賑やかなのだ。

 ずっと『コッコッコ』『クックック』と何かを話している。キョロキョロしながらだ。「どこに行くんだろうね~」とでも話しているのかな?

 でも、横に逸れたりせずちゃんと並んで付いてくる。お利口さんなのだ。

 街中に入ると、知らない人達が声を掛けてくる。


「チビ、無事で良かったな!」

「助かって良かったわ!」

「なんだ!? でっかい鳥だな!」


 と、声を掛けてくれるのだ。コッコちゃんにも驚いているよね。


「みんなしってるのら」

「そりゃそうだよ、街中で攫われたんだから沢山の人が見ていたんだ」

「しょっか」

「それに、ピカは目立つからね」

「ぴか?」

「そうだよ、こんなに大きなワンちゃんは見た事がないだろう?」

「ん~、ぴかしかしらない」


 それどころか、他のワンちゃんをあまり見た覚えがないのだ。


「そうね、あんまり見ないわよね」

「ね~」

「わふ」

「え、しょうなの?」

「わふん」


 え、それは知らなかったぞ。


「ねえ、ロロ。ピカは何て言ってるの?」

「ぴかがいるから、わんちゃんは出てこないんらって」


 と、俺は通訳する。


お読みいただき有難うございます!

感想も有難うございます。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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