表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/485

72ーコッコちゃんマスター

「にこにい」

「あ、ロロ。起きたか?」

「こっこちゃん」


 ニコ兄がすぐ隣にいてくれたのだ。手にはあの白いマッシュを持っている。ニコ兄は好きだね。きっと、どうやって育てようか考えているのだろう。

 俺はお座りしているコッコちゃんを指差した。


「レオ兄がやったんだ。やっぱ座るんだよ! アハハハ」

「本当、意味が分かんないわ! ウフフフ」

「アハハハ! ダメ、笑いすぎてお腹が痛い! アハハハ!」


 みんな爆笑なのだ。特にディさん、大爆笑なのだ。目に涙を溜めて笑っている。大爆笑していても、笑顔がとってもキラキラしているのだ。


「おしゅわりしゅるのら」

「な、不思議だな」


 本当、不思議なのだ。きっとコッコちゃんは、俺達が話している言葉を理解しているのだろう。それだけお利口さんなのだ。


「あ、またこっこちゃんら」

「やっぱ、ププーの実を食べに来るんだな」

「しょうねー」


 コッコッコッと鳴きながら、頭を前後に動かしてテケテケと歩いて来たコッコちゃん。

 本当に、警戒心がないのだね。そんなに無防備に、人前に出てきたら捕まってしまうよ。捕まえちゃうけど。


「でぃしゃん、いうのら」

「え、僕?」

「しょうら。こっこちゃんに手をむけて『おしゅわり』ら」

「よし! 僕も捕まえるぞ」


 ディさんが、ちゃんと構えてコッコちゃんを見つめるけど、コッコちゃんはププーの実に気を取られていてこっちを見てくれない。キュートなお尻を向けている。

 よし、俺が直々に伝授して進ぜよう。


「でぃしゃん、マネしゅるのら。こっこっこって」

「え……そうなの?」

「しょうなのら」

「分かった。コッコッコッ」


 すると、ヒョイとこっちを見たコッコちゃん。何事かとこちらに歩いてくる。頭をヒョコヒョコと前後に動かして『コッコッコッ』と鳴きながらだ。ディさんは、超真剣モードなのだ。


「でぃしゃん、目をみていうのら」

「よし、目を見るんだね。手を翳して……」


 ディさんがやるとかっちょいいのだ。何故に? 不公平なのだ。

 さあ、魔法の言葉を張り切って言ってみよう。


「お座り」

「ククッ」

「座った!」

「ねー、しぇいこうらねー」


 コッコちゃんが大人しくお座りしたのだ。これで、ディさんもコッコちゃんマスターなのだ。


「あッ! また出て来たぞ!」


 ニコ兄が指をさしながら大きな声で言った。でも……


「こっちからもだ!」

「ロロ、あっちにもいるわよ!」

「こっちもだ!」


 ありゃりゃ、あっちもこっちも大変なのだ。全部で4羽も出てきた。コッコちゃんもププーの実を狙っているんだね~。もう残り少ないからだね。ふむふむ。


「ひょぉ~!」

「ロロ、どうしよう!?」


 どうしようと言われても。3歳のちびっ子に指示を求めるのは止めよう。ディさんは1番年上なのだ。何百歳だっけ?


「ロロ、呑気にしてないで! どうすんだよ!」

「らからぁ~……」


 俺にだって分からんぞ。俺はまだ寝起きなのだ。まだちょっぴりボ~ッとした頭で考える。考えても分からないものは分からない。

 ええい、やけくそなのだ。


「ふゅ~……」


 大きく息を吐いて、足を肩幅位に開いて立つ。うん、とっても幼児体形だ。お腹がポヨンポヨンしているぞ。今はお腹が一杯だからね。

 それにしても、ディさんとえらい違いだ。いや、そんな場合じゃない。

 俺は、両手をコッコちゃん達に向けて大きな声で言った。


「おしゅわりぃッ!!」

「ククッ」

「クッ」


 そう鳴きながら、コッコちゃん達はみんな一斉にお座りをしたのだ。

 合計4羽のコッコちゃん。あっちでも、こっちでもお座りをしながら、キョトンとして俺を見ている4羽のコッコちゃん。

 豆鉄砲を食らったような顔とはこの事だろう。

 コッコちゃんも、何が何だか分かっていないのだ。なのに、ちゃんとお利口さんにお座りをしている。条件反射なのか? 『お座り』が百発百中なのだ。


「ロロ!」


 ディさんが、大きな声で呼びながらやって来て俺の両肩を掴む。

 ドアップだ。イケメンのドアップは心臓に悪いのだ。やっぱディさんは良い匂いがするのだ。


「どうやったの!? 何をどうしてこうなった!?」

「おしゅわりなのら」

「いやいやいや……」


 おや、いつもより『いや』が多いのだ。


「ロロ、これは凄い事なんだよ」

「え……しょう?」

「そうだよ。一度に何羽テイムしたんだよ」


 テイムなのか? そうなのか? ただお座りしただけじゃないのか?


「いやいやいや、テイムしているよ。試しに呼んでごらん?」

「え……しょう?」


 そうか? そんなに言うなら試しに呼んでみようではないか。


「こっこちゃん、おいれ~」

「ククッ」


 そう鳴きながら、コッコちゃんが4羽、俺を目掛けてやって来たのだ。

 俺の頭より、少しだけ高い所にコッコちゃんの頭が4つ。コケッと鳴いている。ちょっと、引いちゃうよ。俺、コッコちゃんに埋もれちゃうよ。うぷッ。


「わふッ」


 ピカが一鳴きすると、コッコちゃんは俺の前に整列してまた座ったのだ。


「ぴか、ありがと」


 ピカが、整列してお座りだよとコッコちゃんに言ってくれたのだ。

 よし、ワシワシと撫でてあげよう。


「アハハハ! ロロは本当に奇想天外だね~!」


 とにかく、捕まえられたのだから良しとしよう。



お読みいただき有難うございます。

感想も有難うございます!

明日も読むぞ!と、応援して下さる方は是非とも、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ