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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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71ーマリーのお弁当

「見てて」


 そう言って、ディさんは矢のない弓を構える。そこに、光る矢が現れたのだ。何も無いところにだ。これが、魔法で作った矢なのか!?

 綺麗なエメラルドグリーンで、しかも光っている。先端が尖っていて、ちゃんと矢の形をしているんだ。

 こんな事が出来るエルフって、存在自体が別物だと痛感させられてしまう。圧倒的な力の差だ。

 ディさんは顔色一つ変えずに、それをヒュンッと射る。風圧で、キラキラした髪が後ろに靡く。弓を射る、しなやかな姿勢と相俟って一枚の絵画の様だ。

 まるで吸い込まれる様に、矢が魔獣に命中した。しかも、頭を狙っている。


「ぴょぉ〜! でぃしゃん、しゅごいしゅごいッ!」

「アハハハ、そうだろう?」


 思わずパチパチと拍手をしてしまった。俺1人だけど、拍手喝采なのだ。劇場なら、スタンディングオベーションだ。

 ディさんが、長い睫毛の目でバチコーンとウインクをした。カッケーな。

 俺もやりたい! 無理だけど。弓を持って構える事さえできないぞ。ちびっ子用の弓ってないのかな?


「僕のは、エルフの皆が使う風魔法の矢なんだ。でも、エルフの中でも最強と呼ばれている人は、マジックアローと言って魔力そのもので矢を作り出すんだ。凄いんだよ。僕なんか全然敵わない位に強いんだ」

「ひょぉー!」


 びっくりしまくりなのだ。SSランクの、ディさんが敵わないなんて想像もできないのだ。

 エルフって、俺達とは次元が違うのだ。だって、転移だってできるのだもの。そのお陰で、俺は助かったのだ。


「僕は長距離の転移はできないよ。長老なんて国を跨いで転移するからね。レオやロロは魔法が使える方だと思うよ。魔力操作の訓練を怠らない事だね」


 ふむふむ。ポカポカぐるぐるなのだな。よし、今日からまた寝る前に練習しよう。

 ディさんの話に、よくエルフの長老さんが登場する。それだけ、尊敬しているのだろう。

 でもきっと、ディさんは長老さんと仲良しなのだ。そんな表情で話すのだ。

 さて、マリーのお弁当なのだ。その前に、またレオ兄が魔石を置く。そうなのだ、この魔石に付与するのも出来る様になりたいのだ。

 今日は野望が3つ増えたのだ。

 マジックバッグを作ってみたい。

 魔法の矢を作れる様になってみたい。

 リア姉の剣帯を作ってみたい。

 どんどん増えていくのだ。どうしよう。もう覚えきれない位なのだ。


「ロロは戦う方じゃないんだね」

「え……むり」

「アハハハ、無理なの?」

「うん、こわわ」

「そうかぁ、まだちびっ子だからね」


 もしかして、エルフはちびっ子でも強いのか? 俺みたいなちびっ子でもさ。


「とんでもなく強いよー。身体強化をするからね」


 ああ、もう分からない言葉だらけなのだ。お腹が空いたから食べよう。


「ロロ、手を出して」

「あい」

「クリーン」

「れおにい、ありがと」

「さ、食べよう」


 俺はまだクリーンでさえ、レオ兄にしてもらっている。先にクリーンを出来る様にならなきゃな。


「いたらきましゅ」

「いただき」


 マリーの作った、相変わらず大きなサンドイッチを両手で持ち、あぁ〜んと食べる。

 今日はベーコンエッグサンドなのだ。勿論、卵はコッコちゃんの卵なのだ。目玉焼きじゃないけど。

 一緒に挟んである、トマトとレタスが新鮮で美味しいのだ。


「うまうま」

「な、美味いな」

「マリーさんのサンドイッチは大きいんだね」

「しょうなのら」

「ふふふ、マリーはいつもね」

「昔っからだね」


 そうなのか? マリーの大雑把なところは今に始まった事ではないらしい。

 俺は、その大きなサンドイッチを頬張りモグモグと一生懸命食べる。一口が小さいから、俺は食べるのが大変なのだ。普通はこれを半分に切らないか?


「ピカ、チロ、うまうま?」

「わふん」

「キュルン」


 美味しいらしい。ピカはマリーの大きなサンドイッチもパクッとあっという間に食べてしまう。

 チロは相変わらず、胸肉を茹でたものをブチッと噛みちぎって食べている。ワイルドなのだ。


「今日は楽しいな」

「うん、にこにい」


 俺が攫われた事件から、過保護になったのはピカとチロだけじゃない。

 みんななのだ。特に、ニコ兄。リア姉じゃなく、意外にもニコ兄なのだ。

 こうして、一緒に外に出る時には俺のそばを離れない。必ず手を繋いで横にいる。

 心配掛けてしまったのだと痛感するのだ。

 ニコ兄が俺に言って聞かせる。


「このシールドの中だと安全だからな。出たら駄目だぞ」

「うん」


 俺も知っているのに態々念を押す。心配性なのだ。

 それにしても、今日はまだコッコちゃんを見ないなぁ。コッコちゃん、捕まえたいのに。

 でも、ププーの実はまた採って帰ろう。

 その前に、食べたら俺はお昼寝だ。瞼が勝手に閉じてきて、我慢できないのだ。

 ピカに寄り掛かってお昼寝なのだ。




「アハハハ! ウケるよー!」


 むむむ……スヤスヤと気持ちよくお昼寝をしていたのに、なんだか周りが騒がしくて目が覚めちゃったのだ。


「ふわぁ〜……」


 大きな欠伸をして、寝惚けまなこを擦りながら周りを見る。


「アハハハ! 本当だ! お座りしてるよー!」


 ディさんの声なのだ。見るとコッコちゃんがちょこんと座っている。


「何かありましたか?」


 と、でも言いたそうな表情でキョトンとしている。

 それを指さしながら、ディさんがお腹を抱えて笑っているのだ。


お読みいただき有難うございます!

またまたコッコちゃんの登場です。今回は何羽捕まえられるでしょう?

応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼのとしたいい作品ですね。 続きを楽しみにしてます。
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