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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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69ーまた魔魚

 結構、上流まで来たと思うのだ。俺は、ピカに乗っているから平気だけど。横を歩いているニコ兄が少し心配なのだ。


「にこにい、らいじょぶ?」

「平気だぞ。俺は毎日畑で動いているからな」

「おぉー、かっちょいい」

「アハハハ」


 何故かディさんが笑っているのだ。


「ロロのお兄さんも、お姉さんもみんなカッコいいよ」

「うん」


 そうなのだ。リア姉、レオ兄、ニコ兄、みんなカッコいいのだ。

 みんながいてくれるから、俺は毎日楽しいのだ。リア姉、レオ兄、ニコ兄の側が、1番安心なのだ。

 川幅が少し狭くなる程、上流へやって来た。少しだけ、川の辺りが開けている場所に出たのだ。そこには、ププーの木が数本だけ生えていた。


「あ、いっぱいあるのら!」


 ププーの実が、まだたわわに生っていた。でも、どれももう完璧に色付いている。あと1日でも遅かったら、大半が熟れ過ぎて落ちていたのではないかという位だ。熟れたププーの実の甘い匂いが辺りに漂っている。


「ギリギリだったね〜。今日来て良かったね」


 ほら、ディさんもギリギリだと言っている。

 お昼前まで掛かって、この場所まで歩いて来たのだ。かなり上流まで来ている。川の流れも急になっているみたいだ。

 そこをパシャッと何かが跳ねた。

 ん? 何だ? お魚さんかな?


「レオ! 釣るわよ!」


 リア姉が張り切っている。だから、今日も釣り竿を持って来ていたのか。

 もしかして、また魔魚なのかな?


「リア、レオ、離れた場所から釣らないと危険だよ」

「はい、ディさん」


 釣り竿を持っていた、リア姉とレオ兄が川から少し距離を取る。


「でぃしゃん、あぶないの?」

「そうだよ。魔魚だからね、人影が見えると川の中から飛び掛かってくるんだ」

「ぴぇ……」


 思わず、横にいたニコ兄の腕にしがみ付いてしまったのだ。

 なんだ、なんだ? この世界のお魚さんは皆攻撃的なのか? 前に釣った魔魚も、食いつこうとして飛び跳ねるとか言ってなかったか? 食いつくとか、飛び掛かってくるとか物騒なのだ。


「ロロ、魔魚だって」

「にこにい……こわわ」

「離れて見ていような」

「うん」


 ディさんは手に小刀を持って待機している。


「釣ったら直ぐに締めないと危険だからね」

「前とは違うおしゃかな?」

「そうだよ。この辺りの上流にしかいないんだ。白身で淡白なんだけど、唐揚げにするととっても旨味があって美味しいんだよ」

「ひょぉ〜、たべたいのら」

「ね、楽しみだね」


 それに、この魔魚の卵の塩漬けにレモン汁やオリーブ油等を加えてペースト状にしたディップが高級品なのだそうだ。

 だから、この魔魚は良いお値段でギルドが買い取ってくれる。貴族が通う様な高級レストランに売るらしい。

 早速、レオ兄が釣り上げた。

 体に白い斑らがあって、背中とお腹が鮮やかな黄色だ。前に釣ったお魚より一回り程小さい。30センチ位かなぁ? お腹がぷっくりしているから、卵を持っているのだ。

 すると、ディさんが小刀を魔魚の頭に思い切りよくぶっ刺した。


「え……」

「この魔魚は、こうしておかないと、臭みが出てしまうんだ」

「びょぉ〜」


 リア姉とレオ兄が、次から次へと釣り上げる。


「入れたら直ぐに食い付くわ!」

「全然、警戒していないんだね」


 そりゃそうなのだ。こんな場所まで普通の人達は来られないだろう。魔獣がバンバン出てくるのだ。

 ほら、今だってピカが瞬殺で倒している。


「わふぅ」

「え、しょう?」

「わふん」

「ありゃりゃ」


 魔獣も、残ったププーの実を食べに来るらしい。ん? あれは何だ?

 ププーの木に寄りかかる様に生えている、小さな木の幹にまぁるい白いものがあるのだ。直径10センチ位かな? 大き目のシイタケみたいで、それよりもフワフワ感がある。平たいのではなく、厚みがあるのだ。


「にこにい、あれなぁに?」

「なんだ?」

「あの白いまぁるいの」


 俺は、ププーの木の下を指差す。短い人差し指でごめんね。


「え……あれって……ディさん!」

「ニコ、どうした?」

「あれだよ、あれ! 図鑑で見た事あるぞ! あの白いマッシュ!」


 ニコ兄も一緒に指を刺す。


「ニ、ニコ! あんなのよく見つけたね!」

「違うんだ、ロロが見つけたんだ!」

「凄いよ! 僕でもあまり見た事がないよ!」


 ん? 何なのだ? 珍しいものなのか? てか、美味しいのか?

 ディさんはその白いマッシュを横目で見ながら、手は魔魚をぶっ刺している。グサッとね。


「ロロ、残念ながら食べるものじゃないね。あらゆる状態異常を完全に回復させるポーションの材料なんだ。普通は手に入らないんだよ!」


 なんだ、食べ物じゃないのか。ちょっぴり残念なのだ。

 まだまだディさんは、魔魚をぶっ刺す。グサッ、グサッとね。


「何言ってんだよ! あれは本当に見つからないんだ。ダンジョンの深層にしかないと言われていたんだ! こんな場所に生えていたんだね。態々、こんな場所まで誰も来ない。そりゃ見つからないよ。アハハハ」


 ほぅ。それは珍しいのだ。ディさんの手はまだ止められない。ずっと魔魚をぶっ刺している。俺はそっちの方が気になるのだ。


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告も有難うございます。

続きも読むぞ!と、いう方は、宜しければ評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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感動して話しながら、ぶっ刺す………………ww
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