表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/485

62ー舐めてたね

 4人をバインドしてからピカの行動は早かった。


「わふッ」

「キュルン」

「ぴか……ちろ……」


 ピカが俺を背中に乗せた。どうやって乗せたのかは分からない。とにかくフワリと宙に浮いて、そっとピカの背中に乗せられたのだ。

 そして、ピカの魔法なのだろう。俺が落ちない様に、見えない何かで固定されたのだ。え? これって俺もバインドなの?


「わふぅ」


 だって落ちたら痛いよ? なんてピカは言うのだ。確かに、落ちるのは嫌だ。仕方がない。

 それからピカは走った。階段を上がり、邸のドアをブチ破り、湖の畔を走り抜け木立の中に入って行ったのだ。

 俺は助かったらしい。ここからどうやって、街まで帰るのかは分からないけど。ピカに任せておけば大丈夫なのだ。


「キュルン」

「ちろ……ありがと」


 もう体を動かせない俺を、チロが一生懸命癒そうとしてくれている。

 でも、まだ赤ちゃんなのだ。回復が追いつかない。それでも出血は止まってきた。

 ああ、ポーションを飲めたら直ぐに回復できるのになぁ、て思っていたのだ。

 その時だ。ヒュ〜ッと風が吹き目の前に広がる木立の空間がグニャリと歪んだ。これは前にも見た事があるぞ。


「ロロ!」

「あ……」


 どうやって来たのか? どうして俺の居場所が分かったのか? そんな事、全然考えられなかったのだけど。

 何故か、ディさんが目の前に現れたのだ。


「でぃしゃん……」


 それから俺は意識を手放したのだ。

 お昼寝していなかったし。投げられたり叩かれたりしたし。

 身体も痛くて……ちょっと疲れたのだ……ディさんを見たら安心したのだ。

 ああ、良かったのだ。




 ◇◇◇

(レオ視点です)



 僕は『うまいルルンデ』から、ギルドに戻った。

 姉上とマリーを取り敢えず家に帰した。姉上やマリーは冷静じゃいられない。

 本当は僕だって冷静じゃない。でも、2人よりはマシだ。

 それに、もうニコが戻っている頃だ。家に誰もいなかったら、ニコも心配するだろう。ロロの話をしたら、余計に心配してしまうだろうけど。


「レオ! ギルマスに聞いたよ!」

「あ、ディさん」


 滅多にギルドにいない人が、目の前に現れたんだ。

 エルフのディさんこと、ディディエ・サルトゥルスルさんだ。

 滅多にいない人なのに、ピカが狙われた時といい今回といい。きっと気にかけてくれているのだろう。

 街でロロの噂を聞いて、ギルマスなら何か知っているだろうと駆け付けてくれたらしい。有難い事だ。


「じゃあ、僕はロロを助けに行ってくるよ」


 ちょっと畑に野菜を採りに行って来るね。みたいな感じで、ディさんがサラッと言った。然も当たり前の様にだ。


「え!? ディさん、待って。どういう事ですか?」

「レオ、覚えてないかな? 僕が以前、ロロにアミュレットをあげただろう?」

「あ……」

「あれでロロの居場所が分かるんだよ」


 そうだった。ディさんが初めてうちに来た時だ。お守りだと言ってロロの首に掛けていた。


「ディさん! お願いします! ロロを助けてください!」

「任せてよ。レオは安心して、家でロロを待っていてあげて」

「はい!」


 ああ、なんて巡り合わせなんだろう。こんなに頼もしい事はないぞ。

 ピカが一緒にいるだけでも、大丈夫だろうとは思っていたけど。ディさんがロロを助けに行ってくれるという。しかも、ディさんには居場所が分かるんだ。

 もう安心だ。ロロ、無事でいてくれよ。

 早く帰ってみんなを安心させてあげよう。きっとみんな心配している。

 そして、ディさんが言った通り家に帰って待っていたんだ。




 ◇◇◇

(ディさん視点です)



「でぃしゃん……」


 一言そう言ったまま、ロロは意識を失ってしまった。

 なんて酷い怪我なんだ。ピカの背中で、グッタリとしている。確か、ロロはポーションを持ち歩いていた筈なのに。飲む余裕もなかったのか?


「ピカ、魔法でロロが落ちないようにしていたのか?」

「わふん」

「ああ、チロは癒そうとしていたんだね」

「キュルン」


 ほう、流石に神獣だ。きっとピカの力で、逃げ出して来たのだろう。

 チロはまだ赤ちゃんだから、全部癒す程の力はないのか?

 こんな小さな子に、何て酷い事をするんだ。怒りが込み上げてくる。

 ああ、可哀想に……痛かっただろうに……片腕が動かなかったのか。きっと骨折しているな。肋骨はどうだろう? ロロのプックリとした頬が赤黒く腫れている。口の中を切ったのか? 血の流れた跡がある。

 酷い事をする。僕は絶対に許さないぞ。このまま放ってはおけない。

 そんな事を考えながら、僕は回復魔法を使った。回復魔法で傷を治せても、体が本当に回復するのは時間が掛かるだろう。


「それにしても酷い……ハイヒール」


 ロロの体を光が包み込み消えていく。これで、大きな怪我は治った筈だ。

 回復魔法を使った事で、ロロの頬の腫れも引いている。あの酷い状態のロロを、レオ達に見せる訳にはいかない。

 そして、クリーンもだ。ロロの血がついた服を見たら心配するだろう。

 意識が戻ったら念のため、ポーションを飲むように言っておこう。

 僕は、ロロをそっと抱き上げる。チロが慌ててロロのポーチに入って行った。


「ピカ、戻るよ」

「わふん」

「僕に掴まれる?」

「わふ」


 ピカが僕にピタッとくっつき前足でしがみ付いてきた。


「アハハハ、可愛いなぁ」

「わふ」


 僕は、レオ達が待つ家へと転移したんだ。


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告を有難うございます。

続きも読むぞー!と、思って下さる方!

宜しければ、評価やブクマでも応援して頂けると嬉しいです。

毎日投稿する励みになります。

宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新楽しみです。
[良い点] すぐに治療したところ [気になる点] 明確な証拠がなくなったから貴族特権で無罪かな [一言] どうなる?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ