表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/485

58ーかっちょいいのら

 正に、日の出と共にだよ。本当、これが難点なのだ。

 日の出の時間なんてさ、俺はね、まだ夢の中なのだよ。俺だけじゃなくて、みんなだけど。

 そしたら、コケッコー! だからね。夢に見てしまうのだ。コケッコー! と元気よく走り回っているコッコちゃんに乗ってる夢をさ。

 やっぱ、是非とも乗ってみたいのだ。

 でも、ピカが危ないからダメだというのだ。だから、今は我慢なのだ。


「ねえ、マリーさん。子供達でもお世話できそうかしら?」

「はいはい。飛ばないし、お利口さんだから大丈夫だと思いますよ。ただ、テイムしておく方が良いとディさんが言ってましたね。魔鳥ですから」

「テイムだとぉ! そんなの子供達はできねーぞ」

「なら、ハンナでもビオ爺でもいいんですよ。うちも、レオ坊ちゃまとロロ坊ちゃまのお二人がしているそうですから」

「ロロ、テイムできんのか?」

「しらない」

「あらあら、ロロ坊ちゃま。ほらコッコちゃんを捕まえる時ですよ」

「おしゅわり?」

「その時に掌を向けるんでしょう?」

「しょうなのら。しょの方がかっちょいいから」

「え? 坊ちゃま?」

「かっちょいいのら」

「アハハハ! こりゃぁ、テイムしているつもりはねーな」

「でもディさんが、テイムしている証を付けないとって話していましたよ」

「うん、ちょーかーらね。盗まれないようにら。ピカが付けてるみたいなの。かわいいのら」

「アハハハ! そうかそうか!」


 本当に俺がテイムしているのかは分からないのだ。だって、ディさんが見た限りでは、レオ兄や俺にはテイムのスキルは無かったんだ。

 

「あと2〜3羽捕まえたら生えてくるかもね」


 と、ディさんが言っていた。でも、そんなに捕まえる予定もない。捕まえられるのかも分からない。

 だって、コッコちゃんはいつもは何処にいるのか分かってないんだ。ププーの実が生っている時は、それ目当てにやってくるけど。

 

「なあ、ロロ。そのププーの実って美味いのか?」


 猫獣人の子供が聞いてきた。前に一緒に遊んだ子だ。俺が遊んだ事のある子の中では、1番年長さんでニルスと言うのだ。

 いつも俺に話しかけてくれる。面倒見の良い、しっかりしたお兄ちゃんなのだ。


「うん、めっちゃうまうまら」

「おー! ハンナ、食べたい!」

「今日はプリンを食べたから明日ですよ。明日剥いてあげます」

「えー、残念」

「超うまうま」

「おおー!」


 みんな期待で、目が輝いているのだ。


「ププーの実は、森の中を流れている川の近くにしか生えていないのだろう? しかも、熟れすぎると落ちてしまうそうじゃないか。獣も食べに来ると聞いたぞ。だから、なかなか手に入らないんだと」

「しょうなのら。コッコちゃんもププーの実を食べにくるのら。らから、しょこで『おしゅわり』なんら」


 そうなんだよ。だから、捕まえるなら今だ。勝手に寄ってくるから、捕まえ易いのだ。

 孤児院でも飼うなら、レオ兄に相談しなきゃ。また捕まえに行かなきゃならない。 

 ご近所さんも飼いたそうだったし。あと、何羽か捕まえたいのだ。

 それに、ププーの実を剥いてもらって思ったのだ。あの真ん中にある大きな種だ。

 あの種を植えたら育たないかなぁ? 庭に植えてみよう。


「え? 坊ちゃま、種ですか?」

「うん、大きな種らから植えたら芽が出ないかと思って。にこにいなら、できしょうなのら」

「まあまあ! そうですね」


 だろう? ニコ兄なら、育てられそうなのだ。珍しい薬草もちゃんと育てているし。


「庭先に植えてみましょうか?」

「うん、マリー。しょれがいいのら」


 と、俺の野望がどんどん増えていくのだ。

 リア姉とレオ兄の服を作りたい。

 レオ兄にもっと魔法を教わりたい。

 魔石に付与できるようになりたい。

 コッコちゃんに乗りたい。

 ププーの木を育てたい。

 刺繍も上手くなりたい。

 野望が沢山あるのだ。


「マリーさん、真ん中に大きな種があるのですか?」


 ハンナが聞いてきた。食べた事がないらしい。俺も、食べた事はなかったのだ。


「そうそう、そうなのよ。だから、皮を剥く時にね」


 マリーがププーの実の皮の剥き方をハンナに教えていたのだ。

 アボカド剥きだよ。クルッとナイフを入れて、実をグニッとやって、パカッとしたら皮を剥いて切るのだ。


「ロロ、それだと分からんな」

「え……しょぉ?」

「そうだな」


 そうなのかなぁ?

 ププーの実は大きいから、俺の小さな手では無理そうなのだ。でも、ハンナなら出来そうだ。

 そう言えば、レオ兄が今日ププーの実をギルドに納品すると言って幾つか持って行った。お魚も売るのだ。珍しいから良い値段で売れるそうなのだ。


「むふふ」

「なんだ、ロロ。どうした?」

「お魚とププーの実で、りんじしゅうにゅうになるって」

「アハハハ、それでニヤけていたのか。チャッカリしてんなぁ」

「ロロ、外で遊ぼうぜ」

「うん!」


 孤児院の子達とお外で遊ぶ。中身は大人な社会人なのに、楽しいのだ。


「ロロ、その石ころを思いっきり蹴るんだ!」

「うん!」


 いくぞ! とぉッ! と、思いきり蹴っても全然とばない。コロンコロンと、直ぐそこに転がるだけだ。


「アハハハ! ショボ! ロロ、走れ!」

「キャハハハ!」


 前と同じ様に、俺にはニルスが付いてくれる。手を繋いで一緒に走る。

 この遊びは何てんだ? 俺は知らないぞ。自分がちびっ子の頃に、遊んでいた遊びなんて覚えてないけどな。


「ロロ! 走れー!」

「キャハハハ!」

「笑ってないで、走るんだよ! アハハハ!」


 なんて、言いながら笑ってるじゃん。

 沢山、走って遊んだ。最後まで、遠くまで石を飛ばす事はできなかったけど。でも、楽しかったのだ。


お読みいただき有難うございます。

今日はとっても寒いですね。皆様、風邪などひかれませんようお気をつけ下さい。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ