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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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55/485

55ープリン

「だって、どれだけ凄い事をしたのか分かってないよね?」

「ディさん、凄い事なのですか?」

「レオまでそんな事を言うのかい?」

「だって『お座り』ですよ。そう言っただけです」

「アハハハ、それだよね~。そんなの聞いた事ないや」


 あぁ、笑っているのだ。思いついて出来ちゃったのだから仕方ない。まさか『お座り』で言う事を聞いてくれるなんて、俺だって思わなかったのだ。


「あ、そうそう。今日来たのはね、ロロにお願いがあったんだ」

「ボク?」

「そう、ロロに」


 ディさんのお願いとは……

 前にディさんに見てもらったハンカチだ。俺が小さな手で、チクチクと刺繍をしたハンカチ。その事だったのだ。


「レオ君達のリボンと、同じ位の効果を付与して刺繍したものを作れないかなぁ?」

「ん、れきるのら」

「そう!」

「ディさん、ハンカチですか?」

「それがね、ハンカチじゃなくてさ」


 ディさんが出してきたのは、とってもサラサラで綺麗な布地のスカーフだ。スカーフとは言わないのか? マフラーみたく長いやつだよ。

 淡い若葉色の様なグリーン。グラデーションで、端にいくほど色が濃くなっている。角度によってキラキラと光って見える。


「おぉ~、きれーら」

「だろう? この布はエルフの国で織られている布なんだ。これにロロが刺繍をしてくれないかと思ってさ」

「ディさん、ロロですか? ロロはまだちびっ子だし、他にもっと上手に刺繍出来る人がいるでしょう?」

「まあね、刺繍だけならね」


 ふむ。あれだね、お守りが欲しいのだね。


「この端の方に小さくでもいいんだ。葉っぱの柄でさ。ちゃんと対価は払うよ」

「うん、いいよ~」


 お仕事受注しました〜。あざ〜ッす!


「そうッ! ありがとー!」

「いやいや、だからディさん。他に出来る人はいないのですか?」

「レオ、この街で布地に刺繍して付与できる人がいると思う?」

「え? いないのですか?」


 そうなのだ。いなかったのだ。俺はそんな事も知らなくて、ホイホイ刺繍していたのだ。

 魔石に付与できる人なら何人かいる。森でレオ兄が使っていた、シールドの魔石もそうなのだ。普通に街の魔導具店で売られている。

 それが、刺繍でとなるといないらしい。

 俺は、どう違うのか分からないのだ。そうだ、ディさんに聞いてみよう。


「じゃあ、でぃしゃん。ボク魔石にもできる?」

「ん? 魔石に付与するのかな?」

「しょうなのら」

「ん〜……」


 と、考えながらディさんは俺をジッと見る。瞳が光っていたから、きっと精霊眼で見ているのだ。

 ディさんの様な、エルフにしか使えないスキルなのだ。エルフの中でも、一握りの人しか使えないらしい。


「まだ少し無理かなぁ」


 ディさんの見立てだと、刺繍しながら何日も時間を掛けて少しずつ付与するから出来るのだそうだ。

 魔石に付与だとそうはいかない。


「ロロは今から意識して、魔力操作の練習をすると良いよ。魔力量が増えるからね。それに、刺繍で付与する事もそうだ。熟練度が上がると、より強力な付与が出来る様になる。そうしたら、成長とともに出来る事も増えるだろうね」


 なるほど、なるほど。まだちびっ子だからだね。

 それなら、刺繍も魔力操作も頑張るのだ。


「でぃしゃん、じゃあボクくりーんはちゅかえる?」

「え、クリーン? そんなの使えるに決まってるじゃない。これだけの付与が出来るんだから余裕だよ〜」

「ふむふむ」

「フフフ。ロロ、分かっているかい?」

「うん、分かったのら。ポカポカぐるぐるがんばるのら」

「そうそう。レオ君が良いお手本だよ」


 お手本というより、俺の魔法の先生なのだ。いや、魔法だけじゃないな。文字もレオ兄に教わっている。

 そこにマリーが声を掛けてきたのだ。


「ロロ坊ちゃま、そろそろ冷えてますよ」

「おぉー!」

「え? 何、何?」


 そうなのだ。マリーと朝から作って冷やしていたのだ。コッコちゃんの卵で作った超でっかいプリンなのだ。

 朝、庭に出てみるとコッコちゃんが2個ずつ卵を産んでいたのだ。

 真っ白ではなく、ウズラの卵みたいなマダラ模様のある大きな卵。鶏の卵の3倍位ありそうだ。

 その卵で、朝はとろふわオムレツを作った。中が少し半熟のオムレツに、とろけるチーズを挟んである。

 ニコ兄が育てた、完熟トマトを細かくきったトッピング付きだ。とろふわオムレツに、トマトの酸味がベストマッチなのだ。


「なんだこれ!? 卵なのか!?」


 ニコ兄が驚く位に、まろやかで濃厚で美味しかったのだ。


「うまうま」


 思わず俺の、プクプクほっぺも落ちちゃうぞ。


「マリー、これお弁当のサンドイッチにして!」


 と、ニコ兄がリクエストをした位なのだ。

 それから、俺はマリーと一緒にプリンの作成に取り掛かった。失敗は許されないミッションなのだ。

 卵とミルクとお砂糖だけのシンプルなプリン。カラメルソースも無しだ。


「坊ちゃま、大きなお鍋でまとめて作っちゃいましょう」

「え……しょう?」

「はい。食べる時に取り分けましょう」


 ほら、マリーは大雑把だ。1個ずつ小さな容器に入れるのが面倒なのだ。

 まあ、いい。大きなプリンも有りだ。

 それが、大きいからなかなか冷えなかった。やっと、冷えたらしい。なら、食べよう!

 デデンとテーブルに出てきた、コッコちゃんの卵で作った大きなプリン。

 お鍋に入ったままだから、プリンには見えないのだ。やっぱ、見た目も大事だよ。マリーさん。


お読みいただき有難うございます!

お鍋大のプリン、想像してください。^^;

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
イタリアで食べたプリンは、オーブンに入る大きなバットでどーんと作ったものをスパチュラで掬って一人分に分けてました。どーんと作るのは、貴族の館で大人数の使用人仲間と分けあいしてた癖なんじゃなかろうか。
[良い点] 実家だと親子丼なんかもでかい鍋にドカンって感じですよね。 鍋に入ってるとでかい茶碗蒸しみたいなイメージですかね。 こっちの世界ではこれがプリンのイメージになるのかな。 プッチンできればいい…
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