50ーププーの実が好き
※このお話に出てくる鳥さんは、ニワトリではありません。よく似た魔鳥です。
「おぉー」
「レオ兄、スゲー!」
「あら、座ったわね」
な、言った通りだろう? レオ兄なら出来ると思ったのだ。
「意味が分からないわ」
「これは新しい捕獲の仕方なのか?」
フィーネとマティが、若干呆れている様な気もするけど。
「ぴか、ちゅかまえて」
「わふ」
ピカがバインドして終了なのだ。
滅多に人前に出て来ないと言っていた鳥さんを、4羽も捕まえちゃった。へへん。
「よし、縄で縛ってみよう」
レオ兄が、自分のお鞄から縄を出す。持って来ていたのだね。
それを手に、鳥さんに近付いて行く。
「れおにい、あぶない」
「大丈夫だよ、とっても弱いんだ。突かれても痛くないんだよ」
そんなに弱いのか? この弱肉強食の森の中でよく生き残っているのだ。
「逃げ足は早いんだよ。だから、今迄捕まえられなかったんだ」
なるほど〜。でも『おすわり』すると分かったから楽勝なのだ。
レオ兄が手際良く鳥さんの首に縄を縛り付けていく。バインドされているからだろうか、動かないで大人しくしている。
「コッコッコッコ……」
「クックゥ……」
「コッコ」
あれ? 鳥さん達は、何かお話しをしているのかな?
「ぴか、わかる?」
「わふわふ」
「え、しょう?」
「わふん」
なんて鳥さんなんだ。お利口さんなのか? 打算的なのか?
「ロロ、ピカは何て言ってるんだ?」
「にこにい、鳥しゃんがおはなししてるって」
「え? フォリコッコが話す? なんて言ってるんだ?」
「ちゅいていったら、森にいるより安全かもしれないっていってるって」
「ロロ、マジかよ?」
「うん、にこにい。ぴかがしょういってる」
「え? じゃあこのフォリコッコは賢いの?」
「りあねえ、しょうね〜」
「ロロ、本当かい?」
「うん。らって、ぴかがしょういってる」
リア姉達が、えぇ〜? と、半信半疑な顔をしている。
それよりも、どうやって連れて帰るのかだ。お利口さんだから、こっちの言う事は理解できるみたいだけど。
なら試しに、鳥さんの縄を持って一緒に歩いてみよう。なんなら背中に乗ってみたいのだ。
「わふぅ」
「え、しょお? 首にちゅかまったらだめ?」
ピカがそれは止めておく方がいいよ。と言った。何故に? 乗ってみたいじゃないか。
『危なっかしいからダメ。僕に乗るのとは訳が違う』
と、言われてしまった。仕方ない、また今度チャレンジするのだ。今日はお散歩だけにしておいてあげよう。
「ぴか、ばいんろといて」
「わふ?」
「もう、れおにいが縄をかけたから、らいじょぶら」
「わふん」
ピカにバインドを解いてもらう。そして、俺はトコトコとレオ兄のそばに行った。
鳥さんと一緒にお散歩なのだ。もうやる気満々だぞぅ。ふっふっふ。
「れおにい、もちゅのら」
「ロロ、それは危ないよ」
「らいじょぶら」
「持って歩くつもりなんだろう?」
「うん」
「わふん」
「ピカは何て言ったんだい?」
「らいじょぶらって」
「ピカ、本当にロロに渡して大丈夫か?」
「わふん」
ほら、大丈夫だって言っている。ちゃんと頭を動かして、分かるように返事をしている。尻尾もブンブン振っているけど。
だって連れて帰る事ができたら、毎日美味しい卵が食べられるのだ。
「ロロ、僕も一緒に持つよ」
「うん」
レオ兄が俺の後ろから、一緒に縄を持ってくれるらしい。でも、ピカが大丈夫だって言ってるからきっと大丈夫なのだ。
だから俺は、縄を持って……持ってだな……
「れおにい……らめら」
「ん? どうした?」
俺の小さな手には、縄を一度に4本も持てなかったのだ。両手で2本ずつ持つか? いや、それにしてもなぁ。手が小っさ過ぎるぞぅ。
張り切ってお散歩だと思っていたのに、ちょっぴり肩を落としてしまう。
「あぁ〜、ロロ。まだ手が小さいから仕方ないよ。取り敢えず、1羽だけで試してみる?」
「うん、しょうしゅる」
本当、ちびっ子は何をするにも不便なのだ。縄くらい、ガシィッと持とうよ。持てないけど。だから、1本だけ持った。
「こっこー、あるくのら」
「コッコッコッコ」
うん、ちゃんと理解していそうだ。俺の身長と、同じくらいある鳥さんを連れて辺りをトコトコと歩く。絵面的にどうなのだろう? ちょっぴりシュールじゃないか?
でも鳥さんは、引っ張って先を歩くわけでもない、変な方向にも行かない。立ち止まって歩かなくなるわけでもない。ちゃんと俺の横を並んで付いて来る。
うんうん、いい感じだ。やっぱ、お利口さんなのだ。
「クックック」
「ん? あっち?」
「コッコ……」
鳥さんが、あっちに行きたいとクィクィッと合図をしてくる。
なんとも呑気な鳥さんが、行きたかった場所。それは……
「ああ、なるほどね」
「なんだよ、そうなのか」
「ふふふ、フォリコッコも好きなのね」
そうなのだ。ププーの実が目当てだったのだ。だから実が生っているこの場所に、次から次へとやって来たのだ。
「なんら〜、たべたいの?」
「クック」
「ふふふ、捥いであげるわ」
リア姉が、1つ熟れた実を捥いでくれた。それを地面に置くと、足でバキィッと踏みつけて割れたププーの実を嬉しそうに突き出した。足グセ悪いぞ。
「コッコー!」
「クックック」
他の鳥さんまで、騒ぎ出したのだ。
首に縄を掛けられているのに、グイグイ引っ張っている。
「分かった分かった。食べたいんだね」
レオ兄がププーの実まで、移動すると4羽で突いて食べ出した。あらら、本当にププーの実は大人気なのだ。
でも、この鳥さんは飛べない。
いくら低木とはいえ、木に生っているププーの実をどうやって採るつもりだったのだろう?
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