49ーおしゅわり
「ロロ、分かっているみたいだな」
「ね〜、しゅごいね〜」
「いやいや、ロロだよ」
「ボク?」
「そうだよ、まさかお座りさせるなんてな」
「うん、いってみたらけ」
「アハハハ、そうなのか?」
「しょうなのら」
なんの気なしに、言ってみたら座ったのだ。
ピカが弱いと言っていたけど、本当に弱いのかも知れない。
レオ兄達、早く戻ってこないかなぁ?
待っていると、また鳥さんがやって来た。
「コケッコー」
テケテケと頭を前後に動かしながら歩いてくる。仲間が捕まっているのに、警戒心はないのか? 近寄ってくる。
俺は鳥さんをジッと見る。また目と目が合った。こうなると、言うしかないよね。
俺は鳥さんに向けて手を翳し言った。
「おしゅわり」
「ククッ……」
また素直に座った。なんだ、この鳥さん達は? 弱い以前の問題じゃないのか? チョロ鳥さんなのだ。
「ロロ、また座ったぞ」
「ね〜」
これは捕まえるしかないっしょ。捕まえてくれと、言っているようなものなのだ。
「ぴか、ちゅかまえて」
「わふッ」
そしてまた、バインドだ。どうなっているのだ? 簡単に捕まえられたぞ。
そんな事をしていると、森の奥からレオ兄達が戻って来た。
レオ兄が走りながら叫んでいる。
「ロロ! ニコ! そこから出たら駄目だよ!」
あぁ、鳥さんがいるから心配しているのだ。
「レオ兄! 大丈夫なんだ! ピカが捕まえてる!」
「え!? ピカが?」
レオ兄達が、鳥さんをジッと見る。分かるかな? 透明で見え難いけど、ピカが魔法でバインドしてくれているのだ。
その鳥さん達を、レオ兄は驚いて見ている。なんだ? もしかして、珍しい鳥さんなのだろうか?
「ロロ、どうしてこうなった?」
「れおにい、おしゅわりら」
「へ? なんだって?」
ニコ兄と2人で説明をしたのだ。
俺達がいるシールドに向かって、鳥さんがテケテケと歩いてきた。
ピカがお肉だけじゃなく、卵もとっても美味しい鳥さんだと言うから、是非とも連れて帰って飼いたい。
毎日美味しい卵が食べたい。なんだったら、マリーの作ったプリンが食べたいのだ。
それで、俺が試しに『おすわり』と言ってみたら大人しく座ったのだと。
そこをピカがバインドして、レオ兄達が戻ってくるのを待っていたのだ。
「そんな事があるのか?」
「レオ、ロロだもの」
「いやいや、姉上。意味が分からないよ」
「だって、ロロは可愛いもの」
それ、全然関係ないね。
そこにまた凝りもせず、テケテケと鳥さんが歩いて来たのだ。どうした、鳥さん。そんなに捕まえて欲しいのか?
「ロロ、また同じ事をできるかい?」
「たぶん」
俺は鳥さんを見つめながら鳴き真似をしてみる。
「こけっこー、くっくっく」
すると、やはり鳥さんは反応して俺を見た。
「クックックック」
頭をヒョコヒョコと動かしながら、こっちに歩いてくる。
その鳥さんに向かって、小さな手を翳す。そして、さあ張り切って言ってみよう。
「おしゅわり」
「ククッ」
大人しく鳥さんが座ったのだ。
な? 座っただろう? 俺、ちょっと胸張っちゃってもいいかなぁ? 百発百中なのだ。
「ふふん」
「アハハハ! どうなっているんだよ! ロロ、凄いよ!」
だろう? 俺もよく分からないのだ。
「ぴか、ちゅかまえて」
「わふ」
そしてピカのバインドだ。これで完璧だろう? もう逃げられないし、動けないのだ。
「れおにいも、できるかもら」
「ロロ、そう思う?」
「うん」
確証はないのだけど、なんとな〜くレオ兄ならできる気がするのだ。だってレオ兄はなんでもできるから。
「でも、飼うとなると連れて帰らないといけないね。首に縄をかけようか?」
「そうね、それともこのまま袋に突っ込んじゃう?」
「いや、姉上。縄をつけてみて、言う事を聞いて歩くのか試したい」
なるほど〜。飼っても言う事を聞かなかったら大変だ。逃げ出されても困る。だって魔鳥さんなのだから。
そこにまたまた、鳥さんがやって来た。
あの鳥さん、森に沢山いるのか? コケッコーと鳴きながらやって来た。自分から捕まりに来ているようなものなのだ。
「あの鳥はね、フォリコッコと呼ばれているんだ。怖がりで、滅多に人の前には出て来ないんだよ。飛べないし、とっても弱いけど逃げ足だけは早いんだ」
ああ、やっぱ弱いんだ。ピカもそう言ってた。
でも、滅多に人の前に出て来ない筈の鳥さんを、もう3羽も捕まえたぞ。早い逃げ足が発揮されていないのだ。
そして、また目の前に1羽いる。何故に?
「どうしてだろうね〜、僕にも分からないよ。アハハハ」
レオ兄が笑ってるぞ。それよりもだ。
「れおにいも、やってみるのら」
「え? 僕が?」
「しょうら。鳥しゃんの目を見て手をだしていうんら『おしゅわり』」
「アハハハ!」
いや、マジで。笑ってないでチャレンジするのだ。俺が直々に伝授してあげよう。
「れおにい、こけっこー、くっくっく」
「え? いやぁ……そうかい?」
「うん、くっくっくって真似しゅるのら」
レオ兄が躊躇している。これまた、何故に?
そんなに躊躇するほど恥ずかしい事なのか? 美味しいお肉と卵の為なのだ。
「よし、コケッコー、クックック」
レオ兄の声に反応した。ほら、やっぱレオ兄なら出来るのだ。
「れおにい、お手々らして『おしゅわり』ら」
「分かった」
レオ兄が、鳥さんに向かって手を翳した。さあ、魔法の言葉を思い切り言ってみよう。
「お座り」
ヒョイと、鳥さんが座った。やったね。
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鳥さん、もう少し続きます。
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