484ー興味津々
レオ兄の鑑定眼はとても役に立つ。だけど俺はレオ兄が心配だ。
お祖父様とレオ兄が出発しようとしていた時だった。また兵士さんが走ってきた。
「大変です!」
「どうしたぁッ!?」
今度はとっても慌てている。また何かあったのかな?
「魔鳥の巣に、たくさんの卵が産みつけられています!」
「卵だと!?」
魔鳥さんの巣を調べていた兵士さんたちが見つけたそうだ。魔鳥さんの巣の奥に卵がたくさんあったと。しかもその巣がダンジョンの真上だ。
「ひょぉーッ! たいへんなのら!」
「たまごか!?」
俺とエルが思わず立った。魔鳥さんの卵だって! エルと一緒に両手をグーに握りしめ、目を輝かせながら言った。
「みたいのら!」
「な! みたいよな!」
俺たちちびっ子は、とっても好奇心旺盛なのだよ。
「おいしいかもしれないのら!」
「おー! おいしいのか!?」
「馬鹿なことをいうもんじゃない! エル! ロロ!」
あれれ、お祖父様に叱られちゃった。だって気になるじゃないか。
コッコちゃんたちだって魔鳥さんで、卵がとっても美味しいからそう思った。一つだけでも取ってこれないかな~なんて。
「ロロ、エル、とても危険なんだよ。だから見るなんて駄目だ」
「れおにい、けろたまごなのら」
「しょうらじょ。たまごは、うごかねーじょ」
「エル、その前に魔鳥の巣なんだよ。魔鳥がたくさんいるんだ。コッコちゃんと違って危険な魔鳥だ」
「あー、しょっか」
「しょうらったー!」
それを忘れていた。これは駄目だ。どれだけ言っても、絶対に連れて行ってはもらえない案件だ。
「ろろ、しゃーねーな」
「うん、しかたないのら」
大人しく黙っていよう。俺たちはとっても聞き分けの良いちびっ子だから。
兵士さんが言うには、見つけた巣の奥に枯れ葉や枯れ枝が、こんもりと積まれた場所があった。なんだろう? と除けて見てみると、大きな卵が無数に産みつけられていた。枯れ葉や枯れ枝を被せて、温めているみたいだったらしい。
見つけた兵士さんは、火を放って焼こうとした。ちょうど燃えやすい枯れ葉が掛けられている。目の前にあるまだ孵化していない卵のうちに、焼いてしまおうと。
「ですが、焼けなかったそうなんです」
「なんだと? どうしてだ!? 殻か!?」
「いえ、そうではなく卵に届かなかったのです!」
「何ぃッ!? 卵まで遠いのか!?」
お祖父様、落ち着いて先に報告を聞こう。
魔法が使える人の中で、火属性魔法を使える人が一番多い。もちろん兵士さんの中にも複数人いる。卵を見つけた兵士さんの中にも二人いたそうだ。
だから今のうちにと思ったのだろう。孵化した後だと面倒だ。
兵士さん二人で、同時に火を放った。一気に焼いてしまおうとしたんだ。
「火を跳ね返す……いえ、一定の空間から先に火が通らないそうです」
「火が通らないだと? 燃やせないということか!?」
「はい!」
まるで卵を守っているかのように、届く前に火がグインと曲がるそうだ。
「そんなこと聞いたことがないぞ! 見間違いではないのかッ!?」
「いえ、それが何度やってもそうなるらしいです!」
「お祖父様、シールド的なものでしょうか?」
レオ兄が考える。だけど、魔鳥さんにシールドが使えるのか? というと、そんなスキルは持っていないらしい。だが現実に炎が届かずに、直前で火が曲がってしまうらしい。いかん、これはますます見てみたい。けど、ここは黙って我慢だ。
「姉上も一緒に行こう。火属性魔法が使えるから」
「ええ、任せてちょうだい!」
ここでまさかのリア姉が参加だ。めっちゃやる気になっている。そしたら当然ロッテ姉は黙っていない。
「リアが行くなら私も行くわ!」
「ロッテ、お前は火属性魔法が使えないだろう?」
「ええー! お祖父様、だってぇー!」
「ロッテ、危険だからテオさんと一緒にお邸を守っていてほしいな」
レオ兄がとっても優しい目をして言った。ロッテ姉の肩にポンと手を掛けて。
「任せてちょうだい! エルもロロも私が守るわ!」
ロッテ姉ったら、とってもチョロい。チョロ子さんだ。いや、レオ兄が言ったからかな?
「お祖父様、とにかく行きましょう。実際に見てみないと」
「おう、そうだな!」
「ピカ、一緒に行ってくれるかな?」
え? 僕なの? とキョトンとしているピカさん。あれれ? 話を聞いてなかったのかな? ピカの出番だよ。
「わふん」
「僕だけだと、力不足かも知れないだろう?」
でもロロを守らないと。と言ってくれるピカ。ありがとう。でもこっちは大丈夫だから、レオ兄たちに協力してほしい。そして、守ってほしい。お願いね。
「わふん」
任せてよ。とピカさん。レオ兄がピカも一緒の方が良いと判断した。それほどのことだと、レオ兄は考えているのだ。
「ぴか、ボクとにこにいの、ぴこぴこはんまーを、らしといて」
「わふわふ」
危ないことはしないでね。と言いながらコロンと出してくれた。
そしてピカとリア姉を連れて、レオ兄とお祖父様は森へ向かった。
「なんだか奇妙だわね」
「ええ。今まで巣や卵を発見したなんて、聞いたことがないですね」
お祖母様とテオさんだ。いつの間にかテオさんまでやって来て話を聞いていた。




