483ー大変かも
四阿に行くと、お祖母様が優雅にお茶をしていた。庭のお花がとっても綺麗に見渡せる四阿だ。
リア姉にロッテ姉、レオ兄も一緒にお茶をしていた。
「こちらの庭のお花は、大奥様が選ばれているのですよ」
お祖母様が植える花を選んでいるらしい。それをお祖母様がバランスを考えてこっちにはこのお花を、あっちにはこのお花と決めて、その通りに庭師さんが植えているそうだ。
「それをニコ坊ちゃまが教わっておられましたよ」
「にこにい、こんろはおはなもうえるって、いってたのら」
「はいはい、そうですね」
ルルンデのお祭りルルウィン祭。アルストロメリアのお花が溢れていた。あの時ニコ兄は、ちょっぴり悔しかったらしい。
お墓参りを切っ掛けに何種類かお花を植えていたのだけど、アルストロメリアは育てていなかった。来年は自分が育てたアルストロメリアで、みんなの花冠とレイを作るんだと話していた。
「お花を植えるバランスがあるそうですよ」
「ばらんしゅ?」
「はい、相性の良いお花とそうでないのがあるそうです。それにお花の色のバランスも考えて植えるそうですよ」
「ひょぉ~、ほんかくてきなのら」
「おおばあばは、いちゅもしょうしてるじょ」
「はいはい、そうですね」
ほうほう、俺は花の種類もそんなに知らない。ニコ兄がどんどん植物の専門家になっていく。ドルフ爺も真っ青だ。
「きっとルルンデに帰ったら、セルマ婆さんと一緒に色々植えられるでしょうね」
「あー、しょっか。おはなは、しぇるまばあしゃんなのら」
「そうですよ」
ドルフ爺はお野菜で、セルマ婆さんはお花。夫婦揃ってとっても詳しい。
「セルマ婆さんは、お花を育てている人の中では有名らしいですよ」
え!? セルマ婆さんまで博士なのか!? あの夫婦はどうなっているのだ!?
「ろろ、しゅげーひとなのか?」
「しょうなのら。はかしぇなのら」
「ひょぉー! はかしぇか!」
ニコ兄まで博士になってしまいそうな勢いだ。
お祖母様と一緒におやつを食べて、お祖父様と伯父様がオーちゃんとドランちゃんの相手をしているのを見ながらのんびりお茶をしていた時だ。
兵士さんが一人、バタバタと走ってやってきた。お祖父様と伯父様のお顔が途端に厳しいものに変わる。
「どうした?」
「朝から森の巡回をしていた兵が、ダンジョンの真上に魔鳥の巣を見つけました!」
魔鳥さんの巣!? 大変ではないか?
ここの兵士さんたちは、毎日何度も森を巡回している。もしもダンジョンでスタンピードの予兆があれば、森の獣たちの行動が変わる。森の外へと出ようとするらしい。
それをいち早く見つけるために、毎日見回っている。
フリード爺のところもそうだった。あそこも森にダンジョンがあるから、いつも領主隊の人たちが見回っていた。時々ダンジョンに入っていたりする。
俺はスタンピードを知らない。リア姉やレオ兄だって経験したことがない。数十年に一度、起きるかどうか。それも不定期に起きる。フリード爺や、お祖父様は何度か経験があるそうだ。
「とにかく早く見つけないと、どんどん魔物がダンジョンから溢れてくる。いち早く見つけて、その時のリーダー格の魔物を討伐してスタンピードを終わらせないといけない」
あれれ? 前世のゲームやラノベとかだと、スタンピードを収めるにはダンジョンのコアやラスボス的な魔物を倒さないといけなかったりするのだけど?
「れおにい、らんじょんはしょのまま?」
「そうだよ。封鎖はしないんだ」
「えっちょぉ、ぼしゅをたおしゅ?」
「その時のスタンピードを率いているボスを倒すんだ」
「らんじょんの、ぼしゅじゃなくて?」
「そうだよ、ダンジョンは残すんだ」
スタンピードの危険性のあるダンジョンをわざわざ残す。どうしてなのかな?
そんなのダンジョンを閉鎖してしまえば、スタンピードの危険はないのに。
「ロロは賢いなぁ」
「れおにい、わからないのら」
「ロロ、それはだな。ダンジョンは有益なものだからだ」
俺とレオ兄の話を聞いていたお祖父様が言った。有益だって。えっと、あれか? フリード爺が教えてくれた、危険もあるけど有益なこともあるってやつか?
「ダンジョンから採れる魔石や鉱石、そこにいる魔物そのものが有益だ。魔石が有用なのは分かるな? 鉱石は武器や防具にできる物もある。魔物は肉を食べられるし、皮も利用できる」
なるほど、だから敢えてダンジョンを閉鎖しないで管理するのだね。
スタンピードがもっと頻繁に起こるのなら、話は違っていたのかも知れない。利益より危険の方が大きくなるから。
でも確かにスタンピードは起こるけど、数十年に一度だ。それも初期の頃に見つけて素早くその時のボスを討伐すると、被害を出さずに終息させることができる。
だからここの兵士さんもフリード爺のところの領主隊も、森やダンジョンを見張る。
「レオ、頼めるか?」
「はい、お祖父様」
お祖父様とレオ兄が席を立った。
「れおにい、いくの?」
「レオ、私も行くわ!」
「私も!」
張り切って行くと言い出したのは、リア姉とロッテ姉だ。なんだかこの二人、いつも一緒にいる。レオ兄の面倒が増えちゃってるじゃないか。
「リア、ロッテ、お前たちは残りなさい」
「ええー、お祖父様」
「ロッテ、行って何をするんだ? まだ何も起こってないのだぞ」
「そうでした!」
「レオ、大丈夫なの?」
「うん、姉上。確認に行くだけだよ」
「れおにい、ほんとにらいじょぶ?」
「ロロ、大丈夫だよ」
そう言って俺の頭を優しく撫でてくれる。
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宜しくお願いします。
今日は予約投稿です。ちゃんとできているか心配なのですが。
実際に自分でリアルタイムで投稿しないと不安なのです。
12月なのでお墓参りと母のお見舞いに行きます。愛犬がいる時はなかなか行けなかったのですが、こうして自由な時間を持てるのは嬉しいのですが、それ以上に愛犬がいない毎日が寂しいです。(ノω・、) ウゥ・・・
まだまだペットロスです。
ですが!お仕事は頑張りますよ〜!٩( ˃ ᵕ ˂ )و
早く皆様に新作をお披露目したくてウズウズしてます。もう少し頑張ります。
12月は世の中がバタバタしますので、事故や怪我、インフルエンザ等、体調にもお気をつけくださいませ。
12日にコミック②が発売になります!
よろしくお願いします!




