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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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479ー魔力量がね

「れおにい、もうしゅこしらけまってほしいのら」

「ロロ、なんだい?」

「まら、みんなとあえなくなるのは、しゃびしいのら」

「ロロ……そんなことを考えなくていいんだよ。ロロが悲しむことはしないから」

「ちがうのら。しょうじゃないのら」


 悲しいのじゃない。将来のことを思うとそうする方が良いと分かっている。だから、そうじゃない。ただ、ちびっ子の俺にはもう少しだけ時間が必要なのだ。いかん、泣いたら駄目だ。余計に心配を掛けてしまう。


「ろろ、たべような」

「うん、える」

「ロロ坊ちゃん、ゆっくりとでいいんですよ。急いで決めることではありませんから、まだまだ時間はあります」


 ウォルターさんがそう言ってくれた。そっか、ゆっくりで良いのか。


「私も一緒にルルンデに参ります。行ったら色々教えてください」


 そう言って、ニッコリとした。ウォルターさんも優しい。俺たちのことを真剣に思ってくれているのが伝わってくる。だって老骨に鞭打って、こんな遠い隣国にまで走ってくれたのだから。

 俺たちはディさんの転移で辺境伯領までやって来た。そこからだって遠かったのだ。かなり無理をしたのだろう。その所為で身体を壊したのに。

 だからルルンデでは、のんびりしてほしいな。


「どるふじいと、しぇるまばあしゃんを、しょうかいしゅるのら」

「はい、お願いしますね」


 うん、大丈夫だ。俺の涙腺も頑張って耐えてくれた。本当に弱々で困る。


「エル! ロロ! 食べてるか!?」


 大きな声のお祖父様がやって来た。手には骨付きの大きなお肉を持っている。豪快だな。


「おおじいじ、おぎょうぎわるいって、おおばあばにいわれるじょ」

「エル、それを言うでないぞ!」


 アハハハ、ちびっ子のエルに注意されてる。


「ロロは魔鳥の丸焼きなんて初めてじゃないか?」

「はじめてなのら、うまうまら」

「そうかそうか! たくさん食べなさい!」


 ワッハッハッハと笑いながらまた戻って行った。


「おおじいじは、おとななのに、おちちゅきがないんら」

「えー、しょう?」

「おー、しょうらじょ。いちゅもあんなら」


 ふふふ、エルったら時々大人みたいなことを言う。エルも大人に囲まれてるからだろう。

 皮がパリパリで中はとってもジューシーに焼き上げられた魔鳥の丸焼きに、じっくり煮込まれたスープ、それにサラダだ。サラダを見るとディさんを思い出す。きっと特盛サラダを嬉しそうに食べているだろうな。

 デザートも出てきた。この領地ではとってもメジャーらしいナッツがたくさん入ったパウンドケーキ。

 色んな種類のナッツが入っていて、甘さ控えめだけどとっても美味しい。表面に薄く塗ってある蜂蜜がこんがりと良い焼き色になっていて、表面は香ばしいのに中はとってもしっとりとふんわりしている。


「エル、ロロ、たくさん食べたか?」


 エルのお父さんのフィンさんだ。テオさんのお兄さんでもある。家族が多いと覚えるのが大変だ。


「とうしゃま、おなかいっぱいらじょ」

「うまうまらったのら」

「そうか、それは良かった」

「ロロ、このケーキも美味しいだろう?」

「ておしゃん、ボクこのなっちゅけーきしゅき。とってもおいしいのら」

「な、ぼくもこれしゅきなんら」

「お前たちが冒険に行った林があるだろう? あそこでたくさん採れるんだ。この領地ではナッツが豊富に採れる。だから昔から食べられているケーキだ」


 おっと、忘れてくれないらしい。俺とエルの冒険、とっても刺激的だった。怖い思いもしたけど、もう良い思い出になっている。

 フィンさんの足元に、プチゴーレムがいた。エルに作った子たちだ。あれれ? フィンさんに懐いちゃったのかな?


「何故だか私の足元によくくるんだ。エルもちゃんと世話しているよ」

「うん、してるじょ」


 エルに作ったプチゴーレムの、オーちゃんとドランちゃん。もうすっかり馴染んで、イッチーたちと一緒に毎日走り回っている。

 この子たちも魔力をもらわないと、動けなくなってしまう。それでエルは毎日、魔力操作を頑張って練習している。

 あんなに嫌がっていて、クリスティー先生の魔法講座も抜け出して叱られるくらいだった。なのに毎日朝と夜に、ポカポカぐるぐると頑張っている。エルはとっても良い子だと思う。努力もできるし、責任感もちゃんとある。

 だけど当のオーちゃんとドランちゃんは、どうやらフィンさんに魔力をもらっているらしい。これはレオ兄の見立てだ。


「エルからまったく貰ってないわけじゃないよ。でもまだエルの魔力量だと足らないんじゃないかな? フィンさんの方が多いからね。それにエルと魔力の質がよく似ているんだ」


 ほうほう、そんなことを言われてもエルと俺は、なんですか~? 状態なのだけど。


「いまは、とうしゃまのまりょくって、ことらな」

「そうだよ。もう少しエルが大きくなったら魔力量も増えるだろうから、エルだけでも大丈夫だと思うよ」

「わかったじょ」

「それで私のそばによくいるのか」


 フィンさんが外に出ると、いつもピューッとやってきて足下をグルグル走り回るらしい。それで可愛いから、フィンさんも休憩の度に外に出るようになったそうだ。


「とうしゃま、ぼくがおっきくなるまれらじょ」

「ああ、それまで練習するんだぞ」

「おー」


 大丈夫だ。エルなら俺がルルンデに帰っても、ちゃんと魔力操作の練習は続けてくれるだろう。


お読みいただき有難うございます!

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宜しくお願いします。


おおじいじが持っているお肉は、魔鳥さんの骨付きお肉です。それに豪快にかぶりついて食べてます。

おおじいじは豪快なのです!


この先、そろそろルルンデに帰ります。それまで平和に過ごせますように(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
パパのモノになっちゃうに、03式中距離地対空誘導弾百発 つまり、ピコピコハンマーも……
フィンパパは正しくエルの超えるべき壁(魔力)ですね?(.❛ᴗ❛.)
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