477ー丸焼き
俺たちを見つけてマリーが大きな声で呼ぶ。
「坊ちゃま! 嬢ちゃま! こっちですよ!」
手を上げながら呼んでいる。はいはい、そっちに行けば良いのだね。トコトコとエルと一緒に歩く。
「まるやき、はじめてなのら」
「しょうなのか? めっちゃおいしいじょ」
「えるは、たべたことあるの?」
「あるじょ。ときろき、しゅるんら」
「へえ~」
きっと辺境伯家みたいに、魔獣を狩って来た時とかにするのだろうな。今日はまだお邸の人たちだけだけど。
「もっといっぱいのひとが、いるときあるじょ」
きっと領民や兵士さんたちも一緒の時があるのかな。こうして同じご飯を食べるのは良いと思う。大勢で食べると美味しく感じるし、それがお外だと倍増だ。
「ロロ坊ちゃま、エル坊ちゃま、ここに座りましょうね。人が多いので危ないですから」
「まりー、やくのをみたいのら」
「くるくるまわしゅんら」
「しょうなの?」
「しょうらじょ」
そんな話をしながらエルは、ヨイショと椅子に座る。もう珍しくもなんともないのだろう。でも俺は超珍しい。実際に焼いているところを見てみたいぞぅ。
「あらあら、じゃあマリーと手を繋いで見に行きましょう」
「うん、まりー」
ピカも俺の後を付いてくる。ピカったら貰う気まんまんだ。
「わふ」
「しょうらね」
もうお腹が空いたと言ってきた。良い匂いがすると余計だよね。
「ロロ、見にいくの?」
「うん、れおにい」
「僕も一緒に行こう」
「おててちゅなぐのら」
はい、と手を出してレオ兄とマリーと手を繋ぐ。完璧だ。どれだけ人がいたって大丈夫な布陣なのだよ。
近くに行くと、熱気が凄かった。そりゃそうだ、火で焼いているのだから。それに、鳥さんが思ったより大きい。これって一羽で何人分なのだろう? 何羽も一緒に焼いているけど、きっとすぐに食べちゃうのだろうな。それだけの人が集まってきているもの。
太くて長い鉄の棒にぶっ刺された鳥さんが、火の上でゆっくりクルクルと回しながら焼かれている。もう表面はこんがりと焼けて脂が滴っている。これは美味しそうだ。匂いだけでご飯が食べられそうなやつだ。
「ひょぉ〜! おっきいのら!」
思った以上に大きくてびっくりした。やっぱ飛んでる魔鳥さんを見ているのとは違う。
「わふぅ」
「アハハハ! ピカの分を先に貰ってあげるよ」
「キュルン!」
「分かった分かった、チロもだね」
レオ兄が、ピカとチロの言っていることを完璧に理解して会話をしている。俺はある意味、反則なとこがあると思うのだ。女神に加護を授けてもらって、ピカとチロと一緒にいる。前世の記憶だってある。でもレオ兄はそうじゃない。鑑定眼を持っているってことだけでもチート気味なのに、それを使いこなしている。
ピカとチロが言っていることが分かるなんて、レオ兄くらいじゃないか? ディさんだって念話を使わないと分からないのだから。
焼きたての大きなお肉をもらったピカは、わふわふといいながら食べる。フサフサの尻尾が嬉しそうに揺れている。その隣でチロもブチッとお肉を引きちぎりながら食べている。平和だね。あの襲ってきた魔鳥さんもこうして食料になる。
うちだってルルンデでは、リア姉とレオ兄が狩ってきた獣のお肉を食べている。脅威になることもあれば、それによって潤うことだってあるのだ。それを辺境伯家のフリード爺に教えてもらった。
そんなことを考えながら、魔鳥さんがクルクル回されて焼かれるのを見ている。火の熱気でお顔が熱い。俺ってまだちびっ子で火に近いから。
「ロロ、もういい? あっちに座って食べようか?」
「うん、れおにい。ぴか、ちろ、いくのら」
「わふ」
「キュルン」
あっという間に食べ終わっていたピカとチロ。あっちでまた食べようなんて話している。
「ピカは大きいからね。チロもたくさん食べるようになったね」
ほら、レオ兄ったら完璧じゃないか。これはテイマーと言っても良いのではないか?
「れおにいも、ていまーなのら」
「え? テイマーなの?」
「しょうなのら。ぴかとちろと、はなしぇるから」
「アハハハ、そっか。テイマーか。ロロもテイマーだったね」
「しょう、ボクはていまーなのら」
ふふふん、と胸を張ってみよう。テーブルに戻ると、もうエルが食べていた。テオさんとジルさんも一緒だ。あれれ? お祖母様とリア姉とロッテ姉はどこに行ったのかな?
「まりー、おばあしゃまとりあねえとろってねえは?」
「あちらですよ」
マリーが教えてくれた方を見ると、まだお祖母様に捕まっている二人がいた。とっても殊勝なお顔をして大人しく座っている。いつものリア姉なら、一緒にお肉にかぶり付いているのに。
「あらら」
「ふふふ、姉上には良い勉強になるよ」
「れおにい、けろちょっと、かわいしょうなのら」
「そう? ロロは優しいね」
だって食べる時くらい、楽しく食べたいじゃないか。令嬢となると、そうはいかないのだろうけど。
「姉上だって母上に教わっているからできるはずなんだよ。なのに、もう面倒なんだろうね。アハハハ」
そっか。母様が生きている頃には、教わっていたのか。なのに普段はあれなのか? いや、お行儀が悪いという訳ではない。でも令嬢となると、ちょっとなのだろう。
まさか貴族の令嬢はお肉にがっついたりはしないだろうから。
お読みいただき有難うございます!
応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!
宜しくお願いします。
大きな魔鳥さんの丸焼きです。こういうの、日常ではあり得ませんよね(^◇^;)
帰るまでの穏やかな日常です。もしかして、何かあるかも? なんてね(^◇^;)
今日は東京で文フリが開催されてます。参加したかったな〜と思いつつ。
私は地方在住の引きこもり&人見知りなので永久に無理かもです。東京なんて行く勇気がないのです(^◇^;)
KADOKAWAさんの年末の謝恩会も招待状をいただいたのですが不参加です。
あの時は、ワンちゃんが闘病中だったので。
来年は行けるかなぁ?続刊を出さないと呼ばれないよなぁ。と思いつつ、とりあえず毎日の更新頑張ります!(๑•̀ •́)و✧
ロロちゃん4巻発売中です!5巻の初稿がめっちゃ難航してます( ᐪ꒳ᐪ )
今更プロットなんてかけないよぉ!と思いつつ頑張る!(๑•̀ㅂ•́)و
来月コミックの2巻が発売になります!よろしくお願いします!




