474ー音がね
どうしてあの音が鳴らないのかな? 俺じゃないから?
ふむふむ、これはレオ兄の鑑定眼で見てもらおう。レオ兄はどこだ? と、キョロキョロして探してみる。
「にこにい、れおにいは?」
「どこ行ったんだろうな?」
そういえば森に行ってから、レオ兄は何か忙しそうにしている。何かあったのかな?
「レオはうちの魔術師たちと一緒だと思うぞ」
「おじいしゃま、まじゅちゅし?」
「おう、レオはまだまだ伸びるからな!」
何が伸びるのだろう? と、コテンと頭を傾ける。
「ロロ、魔法に決まってるだろう?」
「あ、しょっか。まじゅちゅしらから」
「そうだよ」
「にこにいは?」
「俺か? 俺は別に不便してないからな」
畑で重宝してるものね。でももっと伸ばせるのではないか? あ、分かったぞ。
「にこにいは、ポカポカぐるぐるしない」
「ロロ、それは言うな」
あ、これは今もしていないな。
「ポカポカぐるぐるは、らいじ」
「おう、分かってるんだけどな。寝てしまうんだよ」
「何の話をしているんだ? レオを探しているのか?」
「おじいしゃま、しょうなのら。おとがちがうのら」
「んん? よく分からんぞ」
ニコ兄が代わりに説明してくれた。俺が叩くと『キュポン』と音が鳴る。でも今ウォルターさんが叩いたら普通に『パコン』と鳴った。それはどうしてなのか、レオ兄に見てもらいたいと。
「レオはそんなことも分かるのか?」
「おう、きっとな」
「れおにいの、かんていがんなのら」
「ほう、鑑定眼は知っていたが、そこまでとはな!」
俺には知らされていなかったのだけど、レオ兄が兵士さんたちと森に行った時だ。その時もレオ兄は鑑定眼をフル活用していた。ダンジョンを見るとその状態が分かったらしい。
もうすぐスタンピードが起こるとかが、分かったそうだ。なんて便利なんだ。ダンジョンを有する領地の人は、喉から手が出るくらいに欲しい能力だろう。
「レオが判断したんだぞ。スタンピードの前兆ではないとな!」
レオ兄ったら凄いではないか。そこまで鑑定眼で分かるようになっていたとは。
やっぱ俺も欲しい、鑑定眼。精霊眼は無理だと前に女神に言われちゃったから、なら鑑定眼ならどうかな? と思うのだ。要相談だ。
「ろろ、しょれよりぼくのぴこぴこはんまーら」
「しょうらった」
そうだったね、つい脱線しちゃった。それでは、どどんとエルのピコピコハンマーのお披露目だ。
「える、たたくのら」
「おー」
エルも同じように自分のピコピコハンマーで、地面を叩いてもらおう。さて、今度はどんな音になっているのかな?
「ロロが作っている時に何を思ったかだな」
「え、しょうらっけ?」
「そうだろう? だってハンカチとかと同じじゃないのか?」
「しょうらった」
これは拙いかも知れない。俺は作っている時に何を思っていたっけ? 固く強くは思ったけど、それから……と考えているとエルが地面を叩いた。
――チュン!
「「え……!?」」
なんだって!? その音はどうしてだ? 思わずニコ兄と一緒に驚いちゃったじゃないか。
「ろろ、なんらことのおと」
「ろうしてらろ?」
「エル、もう一回叩いてみな? 思いっきりだぞ」
「おー、にこにい」
――チュチュン!
――チュチュチュンチュン!
「ロロ、鳥のことを考えてたのか? これはコッコちゃんでもないよな?」
「ん~、わかんないのら」
「ワッハッハッハ!」
「エルのは鳥か~!」
お祖父様とテオさんがウケている。まあ鳥さんの鳴き声だよね。どうして鳥さんなんだ? コッコちゃんの鳴き声ならまだ分かる。でも『コケッコー!』じゃなくて『チュン!』だ。なぜに?
あれれ~? と腕を組んで考える。まだ腕が短いからちゃんと組めてはないのだけど。雰囲気だよ、雰囲気。
「えっちょぉ……あ、しょうら。まちょうがおおいな~って」
「考えたのか?」
「しょうなのら」
「けど、ロロ。魔鳥だとギャオーじゃないか?」
「らってしょれは、かわいくないのら」
「だから、チュンか?」
「しょれしかないのら」
「ええー! ろろ、おれはもっとかっこいいのがいいじょ」
「もうきまっちゃったから、しかたないのら」
「しょっか。まあいいや」
いいのか? その音で? チュンだよ、チュン。可愛らしいじゃないか。
「アハハハ! ロロらしいな!」
テオさん、それはどういう意味かな? ん? 褒められてないよね?
「ちょっとボケてるとこがロロらしい」
えー、俺は別にボケてるつもりはないのだけど。とにかくエルのピコピコハンマーのお披露目は終わりだ。と思っていたのだけど。
「ニコ、ロロ、できたの?」
「おー、レオ兄! ちょうどいいとこに来た!」
レオ兄の登場だ。遅れて登場なんてまるでヒーローみたいじゃないか。いや、そんなことはないのだけど。誰も戦ってないし。
「レオ兄、ロロのピコピコハンマーなんだけどな」
ニコ兄が説明した。俺が叩くと『キュポン』と鳴る。だけど、ウォルターさんが叩くと普通に『パコン』て音がする。それはどうしてかな? てね。
「そうなの? それは不思議だね。人によって違うのかな?」
そんな精巧に作ってないぞ。持っている人を見分けるようになんて作ってない。
「どうしてかな?」
そう言いながら、レオ兄は俺のピコピコハンマーを手に取る。そして地面を叩いた。
――キュポン!
「あれれ~?」
「不思議だな、どうしてだ?」
俺とニコ兄はさっぱり分からない。
お読みいただき有難うございます!
応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!
宜しくお願いします。
とうとうエルのピコハンの音のお披露目です(^◇^;)
いやぁ、本当にめっちゃ考えました!どんな音かな?と感想をいただいたこともあって、なかなかプレッシャーでした(^◇^;)
考えすぎても、ダメみたいです。
可愛らしい感じを採用しました。いかがでしょう?
予想が当たったという方は、是非お知らせください。何も出ませんがヾ( ̄o ̄;)オイオイ
さて、今日は金曜日なのでもう『おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜』を店頭に並べてくださっている書店様があるようです。
念願の!念願の書籍化です!どうかたくさんの方に手に取っていただけますように!
ココちゃんもよろしくお願いいたします(*´ᵕ`ㅅ)




