470ーぼくの!
レオ兄の鑑定眼もどんどん進化している。それに鑑定眼で見たことを、レオ兄の知識と合わせて考え判断している。これはレオ兄だからできることだ。間違っても、単純で真っ直ぐなリア姉には無理だ。
「それにしても、ロロ。ピコピコハンマーを作ったの?」
「しょうなのら」
「ぼくのらじょ」
エルったらそんなことを言わなくても、レオ兄は取らないよ。
「ろろ、ちげー」
「ちがうの?」
「おー、おおじいじに、きをちゅけないと」
え? お祖父様なのか? まさかそんな、ちびっ子の物を横から取ったりしないって。
「ちげー。おおじいじは、こういうのしゅきなんら」
「しょうなの?」
「しょうら」
まるで子供みたいだね。
「ロロォーッ!」
エルと噂をしていたら、その張本人が走ってきた。目がキラキラ、いや、ピカーンと光って見えてちょっぴり怖い。
「え……」
「な、いったらろ? きっとおおばあばが、はなしたんら」
お祖父様ってちょっぴり子供っぽいところがあったりして?
お邸の方からダッシュしてくるから、大きな身体が見る間に近付いてくる。ふふふ、こんなのも楽しい。
「ろろ、わらってるばあいじゃないじょ。ぴんちら」
エルが本気で嫌がっている。ほんのりピンク色したほっぺを膨らませてムスッとしている。でもお祖父様は、そんなことお構いなしのテンションだ。
「ロロが作ったのかぁッ!?」
ググンとお顔を近づけられ、圧が強くてお顔が近い。近すぎる。
「しょ、しょうなのら。えるのなのら」
ここはちゃんと言っておかないと。これはエルのものだからねと。
「レオ! これはどうなんだ!?」
今度はレオ兄に寄って行っている。
「お祖父様、強いですよ。魔力を流せば、多少の魔物なら真っ二つですね」
「なんだとぉッ! そんなになのか!?」
「ええ、アハハハ」
レオ兄ったら笑っている場合じゃない。エルが心配しているぞ。
お祖父様は乾かしているピコピコハンマーの前に、しゃがみ込んでじっと見ている。
今はまだ、ただの土で作っただけの物だ。強度も攻撃力もない。あれれ? 俺は気付いてしまったのだ。一体どのタイミングであの強度と攻撃力がつくのかなと。はて?
「ロロ、どうしたの?」
「れおにい、いまはちゅよくない」
「うん、そうだね」
「いちゅから、ちゅよくなるのら?」
「ああ、本当だね。いつからだろう?」
な、そうだろう? とっても不思議だと思わないか? レオ兄の鑑定眼で分かるのかな? 乾かしているピコピコハンマーをじっと見ているレオ兄。
「ん~、僕には分からないな~」
「しょうなの?」
「帰ったらディさんに聞いてみようか?」
「しょうしゅるのら」
これは僕の予想なんだけど。と、レオ兄が前置きしてから話してくれた。完全に乾いた時にそうなるのだろうと、レオ兄は考えていた。
乾くまでの間に、徐々に俺の魔力が馴染んでいくのではないかと。
「ほぉ~」
「多分だよ。乾くまではただの土の塊だ」
「れおにい、ちがうじょ。ぼくの、ぴこぴこはんまーら」
「アハハハ、そうだね」
ピコピコハンマーの形をした土の塊。レオ兄の予想通りなのだとしたら、エルの魔力を馴染ませてほしい。そうして本当にエルのピコピコハンマーにしてほしいな~なんて思ったりして。
そんな話をしていたのに、お祖父様は全く聞いていない。ピコピコハンマーに触りたくて仕方がないらしい。
「おじいしゃま、しゃわったら、らめ」
「あ? ああ、ロロ。乾くまで駄目なのだな」
そう言いながら、手が動いている。だから駄目だよ。
「ロロ、どんなハンマーなんだ?」
「えっちょぉ、ちゅよくてかたいの」
「この丸い方で殴るのだな、そして反対側は斧か?」
「しょうなのら、きれるように」
「それは凄いな!」
「えるが、しょうしてほしいって」
「そうなのか!?」
後ろで心配そうに見ていたエルの方に、体ごとグインと向きを変える。エルったら、腕を組んでちょっとお祖父様を睨みつけていたりする。そんなに心配なのか?
「おおじいじ、ぼくのらからな」
「おう、分かっているぞ」
「ほんとうか? ぼくのらじょ」
「分かっている! でも少しだけだな」
「らめ! ぼくの!」
エルったらめっちゃしっかりと釘を刺している。なのにお祖父様ったら、ピコピコハンマーから目を離さない。
何度も言うけど、乾いていないから触ったら駄目だよ。今は固くもなんともないし。
「ロロ、どれくらいで乾くのだ?」
「わからないのら」
ガビーン! と、とっても残念そうに肩を落としている。だから、お祖父様のじゃないからね。エルのピコピコハンマーなのだ。
「エルはプチゴーレムも、もらっただろう?」
「おおじいじ、らめ」
「お、おう」
ちびっ子と大人の攻防だ。エルも負けてない。これってもしかして、今までもこんなことがあったのではないか? だから余計にエルは警戒しているのではないか?
お祖父様ったら、本当に大人げないよ。なんなら作るか? ん? 作ってしまおうか?
「ロロ、もういいよ」
俺の考えを読んだレオ兄だ。お祖父様はピコピコハンマーなんてなくても剣で戦えるもの、いらないよね。
お祖父様は何かを感じ取ったのか、俺をキラキラした目で見ている。期待しているのが、とってもよく伝わってくる。何度も言うけど、大人なのに。
お読みいただき有難うございます!
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宜しくお願いします。
エルが可愛い!と思いながら書いてました(^◇^;)
ロロたちは平和です。のんびりとした緩い空気感が私は好きなのですが、皆様はいかがでしょう?
ロロ④ですが、もうお買い上げいただいた方もおられるようです。ありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゜
いきなりプロローグからwebにはなかったお話で始まります。
エピローグもそうですね。
webでは素通りしてしまったことを書籍では拾い上げたいと書きました。
書籍では四英雄のことも明らかになってます。
イラストではあの女神と光の精霊の像も登場してます。てんこもりです!
担当さんが、四英雄が好きなのですね(^◇^;)
特典SSや書き下ろし番外編でも書いてます。そこまでもう書いてしまっても良いのか?とも思ったのですが、出し惜しみせずいきましょう!ということで。
光の精霊さんはルーさんなのですが、ロロバージョンということで(〃ω〃)
読まれた方は是非、感想をお聞かせくださいませ!
よろしくお願いいたします!




