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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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46ーププーの実

「ロロ、沢山生っているわよ」

「りあねえ、とって。とって」

「ふふふ、ロロったら」


 俺は、ピョンピョン飛び跳ねながらリア姉に両手を伸ばす。早く食べてみたいのだ。

 リア姉の身長でも、手を伸ばすと楽に捥げる高さにピンク色した実が沢山生っている。

 リア姉が、一番熟れていそうな実を選んで捥いでくれる。


「はい、ロロ」

「ありがと、いいにおいら」


 両手で持つと、思ったよりズッシリと重さを感じるぞ。


「ね、とっても甘い匂いがするわね」

「うん。れおにい、たべたい」

「貸してみな、剥いてあげるよ」


 トコトコとレオ兄のそばに行き、ププーの実を手渡す。

 本当に甘い匂いがするんだ。匂いだけで、美味しいのがわかるぞぅ。楽しみなのだ。


「俺も食べたい!」

「みんなで食べよう」

「おう!」


 フィーネとマティは食べた事があるんだって。流石、貴族だよね。

 俺は初めてだよ。レオ兄にくっついてしゃがみ込み、ジッとレオ兄の手元を見つめる。反対側には、ニコ兄がしゃがんでジッと見ている。

 先ずナイフで縦半分に種まで包丁を入れて、ぐるりと1周切り込みを入れた。そして、互い違いに軽く実をねじりながら2つに分ける。ナイフの先を種に刺し、種を取り外す。ほら、アボカドの剥き方と同じだ。


「ぴゃぁ~」

「レオ兄、上手だよな」

「ね~」


 ププーの実の皮を剥き、食べやすい大きさに切って出来上がりだ。

 ピンク色の皮を剥くと、意外にもまったりと美味しそうなクリーム色の実が出てきた。艶々としていて、果汁が伝い落ちる。なるほど、カスタードクリーム色の実だ。


「はい、ロロ、ニコ」

「ありがと」

「レオ兄、ありがとう!」


 俺とニコ兄は、一切れ手に持ちパクッと齧り付く。んん~、美味いぞう。


「うまうま!」

「な、超美味いなッ!」


 リア姉が、木から捥いでくれたププーの実を次から次へと剥いていくレオ兄。

 普通は、リア姉が皮を剥く担当じゃないのか? とか、思うだろう?

 違うのだ。リア姉は、こんなの出来ないのだ。レオ兄の方が器用で上手なのだ。お料理もそうなのだ。

 リア姉にププーの実を剥かせると、きっと食べるところが小っちゃくなっちゃうのだ。中の種を取り出せるかどうかも分からないぞ。


「レオ、私もちょうだい」

「はい、美味しいよ」

「ありがとう」


 リア姉も食べる。みんなププーの実に夢中だ。とっても美味しいのだ。

 桃とマンゴーを足した様な味だ。それに、果物なのになんだかバニラっぽい風味もする。『森のカスタードクリーム』と言われるだけあるね。

 とっても濃厚なのに、まろやかでジューシー。お口に入れるとジュワッと果汁が溢れてくる。


「んん~、うまうま!」


 思わず両手をほっぺに当てる。ほっぺが落ちそうなのだ。落ちないけど。


「アハハハ。ロロ、お口の周りに汁が付いているよ」

「え、おっきいお口をあけたのに」

「ね、どうしてだろうね」

「ふしぎなのら」

「キュル」

「ちろ、たべる?」

「キュルン」


 食べるらしいよ。いつもお肉しか食べないチロが。


「あい」


 と、俺が一切れあげるとパクッと齧り付いた。そして、モグモグモグ。


「キュルンッ!」


 美味しかったらしい。体を少し持ち上げて、小さなお目々がキラキラしているのだ。


「ぴか、たべる?」

「わふん」


 ピカにもあげよう。俺のお手々は食べないでね。

 ピカもお口に入れた途端に感動しているよ。尻尾が大きく左右に揺れている。

 ププーの実はみんな好きなんだね。だから、獣も食べに来るんだ。


「わふッ」

「もっと?」

「わふん」

「キュルン」


 あらら、ピカもチロも大好きになったのだ。


「ピカ、ププーの実も収納してほしいわ」

「わふわふッ」


 沢山持って帰ろう。だって。ピカはもうお魚も沢山収納している。一体どれだけ入るのだ?


「わふん」

「しょう、たくさんなんら」

「わふ」


 ほぅ~、いいなぁ。沢山入るし腐らない。俺も収納スキル欲しいなぁ。あの泣き虫女神に相談してみよう。


「ほら、ロロ。あーんしな」

「あぁ〜……ん」


 レオ兄がお口に入れてくれたのだ。


「うまうまら〜」

「レオ兄、俺も!」

「わふッ」

「キュルン」


 ピカとチロも欲しいと順番待ちをしている。レオ兄は、大変だ。剥いては、俺、ニコ兄、ピカ、チロと順に食べさせている。


「アハハハ、みんな美味しいんだね」

「れおにい、たべた?」

「うん、食べたよ。甘くて美味しいね」

「ね〜」


 フィーネとマティは食べているのか? と、見てみるとマティが剥いていた。

 レオ兄が剥いたのを見て真似しているんだ。


「マティ、上手ね」

「レオが上手に剥いていたから、真似しているだけですよ」


 そして、フィーネが食べている。


「美味しい〜、前に家で食べたものよりずっと濃厚でジューシーだわ」

「姉上、捥ぎたてですから」

「そうね」


 リア姉とフィーネ、なんだか似ているのだ。

 2人共、ちょっと不器用だけど真っ直ぐで一生懸命だ。

 花で例えると、向日葵ほど主張しない。あぁ、ガーベラだ。

 元気に花弁をいっぱい広げて、真っ直ぐ太陽に向かって咲いているガーベラみたいだ。

 リア姉はフィーネより、レオ兄はマティより1歳下だ。でも、リア姉やレオ兄の方が大人に見える。

 両親を亡くして、家を追い出された経験からそうなるのかも。


「ああ、ロロがおネムだ」

「れおにい、らいじょぶら」


 そう言いながら、俺は体が揺れていた。コクリコクリとしながら眠気と戦っていたのだ。


お読みいただき有難うございます!

今日は投稿が遅くなってしまいました。

申し訳ありません!

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] はぁ〜癒される。 更新ありがとうございます。 ププーの実も、お庭で育てられたらいいですね。 森の果物でも、ニコ君の手にかかれば育てられそうかも^_^
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