457ー名付け
「やっと会えたのに……」
「おばあしゃま、もういちゅれもあえるのら」
「ロロ、そうね。会えるわね。一度私もルルンデに行こうかしら」
そんな爆弾発言をしたお祖母様だけど、それは無茶だよ。来るなら大歓迎だけど。
翌日、庭がとっても賑やかで目が覚めた。
「まりー」
「ロロ坊ちゃま、目が覚めましたか?」
「うん、なんらろ?」
「ふふふ、大騒ぎでしょう? 目を覚ましたのですよ」
「あー……」
そう、あの子たちがやっと目を覚ましたらしい。それは行かなくちゃ!
「まりー、いくのら!」
「はいはい。お着換えしましょうね」
「わふぅ」
あれれ? ピカさんったら、ちょっと面倒そうだけど?
「わふ」
アハハハ! だって煩いのが増えちゃった。なんて言っている。ピカの子分なのに。
「わふわふ」
子分じゃないし。なんて、そんな冷たいことを言わない。俺はピカの子分のつもりで作ったからね。
「わふぅ」
「しょうらよ、らからぴかのこぶんが、いっぱいら」
「わふ」
なら良いかも。だって。ピカったら時々クールだ。ほら、一緒に見に行こう。チロはもうピカの背中に乗っている。準備万端だ。
お着換えをしてお外に出てみると、もうエルが走り回っていた。
「あー! ろろ! おしぇーじょ!」
「える! おきたのら!?」
「しょうらじょー! めっちゃかわいいじょー!」
エルの後ろを小さなプチゴーレムが、キャンキャン鳴きながら尻尾をフリフリして走っていた。もう仲良しじゃないか。
俺とピカを見つけると、ピューッと走ってきた。
いつものプチゴーレムたちに加えて新しい子たちが二匹。お帽子を被っていないからすぐに分かる。
「げんきらね」
「キャン!」
「アン!」
よしよし、元気に一緒に走っていたし上手くできたらしい。イッチーたちよりほんの少し上手になっているはずなのだ。
「える、おなまえをちゅけるのら」
「ロロ、待って」
おや、レオ兄だ。どうしたのかな?
「ロロが作ったから、今はロロの魔力で動いているんだ。エルがお名前をつけても大丈夫かな?」
「え、わかんないのら。けろ、えるとじゅっといっしょにいるから」
「そうなんだけどね、う~ん。どうなんだろう?」
え、そんなに難しいことなのか? 俺ってとっても気軽に作ったのだけど。でもディさんも作って良いって言ってたし。
「ちょっと待ってね。エル、見てもいいかな?」
「れおにい、なんら?」
「れおにいがみるのら」
「なんら?」
俺の説明では駄目らしい。レオ兄にお願いしよう。
「エルの魔力でこの子たちが動けるか見せてね」
「おー」
レオ兄の鑑定眼はレベルが上がってないか? そんなことまで分かるようになったのか?
「れおにい、わかるの?」
「うん、ディさんほどじゃないけどね」
ほうほう、だってディさんは特別だもの。レオ兄がエルをじっと見つめる。
「あー、やっぱりエルだとロロみたいにはいかないな」
「れおにい、らめなのか?」
「駄目じゃないんだけどね。エルは魔力操作が全然できていないんだ」
あ、だって魔法のお勉強になったら逃げ出すとか言ってたぞ。
レオ兄が鑑定眼で見た結果だ。俺は特に何かをしなくても、毎日元気にプチゴーレムたちは動いている。元気過ぎるくらいだ。だけど、エルだとそうはいかないらしい。
エルは魔力操作ができていない。だからプチゴーレムたちが魔力をもらうのも、もらい難いらしい。どうしてそうなのか、全然分からないのだけど。
「ちゃんと体の中で魔力操作ができているとね、魔力の譲渡もしやすいんだ」
ほうほう、そう言われてもあんまり分からない。とにかく、俺の時みたいにピューッと近寄ってきたと思ったら、もう魔力をもらってるという具合にはいかないらしい。
ならどうするのか?
「エル、毎日この子たちに魔力を流してあげられるかな? 忘れたら動けなくなっちゃうよ」
「れおにい、しょうなのか?」
「そうなんだ。それと毎日ちゃんと魔力操作の練習をすること」
「なんら?」
「える、ぽかぽかぐるぐるなのら」
「あー、あれか」
「える、れんしゅうしゅるっていってた」
「おー、これからしゅるじょ」
これからなのか。本当にさぼっていたね。
「それを練習しなきゃだめだよ。プチゴーレムたちには必要なんだ」
「おー! わかったじょ」
「ちゃんと守れる? 約束だよ」
「うん!」
「じゃあ、エル。お名前を付けてあげて」
「おー! もうきめてんら」
エルがもう決めてたと胸を張って言った名前だ。
「おーちゃんと、どらんちゃん!」
「アハハハ! そっかぁ、エルは良い子だね」
「なんら、れおにい。わかったのか?」
「分かるよ。オードランから取ったんだね」
「しょうらじょ! かっちょいいらろ!? じゅっと、ながいきしゅるっていってたからな!」
「える!」
思わずエルの手を取った。自分より長生きするから、だから自分の名前ではなく家名から取ったんだ。
俺の安易な名付けより、ずっとずっと思いが込められていて良いじゃないか。ちょっとだけ恥ずかしくなっちゃった。
「なんら、ろろ? だめか?」
「ううん、めっちゃいいのら!」
「らろ!? おーちゃん! どらんちゃん! よろしくな!」
「キャン!」
「アン!」
ちゃんとエルの前に並んでいる二匹のプチゴーレム。今日からよろしくね。
エルや家の人の言うことを聞くんだよ。




