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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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456ールルンデに帰ります

 マリーの息子さん夫婦は映っていないのだけど、それでも時々声が入っていたりする。

 この魔道具を持っているのがマリーの息子さんだと分かっている。エルザやユーリアの父親だ。きっとそのそばには母親もいたことだろう。それが分かっているから、同じ空気を感じたくてみんな見る。


「ああ……みんな幸せそうだわ」


 お祖母様がずっと涙を流している。涙で見えないのではないか? と心配になるくらいだ。


「お祖母様、今も僕たちは幸せですよ」

「ええ、幸せです」

「おう」

「うぅ、ヒック。たのしいのら」


 両親はいないけど、その手の温もりを覚えていないけど。でも確かに俺は愛されていた。両親だけじゃなく、兄弟にもだ。疑いもせずそう思える。

 マリーたちもいるし、今はドルフ爺やセルマ婆さん、ディさんだっている。だから俺は幸せだ。毎日楽しく暮らしている。

 会いたくても会えない。それでも確かに残してくれたものがある。

 父に似たリア姉、母似のレオ兄、母と一緒にお花を育てていただろうニコ兄、母さまお手製の俺のお気に入りのお出かけ用ポシェット。温かいポカポカしたものが、俺たち四兄弟の中に確実にそれはあるのだ。


「お祖父様、お祖母様、私たちは大丈夫です」

「リア……」


 リア姉が真っ直ぐにそう言った時、お祖父様とお祖母様は少し寂しそうに見えた。


「大丈夫です。ですから……僕たちはルルンデの家に帰ります」

「おう、ドルフ爺も待ってるしな」

「しぇるまばあしゃんもいるのら」

「レオ、ニコ、ロロ」

「そうだな、私たちの気持ちで四人を縛り付けてはいけないな」

「あなた」


 お祖父様がお祖母様を優しい目で見つめて言った。


「それになにより、ディさんもおられる。マリーだっている。だから大丈夫だ」

「そうだけど……」


 そうだよ、俺たちは大丈夫だ。あのお邸を追い出された時から、ずっとマリーと俺たちだけでやってきたのだから。


「らいじょぶなのら、またくるのら」

「ロロったら」

「お祖母様、大丈夫だぞ。リアたちはちゃんと生活している」

「テオ……もう仕方ないわね」


 お祖父様たちは、俺たちをルルンデに帰すつもりがなかったのかも知れない。それだけ心配してくれている。

 レオ兄とリア姉に教育をとも思ってくれたのだろう。それは必要なことだろうし、有り難いことだ。

 だけど、今じゃないと二人は判断した。きっと領主様に頼んでいることが、はっきりしてからと思っている。

 先が見えなかった頃とは違う。すぐそこに光が見えるようになった。それはとても大きい。


「でも約束してちょうだい。必ず私たちを頼ってほしいの。何かあればギルドを通して連絡をしてくれると良いわ。ギルドは国を越えて連絡網があるから」

「ああ、何もなくてもたまには文をよこしてほしい」


 俺たちがルルンデのあの家に帰ることが、明確になった時だった。


「え、え、ええぇ~ん!」


 ああ、ロッテ姉だ。どうもロッテ姉ってあの女神と被ってしまう。なんというか、ちょっぴり残念なところがね。俺より泣き虫なのだもの。


「なんだよ、ロッテ。もうお前は泣くなよ」

「だってぇ、テオ兄さまぁ。えぇ~ん!」


 ふふふ、ロッテ姉は可愛い。自分のことのように俺たちのことを考えてくれている。


「ロッテ、また必ず会いにくるよ。だから、待ってて」

「レオー! 待ってるわよぉー! えぇ~ん!」


 おや? おやおやぁ〜? 『待ってて』なんてレオ兄が言った。必ず会いにくるって。ロッテ姉を見ている優しい目に、俺たちとは違う感情が混じっているような気がした。

 ふふふん、俺が思ったことはなかなか鋭いと思うよ。


「むふふ」

「ろろ、なんら? ないてたのに」

「える。なんれもないのら」


 ちょっぴり生温かい目でレオ兄とロッテ姉を見ておこう。ニマニマしながらになっちゃうけど。


「ロロ、なにを考えてるのかな?」

「れおにいと、ろってねえはなかよし」

「ロロったらぁ! 私はみんなと仲良しよー!」


 さっき泣いていたお顔が、真っ赤に染まる。アタフタしながら両手でお顔を覆ってしまった。

 俺は賛成だよ。ロッテ姉はちょびっとだけ残念感があるけど、良い子だし好きだもの。


「むふふふ」

「ロロったら、変なお顔になってるわよ」


 リア姉は、酷い言いようだ。まあ、リア姉もユーリさんと仲良しだからいいじゃない。


「りあねえは、ゆーりしゃんとなかよし」

「ロロ! またそんなこと言って!」


 リア姉のお顔も赤くなっちゃった。お顔から湯気が出そうだ。


「ロロ、駄目だぞ。そこはそっとしとかないと」

「にこにい、しょう?」

「ああ、そうだぞ」


 ニコ兄ったら大人じゃないか。でもニコ兄も同じことを思っていたということだよね?


「ロロ、だから気付かないふりが必要な時もあるんだ」

「ひょぉー。にこにい、おとななのら」

「当たり前だ。俺はもうすぐ10歳だからな」

「ふふふふ、二人とも何を言ってるのよ」


 涙を流していたお祖母様が笑ってくれた。俺たちのことで泣いてほしくない。お祖母様も大好きだから。


「おばあしゃま、らいしゅきなのら」

「ロロ……」

「らから、またくるのら」

「ええ、待ってるわ。私もロロが大好きよ」


 お祖母様と俺の間には、リア姉とレオ兄とニコ兄が座っていたのに、飛び越えてやって来て俺は抱っこされた。お祖母様にギュッて抱きしめられた。

 頬をそっと合わせたお祖母様。


「ロロ、大好きで大切なの。無茶はしないでちょうだいね」

「わかったのら」


 俺もお祖母様の首に両手を回して抱きついた。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


久しぶりのロロです。お待たせしてしまいました。

次章からラストへ向けて!といっても、まだまだですが(^◇^;)

色々伏線を回収しないとです。

今ロロ④の作業をしています。皆様に楽しんでいただけるよう頑張ります!


今月は12日にリリのコミック①が発売です。

末にはハルちゃん③です。

皆様のお力が続刊へ繋がります!ハルちゃんもよろしくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
カップリング成立ですね。おめでとうございます(まってちがう)
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