444ー以心伝心
「でぃしゃんはかえるのら?」
「うん、僕はあまりルルンデから離れられないんだ」
ディさんはずっと長い間、ルルンデで見守ってくれていたのだろう。わざわざエルフの国から出てきて、どんなきっかけでそうなったのかは知らないけど。
でも今はディさんが、ルルンデの街に結界を張ってくれているのだと思う。あれだよ、お祭りの夜に見たのと関係するんだ。川辺で魔法杖を出して何かしていたもの。
「ロロ、どうしたの? 食べないとシャーベットが溶けちゃうよ」
思わず考え込んで、食べる手が止まってしまった俺にディさんが言った。ディさんも美味しそうにクレープを食べている。どれだけの長い年月を守ってくれているのかなんて、俺には分からないけど。いくら長命種のエルフだからといっても、それって凄いことだと思うのだ。
「でぃしゃん、ありがと」
「えー、なんだよー!」
ふふふ、と笑っているけど、多分ディさんは分かってくれている。だってディさんと俺は、ツーカーの仲だから。毎日一緒に遊んでいた仲だもの。こういうのって何ていうんだっけ?
「えっちょぉ……なんらっけ?」
「ろろ、ろうした?」
お口の周りにシャーベットをつけたエルが俺に聞いてきた。
「あ、しょうら。いしんれんしんら」
「アハハハ! ロロったらそんなことを考えてたの?」
「なんら? わかんねーじょ」
「以心伝心だね。毎日一緒に遊んでるものね」
「しょうなのら」
キョトンと頭を傾けているエル。きっとエルともそんな仲になれる気がする。
「じゃあロロ、エル。オヤツを食べたらプチゴーレムを作ろうか」
「いいのか!?」
「エルは仲良くしてくれるんだろう?」
「おー! しゅるじょ! じぇったいにしゅる!」
ふふふ、嬉しそうだ。お口の周りに白いお鬚が生えたみたいになっているけど、それはシャーベットだよね。
「あらあら、エル坊ちゃまもロロ坊ちゃまもお口の周りを拭きましょうね」
え、俺もか?
「ロロもついてるぞ」
「にこにい、しょう?」
「ああ、拭いとこうな。痒くなるからな」
「うん」
いつも俺の世話をしてくれるニコ兄、ありがとう。
とっても美味しくオヤツを食べて、裏庭に出てきている。
「ロロ、作れそうかな?」
「うん、でぃしゃん。ちゅちにんぎょうらから」
土があればどこでも作れるぞ。作る時に俺の魔力を使っているらしいのだけど、そんなの全然分かってない。俺は何も変わったことはしていないし、何も感じない。
「ろろ、このへんのちゅちがいいじょ」
「うん」
やっぱエルも作っているのだと思うよ。だってどこの土が良いか知っているもの。
「あんまり、しゃらしゃららと、ちゅくりにくいらろ?」
「しょうなのら」
俺がしゃがみ込んだすぐお隣にエルもしゃがんで一緒に土人形を作る。
二人して小さな手で、コネコネ。
「おみじゅもってくるな」
「うん、ありがと」
テッテケテーと走ってお水を取りに行くエル。ほら、お水も必要だって分かっている。
「ロロ、お友達ができて良かったね」
「うん、でぃしゃん。しょうなのら」
同じ歳のお友達なんていなかったから、とっても新鮮だ。でも思い出すなぁ。ララちゃんはどうしているかな? 元気かな? 赤ちゃんはもう生まれたのかな?
「ロロ、どうしたの?」
「ららちゃん、げんきかなって」
「ああ、ララちゃんか。そういえば、ララちゃんも同じような歳だったね」
「ボクのほうが、しゅこしらけ、おにいしゃんなのら」
「ふふふ、お兄さんかぁ」
確か、ララちゃんは2歳半だと言っていたからね。
「ろろ、もってきたじょ」
「える、ありがと」
「しゅこしらけ、いるらろ?」
「うん、しょうなのら」
俺とエルを見て、ディさんはニコニコしている。微笑ましいだろう? ちびっ子二人の会話ってさ。
またエルと二人して土をコネコネコネコネ。ここを頭にしてお耳は垂れ耳で、尻尾をクリンとさせてとピカに似せてプチゴーレムを作っていく。もう慣れたものだ。
一頭だけってさみしいよね。と思うから、二頭作っておこう。仲間がいる方が良いもの。
「ろろ、ふたちゅもか?」
「しょうなのら。らってひとちゅらったら、しゃびしいのら」
「おー。しょうらな。おともらちが、いるほうがいいな」
「うん」
よし、とっても可愛くできたと思うのだけど。でもどう見ても土人形だ。この後、サラサラな砂をかけて馴染ませて乾かして出来上がりだ。
エルは何を作っていたのかな? と見てみると、同じようにピカに似せた土人形を作っていた。
もしかして、この子も動かないかな?
「でぃしゃん、えるがちゅくったの」
「うん、動かないよ」
めっちゃニッコリとしながら即答された。そっか、普通は動かないよね。簡単に動いちゃうと、ちびっ子が土人形を作る度にプチゴーレムが増えてしまう。それってどうなの? いや、可愛くないか?
そう思って、短い腕を組んでお手々をピトッと額に当てる。
「ロロったら何考えてんの?」
「ろろ、つちがちゅいてるじょ」
「あー、わしゅれてたのら」
「アハハハ、手が土で汚れているからね」
こんな時はあれなのだ。
「くりーん」
ほら、シュルンと綺麗になった。
「でぃしゃん、ぼくもあれおぼえられるか?」
「クリーンかな?」
「しょうら」
「ちゃんと練習したら使えるようになるよ」
「あー、れんしゅうかぁー」
ふふふ、エルは魔法より剣の方が好きだものね。
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宜しくお願いします。
今日の投稿で444話です!今まで一番長編だった『ボクは光の国の転生皇子さま!』でも389話でした。(本編のみです)
いつの間にか、長くなりましたね〜。
現在第7章です。最初の予定では5章か6章くらいで終わる予定だったのですが(^◇^;)
この後一気にお話が動く予定です。(多分…)
有難いことに、ロロは紙書籍も電子も好調です。皆様のおかげなのです。
ですが!同じアース・スターのルナレーベルで、ぶっ倒したい作品がありまして!まだまだ頑張らないといけません!(๑•̀ㅂ•́)و✧
さて、そろそろロロ④の初稿を作らないと!これが今年最後の初稿になります。
今年はあと4冊刊行予定です。リリ⑦とハル③とロロ④と……?
暑い日が続いてますが、熱中症に気をつけながら元気に夏を乗り切りましょう!




