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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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44ー薬草ゲット

「ピカ、今日はロロを乗せているんだからね。気を付けるんだよ」

「わふん」


 そんなの分かってるって、任せてよ。と、言っている。頼りになるのだ。首筋をワシワシしてあげよう。

 森に入ると日差しが違った。大きな樹の間からの木漏れ日だけになる。

 だからといって、暗い感じではない。木漏れ日が縞のように落ちている。陽の光がまるで小さな粒のように降り注いでいるみたいだ。

 初めて入った森の中は空気も違った。フィトンチッドなのだ。とっても清々しい感じがする。よし、深呼吸してみよう。


「ふゅ~……はぁ~……」

「ロロ、どうした?」

「れおにい、しんこきゅうなのら」

「深呼吸? 疲れたのかい?」

「ううん、空気がきもちいいのら」

「そうだね、森の中は空気が違うよね」

「うん」


 まだ森の浅い部分だから、こんな事を言っていられるらしい。

 森の奥に行くとダンジョンがある。三角帽子の様な形をした小さな山が連なり、その山肌にダンジョンの入り口がポッカリと口を開けている。

 そこから瘴気というものが溢れ出ているのだそうだ。

 その瘴気が濃いと、獣は魔獣になってしまう。そして、ダンジョンの中には魔物がいる。その魔物を随時狩らないとダンジョンから溢れ出てきてしまうらしい。

 それが、スタンピードだと一説には言われている。

 だから、冒険者は皆ダンジョンに潜る。スタンピードを防ぐだけじゃなく、魔物を倒すと落とす魔石は冒険者の良い稼ぎになるのだ。

 実際に、俺達の前にも魔獣が出て来た。

 小さな角が生えた兎さん。これはよく食べているから知っている。美味しいのだ。特にモモ肉がジューシーで美味しい。

 それから、2本の角が生えたお猿さん。キーキー鳴いて煩いのだ。これは見た事ないなぁ。でもギルドで売れるらしい。

 魔獣が出て来たと思ったら、直ぐにピカが風属性魔法でシュンッと倒してしまう。ピカさん、首を狙うからどれも一撃だ。


「ピカがいると楽だね」

「私達なにもする事がないわ」

「姉上、安全でいいじゃない」

「そうだけどぉ」


 リア姉とレオ兄の出番が無かったのだ。

 そのピカが言う。


『今日はロロやニコがいるから特別だよ。安全が最優先だ』

「ぴか、ありがと」

「わふん」


 ピカは頑張ってくれているけど、チロは俺のポーチの中で眠っている。まだ、赤ちゃんだからね。

 そのうち、どこからか水の流れる音が聞こえてきた。もう目指す川は近いらしい。

 だが、その前に大きな岩が立ちふさがっていた。レオ兄の背丈ほどある。これは登るのが大変だ。だから、庶民は来ないのか?


「ピカ、任せて大丈夫か?」

「わふッ」


『これくらい、なんともないぞ』

 と、言っている。その言葉通り、ピカは俺を背中に乗せたままヒョイヒョイと岩を登って行く。

 ニコ兄は大丈夫なのか? レオ兄が背負って登っていた。大丈夫そうだ。

 リア姉やフィーネも、とっても身軽に岩を登っている。さすが、冒険者なのだ。

 その岩の壁を越えると川が流れていた。川幅はそう広いわけじゃないけど、岩の頭が出ている。少し深さはありそうなのだ。


「うわッ、すげー!」

「ぴょぉー!」

「アハハハ、ロロその声は何だよ」

「らってにこにい、しゅごいのら」

「な、すげーな」


 ニコ兄と俺が感動するのも無理はないと思うのだよ。だって、森の樹々の中をとっても透き通った清流が流れていたんだ。

 その川は、階段の様な段差がいくつも出来ていて、小さな滝の様になっている。

 そこを流れに逆行して登ろうとする魚を捕るんだ。

 その川辺には、ププーの実が沢山生っていた。

 そして、それだけじゃなかったんだ。


「これは……ニコ、分かるかい?」

「レオ兄、もちろんだよ! これ薬草だ! うちではまだ植えてない薬草だよ!」

「そうだね、持って帰ろうか」

「おう! 根っこごと持って帰って植えよう!」


 ニコ兄のテンションが爆上がりだ。それ位に、手に入り難い薬草が生えていたのだ。


「色々探してもなかったんだよ。ダンジョンにしかないと、思っていたんだけどこんな場所にあったんだね」

「な、レオ兄。スゲーよな」

「ああ、ラッキーだね」


 レオ兄と俺が作るポーション。ディさんが、中級ポーションだと言ってくれていた。

 中級以上のポーションを、作りたくても作れなかったのだ。何故なら、今目の前に生えている薬草が手に入らなかったからだ。時々レオ兄がダンジョンで見つけてくる程度だったのだ。

 それが、沢山生えていた。これは本当にラッキーだ。

 みんなこの場所を知らないのかな?


「ロロ、街の薬師はこんな場所まで薬草を採りにこないよ。普通は冒険者に薬草採取を依頼するんだ。そして、薬草採取のクエストを熟すのは駆け出しの冒険者だ。魔獣との戦い方を、まだよく知らないのにこんな場所まで来ない」


 なるほど~。じゃあ、手付かずって事だ。


「れおにい、じょうきゅうぽーしょんって売れる?」

「もちろんだ。良い収入になるよ」

「むふふ」

「ロロ、嬉しそうだね」

「じぇったいに、ちゅくるのら」

「アハハハ、頑張って」


 薬草が手に入ったからといって、直ぐに作れるのかというとそんな事はない。それだけのスキルや魔力量がないと作れない。

 レオ兄は作れるんだけど、俺に作れるのかどうかは分からない。でも、挑戦してみる価値はあると思うのだ。


お読みいただき有難うございます。

ピカちゃん、喋っています。ロロにしか聞こえません。ピカが守っているロロだけに伝わる念話の様なものと思っていただければ。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 「中級以上」は「中級を超える」もしくは「上級以上の」って感じかな?文脈的に。
[良い点] 深呼吸の「ふゅ〜」、すごくかわいいですね! スーハーでもなく、ヒューハーでもなく、 なんか舌足らず感がすごくイイ!!
[良い点] 美味しいププーの実も、貴重な薬草も、腐らない( 時間停止なのかな? )ピカちゃんの空間に預かってもらえるから大収穫ですね。 ロロくんの、うまうまが聞きたいです。
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