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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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434ー盲点だった

 でもディさんはピカに釘をさすのを忘れなかった。


「ピカ、大人が一緒じゃないと外にでたら駄目だよ」

「わふぅ」


 ごめんなさい、と尻尾まで下げている。ピカが謝ることはない。ピカは俺たちを守ってくれたのだもの。

 ピカに乗って進むと大きな温室の屋根が見えてきた。ガラスでできたドーム状になっている屋根の立派な温室だ。

 中に入ると、まるで植物園みたいになっている。これだけの薬草を集めて育てるのは大変だったろうと、初めて中に入った時に思ったのを覚えている。


「へえ~、凄いじゃない。本格的だね、こんなにたくさんの種類を育てているんだ」

「しょうらじょ。まいあさ、おばあしゃまと、とりにくるんらじょ」

「ん? 薬草を採りにくるの?」

「しょうらじょ」

「うぉるたーしゃんの、こしにちゅかうのら」

「腰? 腰がどうしたの?」

「もう、おとしらって」

「んん?」

「おとしらから、いたいんらっていってたじょ」

「腰が痛いのか」

「でぃしゃん、けがじゃないから、まほうれなおしぇないって」

「ん? 怪我じゃないのか。そっか、だからお年だからか」

「しょうしょう」

「でも、ロロ。チロなら治せるだろう?」


 え……な、な、なんですと!?

 エルと二人でポカーンと放心状態になってしまった。俺たちは一体なんのために冒険に出たのだろうって話だ。そんな俺たちを見て、ディさんがキョトンとしている。まさか、まさかのチロだった。


「ちろ」

「ろろ、ちろか」

「える、しょうらって」

「え? なになに? どうしたの?」

「らって、でぃしゃん。うぉるたーしゃんの、こしにちゅかうやくしょう」

「とりにいったんらじょ」

「ああ、それであの冒険かぁ。アハハハ」


 アハハハじゃない。もっと早く気付けば良かった。チロかぁ、盲点だった。

 だってレオ兄が、怪我じゃないから魔法では治せないって言ってたもの。だからチロだって無理だと思い込んでいた。いやいや、チロを思い付かなかった。


「だからロロ、チロは回復に特化してるって話したじゃない。状態異常だって全部治せるだろう?」

「しょうらった」

「ろろ……」

「える、わしゅれてたのら」

「ええー」


 ちょっとがっくりと肩を落としてしまう。俺たちって空回りじゃないか。しかもみんなに心配をかけちゃって。

 チロが治せるなら、早く治そう。痛いのは辛いもの。すぐにウォルターさんのところに行こう。


「でぃしゃん」

「うん、ウォルターさんを治しに行こう」

「うん」

「おー」


 僕も治せるんだけどね~、なんてとっても良い笑顔でディさんが言った。

 なんだ、ならチロも出番がないじゃない。


「でも、チロに治してもらおう。使う方がいいからね」


 魔法はたくさん使う方が威力が高くなるそうだ。レベルが上がるみたいな感じだね。それにしても、チロかぁ。とっても盲点だった。


「ロロ、どうしたの?」

「ちろがなおしぇるって、もうてんらったのら」

「え? なに? もう?」

「もうてんなのら」

「ああ、盲点かぁ。難しい言葉を知ってるね。でも盲点でもないけどね」


 そう、俺が忘れていただけだ。だって、覚えられないのだもの。回復全般といわれてもね。


「らってけがじゃないって、れおにいがいってたから」

「そっか。でもチロは怪我じゃなくても治せるよ。病気もそうだね」

「えー! ならボクのほっぺも?」

「ほっぺが腫れたんだったね。それはちゃんとお薬で治すほうが良いよ」


 その線引きはどこなんだ? あれか? 免疫力をつける的な感じなのかな?


「時間を掛けてお薬で治す方が、次に罹り難いんだ」


 やっぱそうだ。それで免疫をつけているんだ。そんな考えもあったのか。


「クリスティー先生がね、ずっと昔の辺境伯家のご令嬢と一緒にそんな論文を出したんだ」

「ろんぶん!?」


 クリスティー先生ったら凄いじゃないか! それにその辺境伯家の令嬢だ。きっとクリスティー先生が話していた令嬢だよな? 色んな発明をしたという。


「なんら? じぇんじぇんわからねーじょ」

「難しい書物みたいな感じかな?」

「くりしゅてぃーしぇんしぇいは、こわいじょ」

「アハハハ、エルはクリスティー先生が怖いの?」

「らっておこったら、めっちゃこわい。こわいかおをして、おいかけてくる」


 そうだね、追いかけられたって言ってたもの。でも普段はとっても優しい人だよ。最初は女の人かと思っちゃったくらいに、綺麗なエルフさんだ。

 話しながら歩いていると、マリーがやってきた。


「おやおや、坊ちゃま。どこに行かれるのですか?」

「まりー、うぉるたーしゃんをなおしゅのら」

「しょうらじょ」

「ウォルターさんの腰ですか? 怪我じゃないから治せないって、レオ坊ちゃまがおっしゃってましたよ?」

「マリー、チロなら治せるんだ」

「まあまあ、そうなんですね」


 そうなのだよ、コロッと忘れていたけど。

 それからマリーも一緒にウォルターさんのいる別棟に行った。

 トントンとノックをして、マリーが声を掛ける。


「ウォルターさん、入りますよ」


 はい、どうぞと中からウォルターさんの声がした。

 相変わらず窓を開けて、お外を見ている。


「おやおや、エル坊ちゃまとロロ坊ちゃま。それに?」

「僕はディディエ・サルトゥルスルです。腰を見せてもらおうと思って」


 ウォルターさんがびっくりしている。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


3巻が7/1に発売になります。

今回もたくさん加筆してます。

イラストですが見開きの挿絵があります。それがまた、泣けるのです( ᐪ꒳ᐪ )

今日は口絵をご紹介します。

挿絵(By みてみん)

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チロあらら…チロでできるのか それを知ってるディさん。さすエル とりあえず追いかけてくる先生は画像付きでお願いしまなんでもしまむら
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