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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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431/485

431ー泣き虫さんだった

 お祖父様もおリボンを手に取っていた。


「これはロッテも喜ぶぞ。テオのリボンも良いな」

「ええ、そうでしょう? ちゃんと髪色と合うようにと考えてくれているのです」


 テオさんが髪に結んでいるおリボンを見せた。


「いいわね、良い色だわ」


 お祖母様が褒めてくれた。喜んでもらえたみたいで良かった。頑張って刺繍した甲斐があるもの。


「プチゴーレムたちの帽子も、ロロが作ったのですよ」

「まあ! テオ、そうなの? ロロちゃん! 凄いわね!」


 俺のことを、ロロちゃんなんて呼ぶのは、伯母様のローゼさんだ。ローゼさんはニコ兄のこともニコちゃんと呼ぶ。

 そんな呼ばれ方しないから、ちょっぴり照れちゃうぞ。


「これ、ぼくはむりらな。()きねー」


 ハンカチを手に取って、刺繍を見ていたエルが言った。エルも刺繍しようと思ったのか?


「エルは魔法のお勉強もちゃんとしないのに無理よ」

「おおばあば、しょれはいったら、らめらじょ!」


 もうみんな知っているからね。エルはエルの得意なことを見つければ良いのだ。何も俺と同じことをしなくても良い。


「えるが、しゅきなことを、しゅればいいのら」

「しゅきなことか?」

「しょうなのら」

「しょっか! しょうらな!」


 お土産を皆が選んでいる時だった。部屋の外が少し騒がしくなった。


「お嬢様! お着換えなさってからにしてください!」

「いいのよ! 早く会いたいの!」


 そんな声が聞こえてきた。これって辺境伯家でもよく似たことがあったぞ。

 まさかまたドジっ子の登場じゃないだろうな。あたッ! とか言って(つまづ)いたりしないでほしい。もうあれは満腹なのだよ。

 そんなことを考えていると、コンコンとドアをノックする音がした。おや、今回はまともらしいぞ。


「失礼します。お祖父様、お祖母様、ただいま戻りました!」

「おう、ロッテ。早かったな」

「急いで馬車を走らせたのです!」

「まあ、ロッテったら。お着換えしてないのね」

「だって、お母様。早く会いたかったの!」


 そう言いながらやって来たのは、ロッテさんと呼ばれている伯父様の次女だ。シャルロッテ・オードランさんという。15歳で今はこの国の学院に通っていて寮に入っている。

 俺たちが来ると聞いて、わざわざ戻ってきてくれた。レオ兄と同じ歳だ。

 アッシュシルバーの長い髪をハーフアップにしていて、優しそうなオレンジ色の瞳の人。あれれ? とっても眼が合っている気がするのだけど。


「きゃ、きゃ……」


 きゃ?


「きゃわいいぃ~ッ!」


 俺にロックオンだ。そのまま真っ直ぐに俺の前に来て、しゃがみ込んだ。まだ、ガバッと抱きしめられるのではない。


「あなたがロロね?」

「あい、ろろれしゅ」

「エルと同じ歳なんですって?」

「あい」

「ろってねえ、ろろはしんゆうらじょ」

「まあ! もう親友になったの!?」

「おー! 仲良しなんらじょ」

「ふふふ、ロロ。初めまして、ロッテと呼んでちょうだいね」

「ろろ、ろってねえらじょ」

「ろってねえ?」

「そうよ! 可愛いぃ! 抱きしめても良いかしら?」


 そう言いながら、両手を出して眼をキラキラさせている。これは嫌とは言えないぞ。


「え……」

「ちょっとだけ、ね?」


 ね、って言われてもね。少し首を傾けながら、とっても期待に満ちた眼差しで見つめられちゃった。これは断れないじゃないか。


「い、いいのら」

「ありがと~!」


 フワリと優しく抱きしめてくれたロッテさん。俺の頭をナデナデしてくれる。


「よく……よく来てくれたわ。元気でいてくれて良かった。会えて嬉しいわ」

「ありがとなのら」


 うん、とっても落ち着いている。この感じなら大歓迎だよ。

 リア姉みたいにスリスリモミモミしない。全然ドジっ子じゃないし、普通だった。なんて思ったのだけど。


「グスッ……話を聞いてとってもとっても心配していたのよぉー! 無事でいてくれて良かったわー! うぇ~ん!」


 うぇ〜ん! てどうなの? 俺を抱きしめながら大泣きしている。

 あらら、最近のご令嬢は普通の人がいないのかな?


「ロロ、ロッテは凄く涙もろいんだよ。アハハハ」


 伯父様は笑ってるけど、涙だけじゃなくて色んな水分が出てしまっているぞ。それは良いのか? いかん、あの女神とダブってしまう。


「ろってねえは、いちゅもこうなんら」

「しょうなの?」

「おー。おれもよく、なきちゅかれるじょ」

「ああー……」


 まあ、仕方ない。俺は小さな手でロッテ姉の背中をトントンとした。


「ロロったらぁ、私の方がずっと年上なのにぃ~! えぇ~ん!」


 はいはい、もう泣き止もうね。


「ロッテ、いい加減にしなさい。ロロだけじゃなくて、みんなにご挨拶しなさい」

「は、はい……グスッ、お母様」


 俺の頭を一撫でして立ち上がり、ふぅ~ッと大きく息を吐いて気持ちを落ち着かせようとしていた。それからお顔を拭いてリア姉、レオ兄、ニコ兄を順にゆっくりと見た。


「初めまして、シャルロッテです。ロッテと呼んでね。会えて嬉しいわ。みんな心配していたのよ。元気でいてくれて本当に良かったわ……あ、駄目。また泣いちゃうぅ……グスッ」


 そう言いながら、綺麗なフワリとしたワンピースのスカートを摘まんで軽くカーテシーをした。

 泣かなかったら、とっても令嬢らしい。俺の周りにはいなかったタイプだ。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


本日公式から公開されましたので、こちらでも!

ロロ③の書影です!

私はいつも帯つきを公開しています。何故ならこの帯も担当さんが考えて作ってくださっているからです。

ここに文字を入れて、この部分にイラストをと全部指示されているのです。ちなみにロロの書籍の裏表紙にある掛け合い(?)も担当さん作です。

7/1発売です!どうか皆さまの手に取っていただけますように!(*˘꒳˘人)

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
ちびっ子達がすっごく可愛くて癒されます。転生者だからと、やたらと大人びた子供じゃなくて、ちゃんと幼児なのがまた良い!大人の記憶があっても今は子供なんだから。子供達の成長が楽しみです。
巻ごとにロロの表情が違うのが楽しみd(^_^o) イラストが入るだけでなく、ストーリーにも手が加えられていて、新鮮な気持ちで楽しんでいます 2巻では番外編のディさんに泣かされました〜 ロッテの事は言え…
三巻の表紙も素敵ですね~ロロ可愛い♡ 今度は泣き虫お姉さんら~
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