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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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423ー薬草がいっぱい

 穴を抜けると、そこはもう雑木林が広がっていた。裏の林って、お邸の本当にすぐ裏だった。


「よし! ろろ、いくじょ。ぴか、のしぇてくれな」

「わふ」


 またピカに乗って行く。だから俺たちはとってもラクチンだ。しかも自分で歩くより速い。ピカは揺れないようにゆっくり歩いてくれているけど、それでも3歳のちびっ子の足よりは速い。

 その林は、ここが街中だと忘れてしまうような場所だった。森ではない。そこまで鬱蒼とはしていない。疎らに木が生えていて、ちゃんと日差しも入ってくる。木々の葉が陽の光で微妙に透けて輝いている向こう側に、青いインクのような空にペンキで塗ったみたいな白い雲が見える。

 少しこんもりとしているから、小さな丘になっているのかも知れない。よく見ると、すぐそこに薬草が生えていた。木陰にはまた違う薬草もある。薬草はニコ兄が育てているし、俺もポーションを作るからメジャーなものなら分かる。この林は豊かだ。獣や魔獣がいないから薬草が残っているのだろう。

 コロコロとしたお豆みたいな糞はあるから、小さな動物はいるみたいだ。

 枯れ葉や雑草の中に、パッと見ただけでも数種類の薬草が生えているのが分かる。


「な、やくしょうが、いっぱいらろ?」

「うん、ほんとなのら」

「ここはこのままにしておくって、おおじいじがいってたじょ」


 これだけ薬草が自生しているのだから、ここは切り拓いてはいけない。

 ピカに乗りながら、林の中を見渡す。ここだけ空気が違うように感じる。

 街中だというのに、静かだ。葉っぱがそよそよと微かに揺れていたり、小鳥がピピピピと囀っている声だけ聞こえる。その中をピカが踏みしめる落ち葉の音が響く。

 おっと、忘れちゃいけない。賑やかなのがいた。リーダーたちとプチゴーレムたちだ。ピカの周りをピヨピヨ、キャンキャンと楽しそうに駆けている。

 木々の間から入ってくる日差しで、葉っぱがキラキラして見える。木が多いから空気が澄んでいるのかな? 良いなぁ、ここは気持ち良い。


「える、きもちいいのら」

「らろ!? ぼくもここは、しゅきなんら」


 丁度良い感じで日差しが遮られて、風も通るから暑くもないしジメジメもしていないから、きっと薬草にも良い環境なのだろう。柔らかい日差しのおかげで、生き生きとしているように見える。

 鬱蒼とした暗い森ではなく、程よく日の差しこむ明るい雑木林。怖さがない分、冒険だというワクワクした気持ちがより大きくなってしまう。

 少し進むと、木の枝がアーチみたいになっている向こう側に、ぽっかりと口を開けた大きな穴が見えてきた。その周りには蔦が這っていて、洞窟の入り口なのかな? 

 やっぱり少し丘になっている。だからこんな傾斜があるのだね。

 入口が岩を切り出したもので補強されている。その周りだけ木がないのも、きっと人が出入りするからだろう。


「あしょこら」

「ひょぉー!」


 これはもう、完璧に冒険だ。ちびっ子心をくすぐるのには、十分すぎるシチュエーションじゃないか。


「える、しゅごいのら!」

「らろー!? わくわくしゅるらろ!?」

「うん! わくわくなのら!」


 目の前に現れた大きな洞窟の入り口。この中は一体どうなっているのだ? こんな洞窟の中に薬草が生えているのか? ワクワクドキドキするじゃないか。


「ぴか、はいるじょ」

「わふ」


 きっとピカはこの林に出た時から、索敵をしてくれているのだと思う。いつもリア姉やレオ兄と一緒に、森へ討伐に行く時にはそうしているとレオ兄が話していた。

 ピカはできるワンちゃんだから。違った、フェンリルだ。

 そのピカが、なにも言わないで進むということは大丈夫だろう。防御壁の中にある街なのだから安全だ。

 ゆっくりと洞窟へ入って行く。思ったより大きな洞窟だ。大人でも余裕で立っていられる高さがあって、幅も広い。これは自然にできた洞窟なのか? それとも、薬草を採るために広げられているのかな?

 陽が遮られて薄暗くなり、気温も下がるような気がする。

 それまで騒がしかったリーダーたちが、少し大人しくなった。どうした? 何か感じるのかな?

 珍しく少し不安そうにリーダーが言った。


「ピヨヨ」

「あー、しょうなのら?」

「ろろ、なんていってんら?」

「ちょっとくら()いのが、いやなんらって」

「らって、ひかりがはいらないからな」

「しょうらね」


 ふむふむ、なら俺の出番だ。任せなさい。


「らいと」


 小さな手を上に向けて、ポンと丸い光を出した。


「これれ、らいじょぶ?」

「ピヨヨ」

「アン」


 大丈夫らしい。クリーンができるようになった頃に、レオ兄に教えてもらっていた。今回初披露なのだ。ふふふん。


「ろろ、しゅげーな!」

「えるは、おばしゃまに、おしえてもらってないのら?」

「んー、おぼえてねーじょ」

「きっと、おしょわってるのら」

「しょうなのか?」

「うん、きっとね」


 これは本当に、魔法のお勉強を抜け出しているな。だって、ライトなんて初歩中の初歩だもの。


「よし! ちゅぎ()から、がんばるじょ!」

「ふふふ」


 俺ができることで刺激になると良いな。お祖母様も伯母様も魔法は得意なのだから、エルだって才能はあるのではないかな? と、思うのだけど。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


6月にコミックが発売予定で、7月に3巻が発売予定です!

初コミック!楽しみです。

表紙の公開はもう少しお待ちください。

ノベルは①②発売中です!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
2人の大冒険、楽し~(。◠‿◠。)♡
>>裏山 よくもまぁ、そんな自然が残っているもので。もう少し大きくなったら、恰好の遊び場ですね >>魔法 ……さぼってたのかなぁ?ちゃんとちくり……報告しないといけませんなぁ >>コミック …
おぼえてねーじょ(*´▽`*) エル君、がんばるのらw ちびっ子の冒険可愛い~♪
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