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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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422ーひみちゅ!

 この子たちは確かに強いのだけど。


「ええー、おるしゅばんは、いやなの?」

「キャン!」

「ピヨヨ!」


 もう行くつもりになっている。仕方ない、連れて行くか。そばを離れたら駄目だよ。


「ひみちゅを、おしえてあげる!」

「ふたりらけの、ひみちゅ?」

「しょうら!」

「ひょぉー!」


 なんだかワクワクしてきたぞ。ちびっ子の頃って秘密基地とか、自分だけが知っている道とかって嬉しいものだから。よし、行こう。薬草を採ってきて、ウォルターさんに使ってもらおう。

 だけどここで肝心なことに気が付いた。


「える、ボクはしらないのら」

「なんら?」

「やくしょうを、しらないのら」

「おー、わかるじょ。おんしちゅ(温室)に、みにいくか?」

「うん、みておくのら」


 秘密のミッションを完璧に熟すために、目的の薬草をちゃんと知っておかないと。

 ピカに乗って、温室に入って行く。もうこの時点から、リーダーたちとプチゴーレムも一緒だ。なんだかちびっ子ばかりで、しかも賑やかだ。

 俺は初めて入った温室。そこは薬草が丁寧に植えられていて、どの薬草も生き生きとしていた。

 ニコ兄が話していたけど、近くに植えると枯れてしまう薬草もあるらしい。この温室を管理している伯母様は、それをちゃんと考えて植えている。種類の違う薬草同士が触れないように、一定の距離をとって整然と植えられていた。見たこともない薬草もある。

 その中に目当ての薬草があった。確かにあと数回分しかないだろう。下葉をちゃんと残してあるのだけど、成長が追いついてない。


「ほら、これらじょ」

「ほぉ~」


 エルはとってもよく知っていた。この子は本当に賢いなぁ。まだ3歳なのに、薬草も分かるのか?


「おばあしゃまが、これをまいにち、とってるからな」

「しょうなの?」

「おー、いちゅもいっしょに、とりにくるんら」


 へえ~、知らなかった。そんなことをしていたのか。


「ろろ、わかった?」

「うん、おぼえたのら」


 丸い葉っぱが何枚もあって、鐘の形に似た小さな白い蕾のある薬草だ。ほんの20センチほどしかない。きっとこの葉っぱと茎を使うのだろう。薬草自体が小さいから、沢山必要なのだろうね。

 なら、根っこから採ってこないと。植えて増やせるようにしておくほうが良い。


「よし! ぴか、いくじょ!」

「ぴか、いくのら!」

「わふ」


 仕方ないね、僕が守るよ。なんて言ってる、とっても頼もしいピカさんだ。

 でも、そんなに心配することもないって。お邸の裏だというし、こんな街中には獣や魔獣は出てこない。だって、立派な防御壁があるから。

 薬草はお邸のすぐ裏側にある林の中にあるらしい。そこは街中なのに、色んな薬草が自生しているからと林のまま残されている場所だ。

 そこに行くには、一度お邸の外に出ないとね。だからピカもお邸の門の方へと行こうとした。


「ぴか、ちがうじょ。あっちら」


 エルがプクプクの人差し指で、裏庭の奥を指差す。え? 向こうは行き止まりじゃないのか?


「らから、ろろ。ひみちゅら!」

「ひみちゅ!」


 おっと、エルったらやっぱりやんちゃさんだ。

 エルが言った方へ行くと、やはりお邸の裏の塀に突き当たった。この先には行けなくなっている。


「ぴか、あっちら」


 エルがまたピカを誘導する。そこは鶏舎や牛舎が並んでいる裏だった。大人だと二人並んで歩けるかな? て、くらいしかない。そこでエルがピカから降りた。林側の塀に厚めの板が立てかけてある。


「ここらじょ」


 エルが塀に立てかけてあった板をヨイショと退かす。持ち上げられないから、ズルズルと押して板を退かした。

 そこに現れたのは、大人では到底通ることができないような小さな穴だ。塀と地面との接地面に、そこだけぽっかりと穴が開いていた。これってピカも通り抜けられるかな?


「ひみちゅらじょ!」

「ひょぉー!」


 ちびっ子ってこういうの大好きだよね。だってとってもワクワクするもの。でもピカさん、穴が小さいよ?


「わふ」


 ギリギリ大丈夫かな? と言っていた。ここは俺も降りなきゃね。


「わふん」

「うん、わかったのら」


 僕が先に行くからね。と頼りになるピカさん。きっとお邸の外に出るから、危険がないか見てくれるのだろう。ピカはお利口さんだから。

 ピカが伏せてモソモソと穴を抜けた。突き出したお尻のフッサフサの尻尾が、楽しそうに揺れている。

 ああ、そっか。ピカは毛がフッサフサだから、よりふっくらとして見えるんだ。シャンプーしたら、どなたですか? みたいに細っそりしちゃうパターンだ。

 ピカの後を、リーダーたちが余裕で通り抜ける。

 ピヨピヨと鳴きながら、プチゴーレムは尻尾を振りながら怖がりもしない。この子たちはやる気だね。怖い物無しだ。


「ぼくが、しゃき()にいくじょ」

「うん」


 エルが地面に伏せて、ほふく前進みたいにして穴を潜る。向こう側から、いいじょー! て声がした。

 よし、俺も行くぞ。エルと同じように、腹ばいになって入って行く。

 今はまだ余裕で潜れるけど、これは身体が大きくなったらすぐに通れなくなるだろうな。そんな小さな穴だった。

 どうしてそこに穴が開いてしまったのか知らないし、それをどうしてエルが知ったのかも分からない。

 でもそれはエルにとっては、ワクワクする秘密の通路なのだ。

 この小さな穴の向こう側は何があるのだろうって。もしかしたら裏の林ではなくて、知らない世界に繋がっていたりして、なんて想像するとそれだけで楽しくなってしまう。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今日は暑かったですねー!ワンちゃん抱っこしてると、汗だくになっちゃいました!(^◇^;)

ロロの③、書籍化作業が佳境です。

楽しみにしていただけると嬉しいです(๑˃̵ᴗ˂̵)/

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
あー、物語が進まなくなるので止めませんが……けどねぇ(メタい) すぐ近いみたいなこととか言ってますが、いわゆる駅から5分の感覚を、実は第一宇宙速度(=時速28800km)を出す極音速ミサイルに乗って…
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