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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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417ー会いに行こう

 絵の中の母様は、幸せそうに微笑んでいる。


「かあしゃま、きれいなのら」

「そうだろう? 何しろこの国の皇子殿下に、見初められるくらいなのだからな」


 ええー、それを言っても良いのか? だって辞退したのだろう? だからひっそりとこの国を出たのだと、お祖母様が話してくれた。


「確かに、大々的なことはしてやれなかったが、それでもクロエは幸せそうだった。私たちも、クロエの幸せを願って送り出したんだ」


 その絵の奥の壁には小さな母様と伯父様がいた。キラキラとした瞳が絵でも分かる。二人共とっても利発そうで、母様は可愛い令嬢だった。


「おじしゃま、これもかあしゃまなのら?」

「そうだよ。幼い頃のクロエだ。ロロより少し大きいくらいだな」

「ふふふ。おじしゃまも、ころも(子供)なのら」

「当然だ。私だってロロのように、ちびっ子の頃があったんだ」


 こんな話ができるなんて、想像もしなかった。

 俺と伯父様がゆっくりと絵を見ているのを、ずっとエルは黙って待っている。こんなところがお利口だと思う。ピカさんにチョコンと乗ったままだけど。


「ロロはかあしゃまに、にてるんらな」

「え、しょう?」

「おー、しょうおもうじょ」


 そう言って、ニッコリと笑った。素直な笑顔だ。本当にそう思ってくれたのだろう。ふふふ、嬉しいな。

 

「レオとロロは、どちらかというとクロエ似だろう」

「しょう?」

「ああ。リアとニコはアル似だ。リアなんて性格まで似ているよ」

「ふふふ」


 笑ってはいけない。リア姉の正義感と責任感は父様譲りなのだね。

 伯父様がふんわりと俺を抱きしめながら、頭を撫でてくれる。


「本当によく無事でいてくれた。私たちが気付けなくて悪かった。寂しい思いをさせてしまったな」


 皇子殿下とのこともあって、大っぴらに交流できる立場ではなかった。そのことを母様もよく理解していて、敢えて距離をおいた。

 ウォルターさんからの便りだけで知ったつもりになっていた。立場なんて考えずに、もっと親身になっていれば良かったと後悔していると。

 伯父様がまた眉を下げてそう言った。そんなことはないのだ。


「たのしいのら。みんないっしょなのら」

「そうだな、四兄弟一緒にいてくれて良かった」


 そんなの離れるなんて選択肢は俺にはない。でも俺たち兄弟が今まで一緒にいられたのは、リア姉とレオ兄そしてマリーたちのおかげだ。

 俺なんてちびっ子で泣いてばかりだった。周りの人たちに恵まれていたのだと本当に思う。


「これからは、私たちがいる。フリード様たちもいる。頼って欲しいんだ」

「ありがとなのら」

「ぼくもいるじょ!」

「ふふふ。える、ありがと」

「おー、しんゆうらからな!」


 可愛いなぁ、弟がいたらこんな感じなのかな? て、同じ歳なのだけど。

 ここで見た母様の絵は、優しく幸せそうに微笑んでいた。それを俺は忘れないようにしようと思った。

 きっと父様と一緒になってからも幸せだったのだ。だって魔道具で見た母様は、絵の母様よりずっと幸せそうに見えたから。


「おじしゃま、あいたいひとがいるのら」

「ああ、ウォルターだね」

「しょうなのら。ありがとうって、いいたいのら」

「案内しよう。リアたちはもう会ったんだ」


 レオ兄が、もう会ったと話していた。俺って、またまた出遅れているぞ。寝込んでしまったことが悔やまれる。

 しかもほっぺが元に戻るまで、ベッドから出たら駄目とか言われちゃったし。ここに着いてから時間がかかってしまった。

 執事のウォルターさんが命がけで知らせてくれたから、テオさんとジルさんが探しに来てくれた。恩人といっても良いと思うのだよ。ふむふむ。

 俺は腕を組んで考えるポーズだ。久しぶりに出たよ、俺のちょっと渋いポーズがさ。片足をちょっとだけ前に出して、貫禄を出してみよう。


「ぶふふッ」


 おやおや? もしかして伯父様は笑いを堪えていたりするのかな? おかしいぞぅ。


「ロロ、どうした? 考えているポーズか?」

「しょうなのら。しぶいぽーじゅなのら」

「ぶはッ、ハハハハ」


 ああ、思いっきり笑われてしまった。そんなにおかしいかな?


「ろろ、しぶくないじょ」

「え、しょお?」

「しょうらな。らって、おなかが、ぷくぷくらもん」

「ええー」


 それは気付かなかった。だって自分のお腹なんて意識して見ないもの。盲点だった。


「アハハハ、ロロは楽しいな」

「ええー」


 俺の決めポーズと言っても過言ではない渋いポーズが、笑われてしまって楽しいとか言われちゃった。これはいけない。また別のを考えなきゃ。


「わふん」

「え、わかったのら」


 そんなことをしていないで、乗ったら? なんて冷めたことをピカさんに言われちゃった。ヨイショとまたピカに乗る。

 さて、会いに行こう。俺だけ遅くなっちゃった。


「ろろは、じょうじゅ(上手)にのるな」

「なれてるのら」

「しょっか、ぼくもなれるじょ」

「うん、しゅぐになれるのら」

「おー」


 エルはまだほんのり甘い香りがする。ちびっ子特有の匂いだ。赤ちゃんの頃の匂いが、まだほんの少しだけ残っているのだね。可愛いったらない。


「わふ」

「あ、しょうらった」


 またまたピカさんのツッコミだ。ロロと同じ歳だよ。なんて冷静に言われちゃった。俺もそうなのかな? だからリア姉がよく、スーハーしているのか?


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


遅くなりましたー!( ̄O ̄;)

やっと噂のウォルターさんが登場しそうです。

6月にはコミック1巻が発売になります!

表紙はまたお見せできるようになったら投稿しますね〜

どうかコミックもよろしくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
コミック版は6月……メモメモ。あ、3巻も同じぐらいの時期ですかね? >>小さい母様 「これが三歳の頃のしゃれこうべで、これが十歳の(ry 的なネタじゃないのか >>アル似 やはり脳筋……筋肉…
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