405ー心配かけちゃった
(お祖母様視点です)
慌てて指示をしている私とは正反対で、レオは冷静だったわ。
「お祖母様、僕はロロと一緒にいます」
「でも、レオ。ロロはお熱があるから……」
「いえ、それでもいつも一緒なんです。もし夜中に目が覚めて、誰もそばにいなかったら心細いでしょうから」
「レオ坊ちゃま、私もついていますよ」
「レオ、マリー、私も一緒にいるわ」
「お祖母様、大丈夫です。僕とマリーが付いています」
「いいえ、私も一緒にいるわ」
そんなの心配で離れられないわ。あんなに元気そうだったのに。大人の私が気付かなかったなんて。まだロロはちびっ子だから、無理をさせちゃったのじゃないかしら。大人でも馬車での長旅は辛いもの。
ロロは私達に遠慮して、辛いと言えなかったのじゃないかしら? ああ、どうしましょう。
「大奥様、私が付いております。ですから……」
「いいえ、マリー。私も一緒にいさせてちょうだい。心配だわ。私はずっと一緒の馬車だったのに気付かなくて」
「そんなことはありません、お祖母様」
「でも、ロロに無理をさせちゃったのだわ」
「大丈夫ですよ。ロロは強い子です。大丈夫です」
レオは父親代わりなのね。冷静で懐が深い。みんなのフォロー役なのだわ。でもレオだってまだ15歳なのだもの。長男だからと我慢していたりしないかしら。
私も落ち着かなきゃ。ふぅ~ッと息を吐いて、気持ちを切り替える。
「お祖母様、大丈夫だぞ」
「ええ、お祖母様だってお疲れなのですから」
「ニコ、リア、ありがとう。でも私もロロのそばにいたいのよ」
この子達はみんな良い子達だわ。優しいし、他人を気遣う気持ちを持っている。きっと四人で支え合いながら暮らしてきたのね。
クロエはどんなに心残りだったでしょう。この子達の成長を見守っていたかったでしょうに。こんな良い子に育っているのに。
そんなことを考えると涙が出そうになってしまう。ダメダメ、今はロロだわ。
私も一緒にロロの看病をしていたの。
◇◇◇
(ロロ視点に戻ります)
女神の世界から戻った俺を待っていたのは、少し重怠くまだ熱っぽい身体だった。ほっぺが痛くて熱をもっている。それでもゆっくりと瞼を開けると、お祖母様のお顔が最初に眼に入った。
もしかしてずっと付いていてくれたのかな? 少し疲れているように見えるし、とっても心配そうなお顔をしている。着いてすぐに倒れたから、きっと心配をかけちゃったのだ。
お祖母様の後ろには、リア姉とニコ兄もいる。ピカさんとチロはどこいった?
「くぅ~ん」
「キュル」
声がした方へお顔を動かして見てみると、ピカとチロまで心配そうに見ていた。ああ、チロも一緒にすぐそばにいたんだ。
「ロロ! 気が付いたのね、良かったわ」
「おばあしゃま……」
ちょっと声が擦れて喋りにくい。あれれ? ここはどこかな? 広くて綺麗な知らない部屋の大きなベッドに寝ていた。確か俺は伯父様に抱っこされて……あれ? そこから記憶がないぞ。
「コホン、コホン……うぇ……」
「ロロ、お喉が痛いのかな?」
「ロロ坊ちゃま、果実水ですよ」
レオ兄とマリーも心配そうな顔をして俺を見ている。あー、心配をかけちゃった。レオ兄がそっと俺を起こしてくれた。まだ身体が少し熱っぽい。
マリーに果実水を貰って、コクリと飲む。うぅ……飲み込むのが辛い。
「坊ちゃま、ゆっくり飲んでください。きっとお喉が腫れているんですよ」
「うん……おのろがいたいのら」
「ロロ、お顔を見せてごらん」
「れおにい、いたいのら」
「そうだね、腫れちゃったね」
「あらあら、お耳の下が痛いですか?」
「ほっぺがいつもよりプクプクだね」
「れおにい、しょうなのら」
「アハハハ、そうなのか」
笑い事ではない。本当に痛いのだ。ちょっと喋りにくいし。
「目が覚めて良かったわ。お医者様に診てもらいましょう」
え、お医者様だって。そんなの今まで熱を出しても、診てもらったことなんてないぞ。レオ兄が作ってくれる薬湯で治してきた。それで充分なのに。あれってよく効くのだよ。
「ロロ、もう2日も眠っていたんだ。その間にも診てもらっているんだよ」
「れ、れおにいの……」
「ん? お喉が痛いなら、あんまり喋らない方が良いよ。やっとお熱も下がってきたところだからね」
「れおにいの、やくとうれいいのら」
「まあ! レオったら薬湯も作っちゃうの!?」
あれれ? お祖母様が驚いている。どこの家でもそんな感じなのじゃないのか? もしかして、レオ兄が薬湯を作れるのも特別なのかな?
「母上に教わったのです。それにニコが良い薬草を育ててくれるから、ちょっと勉強したんです」
「凄いわ! レオは本当に優秀なのね!」
お祖母様は元気だなぁ。馬で辺境伯邸まで俺達を迎えにきてくれて、またすぐに俺達と一緒に戻ってきたんだ。お祖母様の方が疲れているだろうに。それなのに俺を看病してくれて、今度はお祖母様が倒れたりしないか心配になるぞ。
「おばあしゃま……もう、らいじょぶなのら」
「ロロ、遠慮しなくて良いのよ。お医者様にちゃんと診てもらいましょうね」
「おばあしゃま、ちゅかれてない? しんぱいなのら」
「ロロ……なんて優しい子なのかしら」
お祖母様ったら元気そうだ。
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宜しくお願いします。
ロロとラウの投稿ペースですが、できるだけ週2回はと思っているのです。そこから少しずつペースを上げてと。
プライベートでの厄介事の一つが落ち着きそうなのです。今は書籍化関係も落ち着いています。が、来月くらいからまたバタバタしそうです。
ラウのイラストが完成してきています。もうね、綺麗なのですよ。お楽しみにしていただけると!
もうすぐリリ⑥が発売になります。発売記念SSを投稿予定なので、読んでいただけると嬉しいです!
ロロ①の方がほんの少し手に入り難くなっているようです。ありがたや〜(*≧∀≦*)




