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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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404/486

404ー倒れちゃった

「よく汗をかいていたのも、お熱が出るよ~というサインだったのですぅー! ぶぶちーん!」


 泣きながら鼻をかんでいる。折角の美人さんが台無しだ。女神の威厳なんて欠片もない。でも、心配してくれたのだね。だから態々この世界に呼んだのだろう。


「ごめんね、ありがと」

「ぎゃんかわ!」


 今度はお顔を両手で覆って仰け反っている。忙しい女神だ。そんなところを直す方が良いと何度も言っているのに。


「だってロロがぁ! ロロが心配なのですー!」

「うん、らいじょぶなのら」

「大丈夫じゃないのですよ! 高いお熱が出てもう2日も寝込んでいるのです!」

「ええー!?」


 なんだって!? 2日だって!?

 俺ってそんなに寝込んでいたのか!?


「そうなのです。その間お祖母様は心配して、ずっとロロに付いているのですぅ。だから我慢できずに呼んだのです!」


 それは悪いことをしちゃった。心配かけちゃった。早く元気にならなきゃ。と、思っていたら、女神がやけにニヤニヤとしている。両手で口を覆っているが、笑いを隠しきれていない。身体がプルプルと震えているじゃないか。


「ぷぷぷぷー」

「え、なんれわらうのら?」

「だってぇ、ほっぺが腫れたロロも可愛いのですぅ」


 ほっぺが腫れている? なんだと? と、思って自分のほっぺを触ってみる。


「ああー……」


 ただでさえプクプクの俺のほっぺが、よりプックプクになっていた。これはあれだ、前世でいうおたふく風邪だ。流行性耳下腺炎。ムンプスウイルスに感染して耳の下や顎の下が炎症を起こして腫れてしまう。前世なら子供の頃に皆予防接種をするけど、この世界にそんなものはない。症状が同じというだけで、同じウイルスが原因かも分からない。

 環境が変わったから、疲れていたのかな? それで免疫力が落ちて感染してしまったか?


「だからなのですぅッ! じゃじゃじゃじゃーん! 女神の加護発動なのですッ!」


 そう言いながら、果物を俺の眼の前にズズイと出してきた。これは、あれだ。俺が攫われて怪我をした時にも食べさせてもらった、とっても美味しいやつだ。


「食べるのです! 早く元気になるのです! みんな心配しているのですよ!」


 せっかくだからいただこう。あーんとお口を開けると、デレーッとしたお顔の女神が果物を口に入れてくれる。


「ロロにあーんしちゃったのですーッ!」


 はいはい、いつものことだね。もう少し恥じらいというものを覚えてほしい。

 やっぱこの果物はとっても美味しい。お口に入れた途端に広がる芳醇な香りと果汁。桃のようなマンゴーのような、なんとも言えない美味しさだ。

 熱っぽい身体でも、ちゅるんと喉を通っていく。いくらでも食べられそうだ。女神がまだ悶えているけど、この際だからそれはスルーだ。


「美味しいですか?」

「うん、おいしいのら」

「もっと食べるのです」


 結局また丸々一個食べさせてもらった。女神にも心配かけちゃったね。


「もう大丈夫なのです。戻っても、あと数日間は安静にするのです。なにしろ、こっちの世界にはお薬や予防接種はないのですから」


 そう言っている女神の身体が消えかかっていく。


「ああー! もう時間なのですぅー! 安静にしているのですよーぅ! よーぅ! よーぅ……」


 と、消えていった。どうしていつもこうなのだろう? 女神なのだろう? この世界の主神なのだろう? なのに、時間配分もできないのか? これってウケを狙っていたりして。そんなことないか。



 ◇◇◇

(お祖母様視点です)



 シュテファンがロロを抱っこして移動している時に、ロロの身体から力が抜けてダラリと寄り掛かった。パッチリとしたお目々がゆっくりと閉じていったのを眼の前で見たの。

 それはスローモーションみたいに見えたのを覚えているわ。サァーッと身体中の血が引くみたいに感じて、周りの色がなくなって見えた。せっかく、やっと会えたのに! 何ということなの!? ロロに何が起こったの!?

 

「やだ、ロロ!」

「ロロ! ロロ!」

「ロロ、どうしたんだ!?」


 リア、レオ、ニコがロロを抱っこしているシュテファンに駆け寄る。


「ロロ坊ちゃま!」


 マリーがロロの額に手を当てて、お熱があるのかを確認している。


「まあ! 酷いお熱です。もしかして、辺境伯様にお世話になっていた時によく汗をかいておられたのは、お熱が原因なのかも知れません」


 マリーはそう言いながら私達やリアとレオに頭を下げたの。


「申し訳ありません! 私がついていながら……」

「マリーの所為じゃないよ」

「そうよ、きっとロロは楽し過ぎちゃったんだわ」

「おう、そうだな。テンションが上がり過ぎたんだよ」


 みんな冷静なのね。私の方が動揺しているわ。私も四人にやっと会えて嬉しくて、気持ちが舞い上がっていたのかもしれない。なんて反省している場合じゃないわよ。どうしましょう、とにかくロロを寝かせてあげなきゃ。


「シュテファン、早くロロをベッドに」

「はい、母上」


 シュテファンがロロをそっと抱き直して足早に部屋へと急ぐ。メイドに氷と冷たいお水を頼んで、あとはお医者様を呼ばなきゃ。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今日は遅くなってしまいました。

最近、重なって動いていた書籍化作業もラウだけになり、落ち着いています。

今のうちに投稿分を頑張って進めないと!

と、思いつつAmazon様を何気に見ているとレビューに見慣れたお名前が!!

心当たりのある方!そう、あなたです!

公表しても良いのか分からないので、特定するPNの公開は避けますが、本当にありがとうございます!

見つけた時は泣きそうになっちゃいました。

嬉しくて、ありがたくて、皆様本当になんて温かくてお優しいのでしょう。

私は恵まれています。

皆様に支えていただいて、書いています。

ありがとうございます!

皆様に感謝を!!

コミカライズも公開中の、ボクは光の国の転生皇子さま!6巻が4月1日発売です!よろしくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
ロロちゃんのお熱も下がりそうで良かったですね、小さい時になった方が楽とは言え周りは心配ですよね。 ロロちゃんをお迎えに行ったらハルちゃんを連れて来てしまったにゃー、読みたかったから大丈夫なんだけど…
ようやく新刊購入しました……なるほど、ディさんは人と触れ合う度に、奥底ではあんな思いをしていたのですね 3巻もよろしくお願いいたします で、おたふくですか。異世界にもおたふく……ってことは、誰かはほ…
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