表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

402/485

402ー伯父様

 母様も高等部に入る年にデビュタントをした。お祖父様にエスコートされて舞踏会に参加した。

 その時に、帝国の第2皇子に見初められたらしい。内々ではあるけど、すぐに婚約の打診が届いた。だけどその頃はもう母様は父様と出会っていた。

 他にも婚約者候補の令嬢がいたから、高等部に在学中はなんとか躱していたらしい。でも卒業を目前にして、とうとう躱せなくなった。

 お祖父様やお祖母様も、父様と母様の気持ちを知っていた。だから辞退したのだそうだ。


「え、皇子殿下との婚約をですか?」

「そうなの。だからその時に私達も、爵位を返上する覚悟をしていたのよ」


 そんなに大変なことだったのか。それでもお祖父様とお祖母様は、母様の気持ちを優先したんだ。


「別に爵位がなくても、この領地は豊かだわ。領地を返上したとしても、私達は貿易で食べていけるわね、なんて話していたのよ」


 サラッと話しているけど、当時は大きな決断だったのだろう。母様だけじゃない。母様のお兄さんだっているんだ。それに、お祖父様の家は由緒正しい侯爵家だと聞いた覚えがある。


「そうね、お城で立場のあるお仕事をしていたご先祖様もいるわね」


 なにより、国境を守っている家系だ。皇帝も無碍にはできなかったのだろう。

 それで、婚約の打診を公にしていなかったこともあり、皇子との婚約はなくなったのだそうだ。

 お祖母様は懐かしそうな表情で微笑みながら言った。


「爵位を返上しても、良かったのだけどね。ふふふ」


 いやいや、そんなことはないだろう。実際に皇帝は侯爵家を残すことを選択したのだし。

 それから母様は卒業と同時にひっそりと国を出た。父様と婚姻するためにだ。


「私達は婚姻式にも立ち会えなくて……クロエには不憫な思いをさせてしまったわ」


 そうだったのか。だから母様は二度と帰れないなんて覚悟をしていたのだ。隣国だから、爵位が母様の家の方が上だから、そんな程度の話ではなかった。


「それでも、あなた達のお父様ならと思ったの。アルはとてもクロエを大切にしてくれて、信頼できる人だったのよ」

「辺境伯邸で出会ったのですよね?」

「そうよ、幼い頃から二人はきっと将来一緒になるわね、て話していたの。それだけ仲が良かったのよ」


 なんだか、照れ臭い。自分のことじゃないのだけど。自分の両親のなれそめを聞くのって、ちょっぴり恥ずかしい。


「執事のウォルターがこっそり手紙をくれていたの。長女が生まれた、長男が生まれた、次男が、三男がってね。それが唯一の繋がりだったの」


 ああ、だから執事さんは何が何でも知らせなきゃと、お祖父様の家を目指したのだ。

 執事さんは、マリーより年上だったと聞いた。そんなお年で、隣国まで行くのは大変だったろうに。よく知らせてくれた。


「時々送られてくるウォルターの手紙を読むたびに、クロエは幸せなんだと思えたわ。あなた達のことも、とても愛していると伝わってきたの」


 そっか……そうだったのか。父様と母様が……。俺がしんみりとしていると、お祖母様が言った。


「ロロにはまだ難しいお話だったわね」

「お祖母様、それはないです。ロロは全部理解していますよ」

「レオ、そうなの? だってロロはまだ3歳なのよ」

「はい、でもロロはそうなんです。本当に賢い子です」


 ん? それは3歳らしくないって事かな? このふわもちボディーを触ってみるかな? ん?


「こんなに可愛いのに」


 可愛いは関係ないと思うのだ。

 馬車は門を抜け、大きなお邸の前で止まった。辺境伯邸と同じくらいに広いお邸だ。壁が白っぽい所為もあって、お邸というより小さなお城みたいだ。

 広い前庭も辺境伯邸と同じだ。ここもきっと、何かあったら領民の避難所になるのだろう。

 その前庭を過ぎると、綺麗な花が植えられていた。四阿も見える。その向こうにやっとお邸の玄関がある。玄関の前に、大勢の使用人とお祖母様の家族だろう人達が待っていてくれた。


「さあ、着いたわ」


 お祖母様に言われ、順に馬車を降りると一人の男の人が前に出てきた。


「父上、母上、おかえりなさい。テオ、ジル、ご苦労だった」

「父上、無事に探し出せてホッとしました」

「ああ、よくやった!」

「シュテファン。変わりはなかったか?」

「ええ。それよりも父上、この子達ですか?」

「ああ。クロエとアルの子供達だ」


 お祖父様に手招きされて、俺達は側に行く。ちょっと緊張してきちゃった。きっとあれが母様のお兄さんだ。

 俺ってば、時々人見知りを発動してしまうから。隣にいるニコ兄の手を握った。


「ロロ、大丈夫だぞ」

「にこにい」


 ぎゅって、握り返してくれる。ちゃんと、ご挨拶をしなきゃ。でも俺はドキドキでなんだかフワフワとして落ち着かなかった。ブルブルッと、身体が震えた。これは武者震いなのかな? あれれ?


「やっと会えた……」


 母様のお兄さんが、俺達を見て目を細めながらそう言った。

 一言なのだけど、心配してくれていたのだと伝わってくる。お祖父様とは違って、落ち着いた雰囲気の人だった。


「私が君達の母上の兄だ。よく無事でいてくれた。会いたかったよ」


 シュテファンと呼ばれた母様のお兄さんだった。


お読みいただき有難うございます!

皆様、リリとロロのコミカライズは見ていただけましたでしょうか?

どちらも激可愛いですよね〜!

更新の時は、いつも18時前からスタンバッています。

皆様より少し早く読ませていただけるのですが、実際にサイトにアップされると、これまた感無量なのです!

迷わず即課金してしまいます。

ノベルも負けていられません!投稿ペースをもう少しなんとかしないと!

これからラウに集中です。めっちゃ可愛い赤ちゃんラウですよ〜!楽しみにしていただけると、嬉しいです!


応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今日は書籍版にしかないシーンのイラストを!

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
お久しぶりでございます。貯めて貯めて読んでロロに浸りました。相変わらず楽しい面々が飛んだりじゃんぷしたりで面白かったです。そしてやっと着きましたね、お屋敷の方々がこれから目を白黒させるんじゃないかと楽…
>>書籍 買いに行く暇が欲しい…… >>両親の馴れ初め ウォルターさん、GJ よくある離れ離れになっても……というパターンでなかっただけよかったかな? でも結果的には永遠の別れになってしまっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ