401ー母様の事
俺が魔鳥といわれて一番に思いつくのはやっぱコッコちゃんだ。よわよわだけど。
「こっこちゃん」
「ふふふ、ロロ。そうね」
「フォリコッコの事かしら? 捕まえて飼っているのですってね」
「しょうなのら」
「卵が美味いんだ」
「まあ、そうなのね。お肉は美味しいって有名だけど」
「らめ、かわいしょうれ、らめ」
「あら、ふふふ」
コッコちゃんを食べるなんて、俺にはできないぞ。しかもリーダー達がいるのだ。一緒に遊んでいたりするのに、そんなの無理だ。
「一緒に戦っていたのはその雛かしら?」
「しょうなのら。おとなしくしてくれないのら」
「な、でもリーダーがいるから大丈夫だろう?」
「しょうらといいんらけろ」
だって、プチゴーレム達も一緒だからね。リーダーの負担が大きい。
「大丈夫だぞ。ユーリアも一緒だから」
「え、にこにい、しょう?」
「ああ。ユーリアは仕切るからな」
ユーリアも毎日畑でコッコちゃん達と一緒だ。もしかして隠れたボスだったりして。
マリーの孫娘は、二人共とってもしっかりしている。その二人が一緒だから大丈夫だろう。
その日は街道の横にある休憩所で一泊して、翌日もずっと馬車に揺られていた。次の街まで遠かった。ベッドでゆっくり眠りたいと思っていた頃に、やっと二つめの街に着いた。
その街の宿屋で一泊して、また馬車だ。そうして何日もかけて、お祖父様のお邸のある街に着いた。
今までの街に入る時にも防御壁はあった。でも、それよりもずっと大きくて立派な防御壁が見えてきた。そこを通ると大きな街だった。
「もうすぐよ。この街に私達の家があるの」
「大きな街ですね」
「そうね、貿易の要になっているわ」
それでも国境から何日も掛かった。こんなに遠くから母様は父様のところに来たのだ。
二度と戻れないと覚悟をしていたと聞いた。そりゃ、遠いもの。しかも隣国だ。
馬車の中から街並みを見ていた。ルルンデのある王国とはすこし雰囲気が違う。建物の壁の色が違うからかな? それとも、隣国だと思って見ているからかな? そういえば、辺境伯領もよく似た雰囲気だった。そんな街並みを見ながら、レオ兄が言った。
「ここはルルンデとは雰囲気が違いますね」
「レオがそう感じるのは、多分建物の壁の所為じゃないかしら」
「お祖母様、壁ですか?」
「そうよ、白っぽいでしょう?」
やっぱそうなのか。色が違うと思ったのだ。ルルンデだとレンガ色だったり茶色っぽかったりするのだけど、この街の建物はみんな白っぽい。
「あ、まじゅうなのら」
「そうよ、ロロ。よく気が付いたわね」
「らんじいが、いってたのら」
辺境伯領でもそうだった。魔獣や魔物が嫌がる植物を混ぜているから、壁が白いのだと。防御壁もそうだった。それと同じなのだ。
「ここはフリード様達のところと同じなのよ。大きな街でも、魔物や魔獣にはいつも気を付けているの」
お祖母様の話を聞きながら、お外を見ていた。街の中を進む俺達の乗る馬車の前を、お祖父様やテオさんが乗る馬が行く。それに気付いた街の人達が手を振っている。おかえりなさい! と、声が掛かったりしている。
フレンドリーで、信頼されているのが分かる。お祖父様も手を振り返している。この街で俺達の母様は育ったのだな。母様もこの道を通って、辺境伯領へ行っていたのかな? そこで父様と出会って、恋に落ちた。
父様のもとへ行くのだとしても、この街を出て行く時はどんな気持ちだったのだろう。相当の覚悟をしていたのだろうと思う。だって、二度と帰れないと話していたくらいなのだから。
「お祖母様、聞いても良いですか?」
「なあに、リア」
「いくら隣国とは言え、どうしてお母様は二度と帰れないなんて思っていたのですか? そこまで思う必要があったのですか?」
俺もそれは思った。確かに隣国だから婚姻は難しかったのだろう。だけど二度と帰れないなんて、そこまでの事なのかな?
「そうね、もう話しても良いかしら」
少し寂しそうな顔をしてお祖母様は話し出した。
俺達の母様は、この国の要であるオードラン侯爵家の令嬢として名立たる貴族が狙っていたらしい。魔道具で見ただけだけど、俺を抱っこしている母様は美人さんだった。
リア姉とレオ兄を足したような感じだ。リア姉ほど勝気には見えなくて一見優しそうなのだけど、ふとした表情に芯の強さが見て取れる。俺はそんなふうに感じた。レオ兄と同じ藍色の長い髪が印象的だった。
母様が子供の頃は、ほとんど領地から出なかったから静かに暮らしていたらしい。でも、貴族にはデビュタントがある。16歳になる年にみんな一度は城の舞踏会に呼ばれる。そこで、どこそこの令息だ、令嬢だとお披露目するのだ。
この帝国には学院がある。初等部、中等部、高等部とあり、大抵の貴族は高等部から学院に入学する。それまでは各家で家庭教師について勉強するらしい。
初等部、中等部に通っているのは、家庭教師を雇えないような低位貴族、若しくは平民なのだそうだ。
その高等部に上がる歳が16歳だ。そのけじめというか、これからは自分の言動に責任を持たないといけないという意味もあるのだそうだ。もちろん、社交界デビューという意味もある。
お読みいただき有難うございます!
なかなか投稿できなくて、申し訳ありません!
やっと少し落ち着くかな?て、感じです。多分ですが(^◇^;)
リリ⑥が4/1に発売になります。その次は5/10にラウです。
6月はなにもありません。お休みです!
ロロ②の後ろに7月頃に③とありましたね( ̄◇ ̄;)
リリ⑥は書籍版オリジナルキャラが登場しますよ〜!超可愛く書いたつもりです。おかげで、改稿が大変でした。
この数ヶ月で、同月に2冊とか、毎月発刊とかはできるだけ避けようと思いました( ̄◇ ̄;)
ありがたいことなのです。応援してくださる皆様のおかげです。
その上、皆様温かいお言葉をくださるし。本当に私は恵まれていると思います。
ありがとうございます!
もう少し、投稿頻度を上げられるようにしたいと思ってます。
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