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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

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393ーもう手に負えない

 コッコちゃんの雛達とプチゴーレム達だ。いやもう雛とは言えないかも知れない大きさだ。リーダーだけが辛うじて雛の大きさだ。統率しないといけないリーダーまで、張り切って一番前を走っている。どういうこと?

 ニコ兄も呆れて見ている。それにしても、走るの速いなぁ。


「ロロ、あれどうすんだ?」

「ろうしようもないのら」

「そうだな、けど飛べないのだから届かないだろう?」

「ね~」

「あらあら、まあまあ!」


 お祖母様までマリーみたいになっている。

 あの子達は本当にやんちゃさんだ。俺の手には負えない。みんなの足を引っ張らないと良いのだけど。そう思って見ていると、お祖父様が剣を空中に向かって大きく振った。すると、ギュイーン! と空気が振動する様な音がして、緑色に光る斬撃が飛び魔鳥の翼を掠めた。


「すげー!」

「ぴゃぁッ!?」


 なんだなんだあれは!? お祖父様の剣から何かが飛んだのだ。だけど魔鳥も素早い。大きな体なのに、俊敏に動いて避けている。


「ふふふ、見るのは初めてかしら? 魔力を流した剣から魔法の斬撃を飛ばしているのよ。ああして空中の魔鳥を落とすの」

「お祖父様、すげーな!」

「あれは、フリード様に教えてもらった技よ」

「ふりーろじい!?」

「そうよ。フリード様はとっても強いの」

「俺達の父様の師匠だって聞いたぞ」

「そうね、アルは師事していたわ。貴方達のお父様も強かったのよ」

「へぇー!」


 呑気にお祖母様の、そんな話を聞いていた。目の前でみんなが魔鳥と戦っているというのに。

 レオ兄が、魔力を流した矢を射って魔鳥を落としている。それでも素早く躱されてなかなか落ちてくれない。それに数が多い。群れで連係して襲ってくるのだ。

 もし、俺達が通らなかったらあの馬車の一団は危なかっただろう。人は逃げ出せたとしても、積み荷はきっと壊滅状態になったと思う。その商人の一団の護衛らしき人達も奮戦している。

 あの人達は冒険者なのかな? 商人の恰好ではない。リア姉が持っているような剣で戦っている。

 馬車から見ていると、リア姉の剣が真っ赤に燃えているように見える。リア姉も剣に魔力を流すことに慣れた。辺境伯領でも色々教わったみたいで、前よりずっとスムーズに魔力を流すようになった。その証拠に刀身が伸びている。元の剣の大きさより長くなっているのだ。これはリア姉、頑張ったのだろう。

 そんな目立つリア姉より、淡々と弓を引いているレオ兄の方に注目したらしいお祖母様。


「まあ、レオは凄いわね。魔力操作が上手だわ」

「おばあしゃま、わかるの?」

「ええ、私は魔法の方が得意なの。剣ではなく魔法で戦うのよ」

「ええ!? お祖母様も戦うのか!?」

「もちろんよ。私達の領地も辺境伯領と同じで、魔獣や魔物がいるもの」


 そういえば俺達の母様に、魔法を教えたのもお祖母様だと言ってなかったっけ?


「おばあしゃまが?」

「ええ、そうよ。女だって戦う術が必要なこともあるの。貴方達のお母様にもそう言って魔法を教えたわ」


 なんだか、かっちょいい。お祖母様が落ち着いているから、俺達も危機感を感じていなかった。

 テオさんやジルさんも魔鳥と戦っていた。二人も当然のように剣で斬撃を飛ばしている。みんな強いなぁ、と思いながら見ていたのだ。これはピカさんの出番もないね。


「わふん」

「うん、しょうらね」

「ピヨヨ!」

「キャンキャン!」


 え……!? ああ、あの子達も奮戦しているらしい鳴き声が聞こえた。お祖父様達に混じって、ピヨヨ、キャンキャンと鳴きながらジャンプしている。


「ロロ、マジかよ」

「にこにい、もうてにおえないのら」


 飛べないし小さいのだから戻っておいでと、リーダー、フォーちゃん、リーちゃん、コーちゃんそれに、いっちー、にっちー、さっちー、よっちー、ごっちーを呼んだ。久しぶりにみんなの名前を全部呼んだ。


「なにしてんの!? あぶない!」


 俺は思わず叫んだのだけど、そんなの聞いちゃいない。しかももっと驚いたのがみんなの身体能力だ。今討伐しようとしているのは魔獣だ。それも空を飛ぶ魔鳥さんだ。あの小さな子達が届く訳がない。なのにだ。

 魔鳥が翼を閉じて体を細くし一直線に空から落ちてくる。それを目掛けて高くジャンプしているんだ。フォーちゃん達は手羽をバタバタと超動かして、いっちー達は垂れ耳をフワフワと靡かせてジャンプし、落ちてくる魔鳥を蹴落としている。

 あれはジャンプなのか? 飛んでいるとは言えないけど、それにしては凄いジャンプ力だ。


「ピヨヨー!」

「アンアン!」


 元気よく鳴きながらキックしている。とぉッ! アルね! キックだ! ジャンプするアルね! やるぞー! なんて言って張り切っている。

 よく見るとリーダーと、いっちーが下で待機してみんなを蹴り上げている。え? 蹴っちゃって大丈夫なのか?


「あら、あのこ達は凄いわね。全身に薄く魔力を纏わせているんだわ」


 なんですと!? そんな事をいつの間にできるようになったのだ?


「あれは身体強化の一種ね。もしかしてフリード様が教えたのかしら?」

「ええ!? フリード爺はそんな事もできんのか!?」

「そうよ、フリード様はランベルト様ほど魔力はないのだけど、使い方が上手なのね」


 ああ、それなら納得だ。だってフリード爺にプチゴーレムを作ったもの。


お読みいただき有難うございます!

遅くなってしまいました。

もうあれやこれやと忙しくて。確定申告の季節&締切&諸々(^◇^;)

ちびちゃん達が活躍しています。どうやってキックを魔鳥さんに届かせるのか。

そこが難点でした。


ロロとリリのコミカライズが公開中です。

ハルちゃん②は今月末に発売です!

宜しくお願いします!

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宜しくお願いします。


ハルちゃん②の挿絵です!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
下で蹴り上げられて空を跳ぶそれ即ちスカイラ○ハリケー…って違うか。
低空まで降りてきたサラマンダーを駆る、サーベルタイガーみたいな戦い方を……と思ったら斜め上の戦い方だった?!
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