表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第7章 お祖父様のお邸に行ったのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

392/486

392ー魔鳥

 次の日も朝から馬車に揺られていた。お昼は宿屋で作ってもらったお弁当を食べた。

 ゆっくりと食べ、少し休憩したらまた馬車だ。お祖父様のお邸まではまだ何日も掛かる。

 俺はお昼を食べたら眠くなる。それはどこでも変わらない。馬車の中で、お祖母様に抱っこされながらスヤスヤと眠っていた。

 どれくらい経っただろう? ガタンと急に馬車が止まった振動で俺は眼が覚めた。


「わふ」

「ん……ぴか?」


 ピカが魔獣だと言っている。だから馬車が止まったのかな?

 直ぐに馬車の外が騒がしくなって、馬車の扉が開いたと思ったらテオさんがいた。


「お祖母様、魔獣です。馬車から出ないでください」

「テオさん、私達も出るわ!」

「リア、レオ、危険だぞ!」

「大丈夫よ!」

「ええ、手伝いますよ」

「頼む! レオ、弓を使えたよな!?」

「はい!」

「持ってきているか?」

「ええ、もちろんです」

「じゃあ弓を頼む!」

「はい! ピカ、僕の弓を出して」

「わふん」


 ピカがレオ兄の弓を出すと、リア姉とレオ兄が自分の武器を手に馬車を降りて行く。

 えっとぉ……魔獣だとテオさんが言っていた。俺はまだ寝ぼけ眼をパチパチと瞬いていた。


「ロロ、起きるんだ」

「にこにい、まじゅう?」

「ああ、らしいな。ピカ、俺とロロのピコピコハンマーを出してくれよ」

「わふん」


 ピカさんがピコピコハンマーをコロンと二つ出した。そっか、念のため俺達も準備しておかなきゃ。ピカがいるから大丈夫だけど。そうだ、チロだ。


「キュルン」

「ちろ、おねがいなのら」

「キュル」

「にこにい、あけて」

「おう、チロだな」


 ニコ兄に馬車の扉を開けてもらって外を見る。


「ニコ、ロロ、危険よ」

「お祖母様、大丈夫だ。チロがみんなを守ってくれるんだ」

「え? チロが?」


 そうなのだよ。チロがみんなの防御力をアップさせてくれる。しかも最近では、回避能力も高くしてくれるらしい。と、これはクリスティー先生が教えてくれた。

 クリスティー先生は、興味深げにチロを見ていたから。きっと精霊眼で見たのだ。


「ちろ、おねがいなのら」

「キュルン!」


 チロが俺の頭の上に乗って、一鳴きした。


「まあ! チロが光ったわ!」

「だろう? これでみんなの防御力ってのが高くなるんだって」

「そうなのね。チロ、有難う」

「キュル」


 お祖母様が、俺の頭の上にいるチロをそっと指で撫でた。蛇さんなのに怖くないらしい。まだ小さいし子供だからね。


「チロはとても綺麗ね。ピカピカしているわ」

「しょうなのら。ぴかと、おなじいろなのら」

「あら、そうね。ピカもとても綺麗ですもの」

「わふ」


 ピカが、危ないからちゃんと中に入って。と言った。でも俺は見たい。だから馬車の扉を開けたままで、ニコ兄と並んでお外を見ていた。二人でピコピコハンマーを握って。

 どんな魔獣なのだろうと思ったら、獣ではなく魔鳥さんだった。だからテオさんがレオ兄に弓をと言っていたのだ。

 魔鳥さんと言えば、コッコちゃんなのだけど全く違う。コッコちゃんは飛べないもの。

 俺達のすぐ前を走っていた、商人の馬車の一団が魔鳥の群れに襲われていた。それも荷台に幌の掛かった馬車が、集中的に狙われている。

 その魔鳥さんはお顔と尾羽は白色で、体はどす黒い赤だ。鮮やかな赤ではない。すこし黒っぽい赤で不気味だ。鋭いゴールドの眼と眼の間に、短い角が二本縦に並んでいる。

 不気味な色の翼を広げて、馬車の上空に群れて飛んでいる。一体何羽いるのだろう? そこだけ異様な雰囲気になっている。


「きっとあの馬車に、食料を沢山積んでいるのね。だから狙われたのだわ」

「ひょぉー」

「すげーな、空から落ちるみたいに攻撃してくるぞ」


 魔鳥がオレンジ色の鋭い嘴を武器に、幌馬車に突っ込んでいく。そして、狙った獲物を鋭い爪のある大きな足で掴み飛び立つ。翼を広げると、何メートルになるのだろうというくらいに大きい。

 でも俺達はお墓参りの時に、もっと大きなロック鳥を見ている。だから大きさに驚きはしなかった。

 その魔鳥の群れが、狙いを付けた獲物に向かって体の向きを変え、真っ逆さまになった。そして翼をたたみ鋭い嘴で空気を切り裂き、上空からまるで弾丸の様に急降下してくる。

 そのまま馬車の荷台の幌を突き抜け、中の食料を持って行くのだ。

 そのスピードには思わず息を呑む。寝起きでまだ少しポヤポヤしていた俺の頭も、一気に目が覚めた。あれはもし中に人が乗っていたら、一溜まりもない。


「ひょぉー! にこにい、こわこわなのら!」

「アハハハ、ロロは怖がりだからな」


 だってあんな攻撃、反則だろう? 空から一直線に、目にも留まらぬ速さで突っ込んでくるのだぞ。あんなの避けられない。

 その時だ。マリーの大きな声が聞こえた。


「あらあら! 駄目ですよ! 出たら駄目です!」


 え? 何だろう? マリーのそういう声が聞こえた直ぐ後に、俺達の馬車の横を走って行く小さな集団があった。


「ピヨ!」

「キャンキャン!」

「ピヨヨ!」

「アンアン!」


 ああ、忘れてた。この子達もいたんだ。口々に、出遅れたアルね! やるぞー! なんて言いながら走っている。


お読みいただき有難うございます!

リリのコミカライズ公開で、投稿が遅くなってしまいました。

やっぱリリは最初の書籍化という事もあり、感無量です。ここまで長かった!

宜しければ、コミックアース・スター様でお読みいただけると嬉しいです!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
意気込みは良し……しかし、空に対してどう出るやら ……今まで出番がなかった弊害ですかね?(違
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ