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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第6章 辺境伯領に行ったのら

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383ーディさんが

 お祖母様のその一言で、俺は両手を出していた。抱っこして、お祖母様のお膝に行くと。


「ロロ」


 そっと抱き上げて、横向きにお膝に乗せてくれた。そのまま腕を回して優しく抱きしめてくれる。


「ああ……本当に会いたかったの……」


 お祖母様がまた涙を流した。それを見ていたお祖父様も、また大粒の涙を流している。手でお顔を覆い、上を向いてむせび泣いている。

 こんなに愛情豊かな両親に育てられた母様の、為人(ひととなり)がうかがえるというものだ。

 母様もきっと優しくて、愛情豊かな人だったのだろう。


「ありがとうなのら」

「ロロ……?」

「しゃがしてくれて、ありがとうなのら」

「ロロ!」


 お祖母様が俺をギュッと抱きしめる。それを見ていたお祖父様。体育会系だからね。


「ロロ! 次は私の膝においで!」


 空気を読まない発言だ。お祖母様としんみりして感動の場面なのに。両手を出して期待に満ちた眼差しで見つめられた。


「私の番だッ!」

「あなた、少し煩いですわよ」


 お祖母様に叱られちゃっている。

 ふふふ、まるでイシュトさんとネリアさんみたいだ。


「私もロロを抱っこしたいんだ!」

「ロロは私が良いって言ってますわよ」

「そんな事は言ってないじゃないか!」

「ふふふ、おじいしゃま」


 俺はお祖父様に両手を出した。俺を抱っこするしないと言い合いしている二人を見ると、もう緊張なんて吹っ飛んでしまった。

 レオ兄の隣に座っていたお祖父様が、席を立ったかと思うとビュンッとやってきた。

 俺をそっとお祖母様のお膝の上から抱き上げる。ガッシリとした身体付きから受ける印象とは違ってそっとだ。

 壊れ物を扱うみたいに大事に抱き上げ、胸に包み込む様に抱えられた。

 優しく抱っこしているのだけど、まるで俺の存在を確かめるかの様な力強さも感じる。


「リア、レオ、ニコ、こんなに小さなロロをよく守ってきた。今迄よく頑張ったな」


 お祖父様が、リア姉達を順にしっかりと見ながら言った。そうだよ、俺はみんなに守られてきた。

 リア姉、レオ兄、ニコ兄、そしてマリー達がいなければ、俺は生きていなかったかも知れない。

 ニコ兄が膝の上に置いた手を、ギュッと握りしめている。それにお祖父様は気が付いた。


「ニコ、どうした?」

「俺……俺は、なんもできなかった。ロロが攫われた時だって、待ってるしかなかったんだ」


 ニコ兄はそんな事を思っていたのか?

 そんな事はない。いつも俺の世話をしてくれるのはニコ兄だ。


「ニコ、それは違うよ」

「けど、レオ兄」

「あの時は僕達だって、何もできなかった。ニコが気に病む事はないよ」

「そうよ。ディさんだって、あんな事をする方が悪いんだって言っていたでしょう?」

「リア姉、でも俺はまだ小さいから……」

「ニコ、あなたがお野菜や薬草を育てていると聞いたわ」


 お祖母様がそう言った。そんな事も知っているのか。


「おう、そうだぞ。美味しい野菜を食べてほしいんだ。それに俺が育てた薬草で、レオ兄とロロがポーションを作るんだ」

「何もできない事はないじゃない。充分みんなの役に立っているわ」

「そうかな?」

「にこにいは、いちゅもほっぺを、ふいてくれるのら」

「まあ、ロロのほっぺを?」

「しょうなのら」


 俺を抱き上げたまま、黙って話を聞いていたお祖父様がニコ兄の側に行き片膝をついた。

 そして大きな手で、ニコ兄の頭を撫でた。


「良い兄だ。ニコは責任感が強いのだろう。ニコだって、まだ甘えていても良い歳だ。なのに、ロロが心配なのだな。可愛いのだな」

「当たり前だ。ロロは俺の弟だからな」

「ニコもロロを、守っていたのだな。偉いぞ」


 優しくニコ兄の頭を撫でている。よくやったと褒めているみたいだ。


「お、おう……ありがとう。お祖父様」

「ニコォ!」


 とうとう俺を抱っこしたまま、ニコ兄に抱きついたお祖父様。

 それは無理があるぞ。ニコ兄のお顔がとっても近くにあったから、思わず俺もニコ兄の頭を撫でた。


「にこにい、ありがと」

「何言ってんだ。当たり前じゃないか」


 二ヘラッとニコ兄が照れ臭そうに笑った。ふふふ、俺は幸せ者だ。


「これからは私達がいる。リア、レオ、安心して頼って欲しい」

「有難うございます」

「そうよ、リアは私が立派なレディに育てるわ」

「え? お祖母様?」

「剣も良いけど、レディとしても恥ずかしくないようにしないといけないわ」

「は、はい」


 あらら? もしかしてお転婆な事もバレちゃっているのかな? ディさん、どれだけ話しているのだよ。

 クリスティー先生が教えてくれた。

 テオさんとジルさんが俺達の家に来た時点で、ディさんはクリスティー先生に連絡をとった。

 俺達がオードラン侯爵家の孫だと、確実になったからだ。

 だけど、いくら転移ができると言っても万能ではないらしい。ディさんは、母様の実家を知らなかった。知らないところに転移はできない。

 だから一度この辺境伯家に転移し、行った事のあるクリスティー先生が一緒に転移して、隣国のオードラン家に行ったのだそうだ。

 それから何度も色々話し合って、この辺境伯家で落ち合う事になったらしい。その後、お祖父様達が日程を決めテオさんにお手紙を出した。

 そんなのいつの間にやっていたのか、俺だけじゃなくリア姉達も知らなかった。


お読みいただき有難うございます!

ニコはまだ小さいのに、ちゃんとロロのお兄ちゃんなんですね。

最近、ニコの健気さに心打たれる作者です。^^;

キャラの性格がハッキリ決まると、こんな時はどうするだろう?と、考えなくても役割が決まる事があります。

ちゃんと設定しなきゃ!と、痛感しますね〜

寒い日が続きます。風邪やインフルエンザにはお気をつけください。

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レオ兄はいつもフォローの人です。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
ニコも、なろうの主人公やってそうなスペックと経歴持ちですよね(優秀な兄と、神に魅入られた弟に挟まれたとかなんとかで) レディの教育……「それではガ○ダムファイトォ」「レディ」「ゴー!」(違 あ…
漸くお祖父様達と出逢いましたね。 行動力ありそうでも年齢や隣国からの距離を考えたら、若者が探しに出ますよね。 執事さんみたいに無理させられないだろうし、周りも止めますよ。 それにしても執事さん、辺境伯…
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