382ー緊張しちゃった
「クリスティー先生、このピカとチロが、ディさんが言っていた?」
「ええ、そうでっす」
「そうか、ピカ、チロ、よく皆を守ってくれた。助けてくれていると聞いた。ありがとう」
「わふん」
「キュルン」
ディさんが話していたのか? え? いつ? どうやって?
「ロロ、まだいるのだろう?」
「あい、みんなー! しぇいれちゅー!」
「アンアン!」
「キャンキャン!」
「ピヨピヨ!」
「ピヨヨ!」
俺が大きな声で呼ぶと庭のどこからか、リーダーを先頭にフォーちゃん達とイッチー達が転げるように走ってきた。相変わらず速いなぁ。
「これは、素晴らしい!」
「ワッハッハッハ! 凄いでしょう!」
「ああ、フリード殿。これは驚いた」
俺の前に整列しているから、順に紹介した。
「ワシもゴーレムを、ロロに作ってもらったんだ!」
「なんとぉッ!」
二人共、声が大きい。この世界のお爺さんって、みんな声が大きくて元気なのか? 体育会系ばかりじゃないか。
いや、お祖父様の領地はここと同じ、隣国の辺境になる。よく似た環境なのかも知れない。だから力が必要なのかも。
「さあさあ、中へどうぞ。ルイーゼ様、お着替えなさいますか?」
「あら、良いかしら? 身体が埃っぽくなっちゃって」
「馬に乗ってこられたのですから」
ネリアさんが仕切って、やっとお邸の中に入った。
言っておくけど、俺は絶賛寝起きだからね。それにオヤツの時間だ。オヤツの時間はお腹が覚えているのだ。
「まりー」
「はいはい、ロロ坊ちゃま。オヤツもご用意してますよ」
「ありがと」
「そうだわ、あなたがマリーなのね?」
中に入りかけていたお祖母様が、俺達の会話を聞いて振り向いた。
「はい、ご挨拶が遅くなってしまって」
「よく一緒にいてくれました。感謝するわ。ありがとう」
「何を仰います。私はお世話になったのです。ずっと坊ちゃまと嬢ちゃまの、お側にいたいと思っております」
「マリーも息子さん夫婦を亡くしたと聞いたわ。それなのに、気丈に支えてくれたのね」
「とんでもありません」
俺達の事を全部もう知っているみたいだ。これもディさんが話してくれていたのかな?
本当にいつ話していたのだろう? だって毎日うちに来て、小躍りしながらお野菜を採っていたのに。
「ロロ、どうしました?」
「しぇんしぇい、ふしぎなのら」
「何がですか?」
「でぃしゃんが、はなしてくれたの?」
「そうですよ。ディはルイーゼ様達と話していましたよ」
「じぇんじぇん、しらなかったのら」
「ふふふ、ディもエルフですからね」
うん、意味が分からない。多分、エルフだから転移で隣国だって直ぐに行けるという意味だと思うけど。俺達に何も言わないで、色々準備してくれていたのか。
ああ、そんな事を考えたらディさんに会いたくなってきた。
お邸の中に入ろうとしたら、クリスティー先生がどこからか立派な弓を取り出した。ディさんが持っていた弓と意匠がよく似ている。
何をするのだろうと、見ていたのだ。するとディさんと同じように、グリーン色した魔法の矢を番えて空高く射った。
クリスティー先生が放った矢が、ヒューッと雲を切り裂くように高く遠くへ飛んで行く。これはあれだ。ディさんもやっていたエルフの連絡手段だ。
「しぇんしぇい、でぃしゃんに?」
「おや、知っていましたか?」
「でぃしゃんが、やってたのら」
「そうですか。ディに知らせておきました。無事に到着されたとね」
「しょっか。でぃしゃん、ろうしてるかなぁ」
「寂しいですか?」
「ちがうのら、ちょっぴりあいたくなったのら」
「ふふふ、仲良しですね」
「しょうなのら」
だって俺はディさんに沢山助けられたから。実際に命を助けてもらった事だってある。
ディさんがいなかったら、こうしてここにも来られていなかったかも知れない。
「でぃしゃんに、ありがとういうのら」
「ふふふ、そうですか?」
「しょうなのら」
もう当たり前の様に、クリスティー先生に抱っこされてお邸の中へ入って行った。
応接室に入って、やっと落ち着いた。俺達4人を挟むようにして、お着替えをしてきたお祖父様とお祖母様が座った。お祖父様の涙もやっと止まった。
俺は何故か、クリスティー先生のお膝の上だ。
「ふふふ、クリスティー先生と仲良しなのね」
「しょうなのら」
「ロロ、お祖母様のお膝にいきますか?」
「え、いいのら」
「おやおや、恥ずかしいですか?」
「しょんなことないのら」
いやいや、お祖母様と言っても今日が初対面なのだよ。俺って時々人見知りを発動しちゃうから、急にそんな事は言わないでほしい。緊張しちゃうじゃないか。
「ロロ、嫌じゃなかったらお祖母様のお膝にこない?」
「えっちょぉ……」
「ロロ、何緊張してんだよ」
「にこにい、ちょびっとなのら」
「あら、緊張しているの?」
「らって、はじめましてなのら」
「そうね、でもあなた達の事を忘れた事はなかったわ」
連絡を取っていないと母様が話していたと聞いた。それでも、俺達が生まれた事は知っていたのだろう。会いたいと思っていてくれたのだろうか?
「えっちょぉ……あいたいとおもってくれたのら?」
「そうよ、とってもとっても会いたかったわ」
「おばあしゃま……」
お読みいただき有難うございます!
ロロは時々人見知りになってしまいます。無理強いしては駄目なのですね。
ちびっ子って、そんな感じじゃないですか?^^;
辺境伯家にやって来て、ロロとニコは爺ちゃん二人と一緒に毎日遊んで色んな事を経験してきました。ルルンデにいた頃より、アグレッシブに動いているはずです。
たった3日間ですが、そんな日々がロロの気持ちに影響しているかもです。
皆様毎日寒い日が続きますので、本当に体調にはお気をつけ下さい。
私は風邪をもらってしまいました。( ̄◇ ̄;)
ワンちゃんは、少し持ち直してくれたのですが、まだまだ目が離せません。
温かいお言葉も頂きました。有難うございます!
毎日感想を有難うございます!
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元気なイラストを!




