380ー到着
「ロロ、とっても可愛いでっす」
「しぇんしぇい、しょう?」
「はい、そうでっす」
ふふふん、ならいいや。みんな頑張ってこの領地を守ってね。
時間がないからイッチー達みたいなお帽子は作ってあげられないけど。でもきっとクリスティー先生が、どうにかしてくれるだろう。
「ロロ! 有難うなッ!」
「ふふふん、いいのら~」
「ワッハッハッハ! ロロは可愛いぞぉッ!」
そしてまた、ヒョイと抱き上げられてしまった。そのままフリード爺の肩に乗せられる。肩車じゃなくて、片方の肩に座らされたのだ。
フリード爺は片手で、軽々と俺の身体を支えてくれている。
「よぉしぃッ! 邸まで走るぞぉッ!」
「キャンキャン!」
俺を肩に乗せたフリード爺を先頭に、新ゴーレム達が走って付いてくる。
イッチー達より二回りほど大きく作った子達。それでも、小さい。小さな体で弾むように走ってくる。
キャンキャンと鳴き、尻尾をブンブン振りながら。正に、フリード爺がボスだ。
俺は風を感じながら、フリード爺の頭に掴まっている。フリード爺だけじゃなく、ラン爺もイシュトさんも身体が大きい。
そんな人達に抱っこされると、俺にとっては未知の高さになる。目線が全然違うのだ。
ルルンデにいる時は、こんなにしょっちゅう抱っこされたりしなかった。ピカに乗っている方が多かったから。
こうして抱っこされると思うのだ。俺達の事を可愛がってくれているのだと。
それが伝わってくる。ガシッと俺の身体を支えてくれる手から、乗った肩の温かさから、一緒に走ってくるラン爺の笑顔から。
「ひょーッ! はやいのら! ふりーろじい、もっとはやく!」
「ワッハッハッハ! よぉーしぃ! しっかり掴まっているのだぞぉーッ!」
それからみんなでお昼を食べて、俺はお昼寝をした。今日もクリスティー先生が一緒だ。丸くなって、クリスティー先生にくっついて眠る。
朝から海へ行って疲れていたから、とってもぐっすりと眠っていたのだ。
「坊ちゃま、ロロ坊ちゃま」
「ん、んんー、まりー……」
「起きて下さい」
「んー、まらねむねむなのら。ろうしたのら?」
「お祖父様とお祖母様が、もうすぐお着きになるそうです」
「え……」
早くないか? もう着いたのか? テオさんが、早くても今日の夜くらいとか言ってなかったっけ?
えっと、まだ頭が起きていないのだけど。取り敢えず起きよう。
「あらあら、汗かいてますね。お着替えしましょうか」
「しょう?」
「はい。汗を拭いてからお着替えしましょう」
見るとピカも身体を伸ばしながら起きている。いつの間にかクリスティー先生がいない。
ふぅ~、ドキドキしているぞ。ていうか、こっちに来てからずっとソワソワと落ち着かない。
緊張しているのかな? いや、そんな事はないのだけど。珍しい事ばかりだからかな?
マリーにお着替えをさせてもらって、下りて行くと騒がしかった。みんな玄関先に集まっている。
「ロロ、起きましたか?」
「しぇんしぇい、しゃきにおきたの?」
「はい、外が騒がしくなりましたからね」
そうなのか? 俺は全然気が付かなかった。なんでも、先ぶれの人が着いたのだそうだ。お祖父様とお祖母様より先にひとっ走りして、もうすぐ着くよと教えてくれる人らしい。
ハアハアと荒い息をしたお馬さんを連れていく人がいる。すっごく急いで走ってきたというのが伝わってくる。
そして、ちょっと疲れた様に歩いて行く男の人。本当はパリッとした隊服なのだろうけど、少しヨレッとしてしまっている。
あの人が走って知らせに来た人なのかな? ご苦労様だ。
その後、俺達が玄関先で少し待っていると、パッカパッカとお馬さんの蹄の音がした。それも複数だ。
「あー、やっぱお祖母様も馬で来たんだ」
「ふふふ、そうみたいですね」
テオさんとジルさんが、それだけで分かったらしい。えっと、お祖父様だけじゃなくてお祖母様も馬に乗っていると言う事なのかな?
この領地の人達といい、お祖父様やお祖母様といい、信じられないくらいにアクティブだ。もうお年なのだろう?
「お元気なんだよ」
「ええ、とっても」
へえ~、どんな人なのだろう? 怖い人じゃなければ良いのだけど。
そう思って外を見ていると、淡いグレーの体色をした大きなお馬さんが見えてきた。よく見ると、額には立派な角が大小2本ある。この馬も魔獣だ。普通の馬じゃない。
そこに颯爽と跨っている、お祖父様とお祖母様らしき人が見えてきた。
お祖父様はフリード爺達の様な格好をしている。細身でかっちょいい。
お祖母様は長い髪を綺麗に纏めてリーゼさんが着ていたようなパンツ姿だ。
二人とも馬に乗っている姿勢がとっても綺麗だ。軽く手綱を握り、背筋が伸びているのに肩に力が入っていない。軽く馬を走らせながら、真っ直ぐにこちらを見ている。
お邸の敷地に入るとスピードを落とし、ゆっくりと停まった。その馬から華麗に降りてきた二人。
テオさんとジルさんが、小走りに近寄って行く。
「お祖父様、お祖母様、早かったですね」
「テオ、何を言っている。気が急いてじっとしておれんかった」
「本当よ、もっと早く来たかったのだけど色々準備もあったのよ」
お祖父様とお祖母様、はじめましてなのだ。
お読みいただき有難うございます!
やっと登場、お祖父様とお祖母様です。
この辺境伯家に滞在中は、ロロを思い切り遊ばせてあげたかったのです。
ルルンデではいつも、マリーと二人でお留守番でピカに乗ってお散歩していたロロを、色んな大人に構われて一緒に遊ぶ事が目的でした。
前世のロロも早くに一人になってます。駆け引き無しの愛情をたっぷりと感じて欲しかったのです。
お話の進行は遅くなってしまいましたが、ずっと読んで頂き嬉しく思ってます。有難うございます!
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宜しくお願いします。
愛情をしっかり感じると、夜泣きもなくなるかも。




