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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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38ーポーション

 ギルドに入って俺は超驚いた。


「ぴゃ……」

「あらあら……」


 マリーも思わず立ち止まって見ている。

 何故ならギルドの長椅子の上に、血まみれの女の人が横たわっていたのだ。

 服装を見ると冒険者っぽい。艶々な、くるみ色の髪が血で汚れている。腕とお腹のところが血まみれで、顔色も真っ青なのだ。

 うッ……ちょっと俺、無理かも。まともに見ていられないのだ。思わずマリーにしがみついて目を逸らした。


「あらあら、坊ちゃま」

「血がいっぱい出てた。あのぽーしょんれらいじょぶかな?」

「どうでしょうね」


 ディさんは中級ポーションだって言ってたけど。でも俺はその中級がどれ位のものなのかを知らない。

 だって、あのポーションは擦り傷くらいにしか使った事がないからだ。俺が転んだ時用なのだ。

 それよりも……おねーさんに聞いてみよう。


「ねえ、でぃしゃんは?」

「それがね、今日は来ていないのよ。ディさんは、本気で冒険者をやっていないから来ない時もあるのよ」

「へぇ~」


 本気で冒険者をしていないのに、SSランクなのかよ。エルフってとんでもねーのだ。

 ディさんがいたら、きっと回復魔法で治してくれるだろう。なのに、今日はいない。

 肝心な時にいない。どこかで特盛りの野菜サラダを食べているんじゃないか? と、思ってしまったのだ。


「ロロ! ポーションは1本しか持っていないよな!?」


 相変わらず、大きな声で話しながらギルマスが近寄って来た。


「ううん、まらある」

「そうか、あるわけないよな……って、あんのか!?」

「うん、ぴかがもってる」

「なんだとぉッ!?」


 もう、ほんと声が大きい。


「れも、ぎるます。ここれはだせないのら」

「お、おう! そうだな、奥へ行こうッ!」


 ギルマスに付いて行く。と、ピカがこんな騒ぎの中、落ち着いてお座りをしている。欠伸までしているのだ。

 こらこら、ピカも行くのだよ。話を聞いていなかったのか? ピカが持っているポーションが必要なのだよ。


「ぴか」

「わふ」


 フサフサな尻尾を揺らしながら、のっしのっしとやって来た。

 ギルドの1番奥にある扉を開けて入って行く。手で押せば両側に開く扉だ。

 入り口が広いのは、大きな魔獣を持って来ても入れるようにかな?

 ピカは慣れているみたいなのだ。今までも入った事があるみたいだ。中に居たおじさん達も、ピカに手を振ってくれたりしている。


「ここならいいだろう。ポーションを出してくれるか?」

「うん、ぴか」

「わふぅ?」

「え、わかんない」


 『わふぅ?』と、見つめられても俺にはワンちゃん語は分からないぞ。


「わふ……」


 ピカが目で訴えている。

 直ぐに忘れる、触ったら伝わるのに。て、言われたみたいだ。忘れてないのだ。はいはい、ピカに触りますよ。

 ピカの背中を手で触る。ピカに触れていると、何を言いたいのか分かるのだ。


「わふわふ」

「ぎるます、なんほんいるかきいてるのら」

「え? 何本もあんのか?」

「うん。多分、れおにいがもたせてるから。しらないけろ」

「さっき倒れていただろう? あの冒険者の傷が酷くてもう1本必要だ。この後直ぐに、もう1人運ばれてくる。だから、3本くらいあるか?」

「ぴか、3本らって」

「わふッ」


 と、ピカが3本ポーションをコロンと出した。どこから出てくるのだ?


「助かった! 2階に案内させるから待っててくれるか!?」

「うん」

「ロロくん、ピカちゃん有難う! じゃあ2階に行きましょうね」


 おねーさんが案内してくれる。前にも入ったギルマスの部屋かな?

 扉を出て、2階へ向かう階段をマリーに抱っこされて上がっていたのだ。


「ロロ! マリー! ピカ!」

「あ……」

「あらあら、丁度良かったですね」

「ね~」


 リア姉とレオ兄が、ギルドに戻って来たのだ。無事で良かったのだ。


「どうしたんだ?」

「たまたま通り掛かったんですよ」

「そうなの? びっくりしちゃったわ」

「ぽーしょんあげたのら」

「ああ、ロロがいつも持ってるのかい?」

「うん。しょれと、ぴかのも」

「そんなに?」

「でも、怪我が酷かったものね」

「ね~」


 階段の途中で立ち話をしていたのだ。


「ギルマスが、2階で待っているように言っているので案内しますね」

「私達も行くわ」

「はい、こちらです」


 ギルドをよく知っている、リア姉とレオ兄がいると安心だ。何より無事で良かったのだ。


「まりー、よかったね~」

「そうですね。安心ですね」

「わふ」


 やっぱマリーも同じ事を考えていたのだ。

 前と同じ部屋に案内されて、またお茶を出してくれた。今日はジュースじゃないのだ。俺はちびっ子だからジュースの方が良いんだけど。


「こんな時に、ディさんがいてくれたら良かったのにね」

「本当だ」

「でぃしゃん、いないっていってたのら」

「そうなのよ。滅多にいないの」

「へ~」

「きっとどこかのお店で大量に野菜サラダを食べているのよ」

「姉上」

「ふふふ、それっぽいでしょう?」

「確かにね」

「ぶふふ」


 俺もさっき同じことを思ったぞ。みんな思う事は同じなのだ。


「僕達も1年ギルドに通っていて、話したのはあの日が初めてだからね」

「そうね、チラッと見掛ける程度よね」

「ほ~」


 ピカが寝そべっている。もしかして、お腹が空いたのか? 背中をナデナデする。


お読みいただき有難うございます。

ご存知でしょうが、なろうさんのランキングページが新しくなりした。

前の方が良かったよぉ。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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