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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第6章 辺境伯領に行ったのら

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375ー餌付け?

「リア姉、何言ってんだろうな」

「りあねえは、じぇったいむりなのら」

「アハハハ! そうか?」

「そうだよ、フリード爺が言うように鍛練もまともにできないのにさ」

「ニコは厳しいな」

「ラン爺、そんな事ないぞ。普通だぞ」


 そうそう、誰が見てもリア姉ができるとは思わない。あんな細い腕で、どうやって掴まるのだ。まだレオ兄の方が可能性がある。でもレオ兄はしないと思うけど。


「ニコ、ロロ、こっちに来なさい」


 フリード爺に呼ばれちゃった。何だろう? もちろん俺達は乗れないぞ。


「よし、行こう」

「らんじい、あるけないのら」

「揺れるから抱っこしてやろう」


 俺はラン爺にヒョイと抱っこされ、ニコ兄はラン爺に手を引いてもらいながらフリード爺のいるところまで移動した。


「フリード爺、めっちゃかっちょよかった!」

「ワッハッハッハ! そうか!」

「しゅごいのら!」

「そうかそうか! ワッハッハッハ!」


 フリード爺が嬉しそうに笑った。だって、本当に凄かった。


「ランベルト、ロロを抱っこしていてくれ」

「ああ、分かった」


 何をするのかと思って俺は見ていた。抱っこしてくれている、ラン爺の首元に掴まりながら。

 フリード爺が持ってきていた箱の中から、大きなお肉の塊を出した。それを海にポーンと山なりに高く投げた。

 そのお肉目掛けて、さっきのイルカの魔物さんが高くジャンプしてパクリと食べ、一回転してザブーンと飛沫をあげて海に飛び込んでいく。

 どこかのイルカショーでも、こんな事をしているかどうか分からない。


「え!? クルッて!」

「食べたぞ!」

「見ていなさい、まだだよ」


 今度はフリード爺がお肉を手に持って伸ばした。船から手を伸ばし、海面の上に出す感じだ。

 そのお肉を、またイルカの魔物さんが軽くジャンプしてパクリと食べた。お肉だけを上手に食べる。まるで、餌付けだ。てか、手を食べられたりしないのか?


「フリードお祖父様! 私も!」

「おう、気を付けるんだぞ」

「はい! 大丈夫です!」


 今度はリーゼさんがお肉を持って手を伸ばす。

 するとそこにやってきたイルカさんの魔物。ジャンプすると、上手にパクリとお肉を食べた。


「ふふふ、可愛いわ!」


 え、可愛いのか? 頭に角があるのだぞ。それでもイルカさんと言えばイルカさんだけど。


「ニコとロロもやってみるか?」

「ラン爺! 俺やりたい!」

「よし、じゃあ肉を持ちなさい」

「おう!」

「ニコ、大丈夫か?」

「そうよ、ニコ。手も食べられちゃうわよ」


 レオ兄とリア姉が心配そうだ。だってニコ兄はまだちびっ子だし、大丈夫なのかな?


「らんじい、らいじょぶ?」

「ああ、大丈夫だ。ロロもやってみるといい」

「ええー」


 ニコ兄がフリード爺に支えてもらいながら、手を海面の上に出す。

 するとどこからかススイ~ッとやってきたイルカの魔物。そして軽くジャンプしてパクリとお肉を食べた。


「うおーッ! こえー!」

「にこにい!」

「ロロ! めっちゃ怖いぞ!」

「ええー!」


 怖いと言いながら、ニカッと笑っているのはどうしてだ?


「アハハハ! こえー!」


 ほら、怖いと言いながら笑っている。どっちなんだよ。


「思わず手を引っ込めたくなるんだよ。でも、そこをグッと我慢するんだ」

「ひょぉー!」

「アハハハ! 次はロロもやってみるか?」

「らって、らんじい。こわこわなのら」

「大丈夫だ。私が抱っこしているから」


 いやいや、手を出すのだから抱っこは関係ないじゃないか。


「向こうも慣れているから平気だぞ」

「ふりーろじい、ほんちょに?」

「ああ、本当だ!」


 じゃあ、やってみようかな? と、お肉を持つ。だけどそのお肉が重い。だって大きいお肉だから。お肉を持つ手がプルプルしちゃうぞ。


「らんじい、おもいのら」

「アハハハ、重いか。じゃあ私が一緒に持ってあげよう」


 片腕で俺を抱っこして、もう片方の手で一緒にお肉を持ってくれる。大丈夫か? 不安定じゃないか? 言っとくけど、俺は怖がりだぞ。


「らんじい、こわこわ」

「アハハハ、大丈夫だ」


 ススイーッと泳いできたイルカの魔物。海面から角だけが出ている。おっと、マジで怖い。間近で見ると思ったよりずっと大きい。


「ひょ、ひょぇーッ!」

「ロロ、まだだぞ」

「うん!」


 ラン爺が一緒にお肉を持ってくれているからまだできた。俺一人だったら、絶対に手を引っ込めている。それ以前にやってない。だって怖いもの。

 やって来たイルカの魔物が、ザパンとジャンプしてお肉を咥えていく。俺の小さなお手々は無事だった。思わず、グーとパーを繰り返してやってしまう。


「ひょぉー! しゅごいのら!」

「アハハハ! できたな、ロロ!」

「こわこわ! れきたのら!」


 自分で手をパチパチと叩いて喜んでしまった。びっくりした。本当にお肉だけをパクリと持って行く。お利口だ。

 元はイルカの魔物だ。イルカって知能が高い生物だからかな。

 それにしても、大変なショーだった。手に汗握るし、心臓もバッコバコだ。


「ロロ、怖かっただろ?」

「うん、にこにい。めっちゃ、こわこわら」

「な! 怖いよな! アハハハ!」


 また怖いと言いながら笑っている。本当に怖かったのか? ニコ兄のテンションがいつもと違うぞ。いや、みんなか? 俺もそうだ。


お読みいただき有難うございます!

ロロに色んな事を体験して欲しくて、ついつい辺境伯領でのお話が長くなってしまいました。

後はあれを回収するのみです。あれです、あれ。(^◇^;)

あともう少しお付き合いください。

いつも感想を有難うございます!

とっても励みになります。

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


活動報告も投稿してます!


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
よし、ローマの休日ごっこをやって、手を食べられたことにしませふ←やめい そいや、コッコ達やゴーレム達の出番がないですね……
温かおおらか辺境伯家族との団欒にホッコリです。 いつも気を張ってるリア達も楽しめて、本当に良かったです。 後れ馳せながらロロ本、購入しました。 近所の書店が軒並み閉店して、ちょっと遠方で初版オマケ付き…
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