373ーフリード爺はアクティブ
それよりも、海だ。俺は海を満喫するのだ。
「らんじい、しゅごいのら! ひろいのら!」
「アハハハ、そうだろう。ロロは海は初めてか?」
「はじめてなのら!」
「俺もだぞ。きっとリア姉やレオ兄も初めてだと思うぞ」
「そうか、レーヴェント領には海はないからな」
「おう、湖ならあるんだけどな」
「フューシャン湖か。あの湖も大きくて綺麗だろう」
「ぴんくいろなのら」
「ロロは行った事があるのか?」
「おはかまいりれ、いったのら」
「そうか。ああ、リアとレオがスライムを退治した時か?」
「そうだぞ」
うぷッ……話しているけど、立っているけど、俺は結構ヤバイ。船酔いだ。だって船に乗るのは初めてだし、こんなに揺れると思わなかった。
ラン爺に背中を持って支えてもらって、その上ピカの背中に掴まっている。それでも右にフラフラ~左にフラフラ~とじっと立っていられない。
いかん、限界かも知れない。うぷッ。
「らんじい、きもちわるいのら」
「酔ってしまったか? これを舐めなさい」
深い緑色の、のど飴の様なものを見せてくれた。あーんとお口を開けると、口の中に入れてくれる。
ラン爺がお口の中に入れてくれた飴玉みたいな物。これはハーブかな? ちょっぴり薬草っぽい。
でもお口の中が、スーッとスッキリ爽やかだ。不思議だ。直ぐに船酔いの気持ち悪い感じがなくなった。
「すっきりするだろう?」
「うん、やくしょう?」
「そうだ。クリスティー先生が作ってくれる船酔いした時の飴だ」
「しぇんしぇいが?」
「そうだぞ」
そうだった。ディさんが言っていたじゃないか。薬草に詳しいと。
クリスティー先生に薬草の事を教わろうと思っていたのに。ポーションだって上位のものが作れるようになるかも知れない。薬湯だって作れるようになりたいじゃないか。コロッと忘れていた。
ずっと楽しくて、ウキウキワクワクしてそれどころじゃなかった。身体の中がずっとポカポカしている気がするのだ。
「俺はちょっと教わったぞ。リカバマッシュも育てるようにしたしな」
「いちゅのまに!?」
「ロロがお昼寝している時だ」
ああー、俺ってお昼寝するから出遅れてしまった。勿体ない。
「ディさんがいるんだ。またいつでも来ると良い」
「らんじい、しょう? いいの?」
「ああ、ロロ達ならいつでも大歓迎だ」
「ありがと!」
ふふふ、嬉しい。帰ったらディさんにお願いしよう。また転移で連れてってと言わなきゃ。
船がゆっくりと停まった。随分沖まで出てきたと思うのだけど。
「沖の方を見ていなさい」
何だろう? ラン爺が指差す方をじっと見ていた。すると何か黒いツルンとした細長いものが海面に飛び出して、また海中に消えたりしているのが幾つも見えた。
逆三角形の様に並んで、幾つも動いている。あれは背びれなのかな? イルカとかにある様な背びれ。それよりずっと大きいのだけど。それによく見ると角が大小二つ、海面から見えている。
「あれれ?」
「あれはイルカが魔物化したものだ。角があるだろう?」
「本当だ。二本見えているぞ」
「イルカが海中の弱い魔物を食べて、魔物化したものだと言われている。だけど気性は穏やかで、人を襲う事はないんだ」
「ひょぉーッ!」
イルカの魔物だって。確かに角があるし大きい。とっても大きいのだ。まるで小さなクジラ位の大きさがある。
その時だ。フリード爺がザバーンと海に飛び込んだ。
「ふりーろじい!」
「うわ! なんだ!?」
「アハハハ、見ていなさい」
ラン爺が笑っているから平気なのだろう。
飛び込んだフリード爺は、そのまま泳いでイルカの魔物さんの近くまで行った。すると、その魔物がフリード爺の側へ寄ってきた。
フリード爺が、待ってましたと背びれを掴んだのだ。そのまま、イルカの魔物の背びれに掴まっている。
そして、どうやっているのか俺には全然分からないのだけど、フリード爺が魔物の背中にヒョイと乗り跨って座った。
「ええーッ!」
「すげー!」
「アハハハ」
ラン爺が俺達の反応を見て笑っていた。リア姉とレオ兄も驚いて見ている。
リーゼさんは自分も行きたそうにしているけど。あれは本当にお転婆さんだ。リア姉よりずっとだ。
「あれって、ラン爺もできるのか?」
「ああ、できるぞ。だけど兄上はあそこから立つんだ」
「えぇ!? 立つのか!?」
「ああ、見ていなさい」
まさかそんな事ができるのか? だって海の中を動いているし、ツルツルしているだろうに。
でもフリード爺はラン爺が言ったように、イルカの魔物の背中でヒョイと立ち上がった。背びれに掴まり立っている。そのまま俺達に向かって、手を振ったりしている。
「しゅごいのら!」
「そうだろう? 立つのは兄上にしかできない。私はできないよ」
フリード爺って何者なのだ? もう爺さんなのに、アクティブすぎるだろう?
フリード爺を背中に乗せた魔物は、群れをなしてススイ~と泳いでいく。途中でザパーンとジャンプしたり。え? ジャンプと言って良いのか? 高く飛びあがったのだ。
それでも、平気でフリード爺は立っている。フリード爺を乗せたまま、沖に向かって泳いで行く。
海面の色が濃くなっている場所があった。いや、あれは海の中に何かいるんだ。
その部分だけ海の色が暗くなって移動している。
お読みいただき有難うございます!
海と言えば、感想でも頂いてましたがクラーケンみたいな魔物が登場するのかな? と、思いますよね〜。
ロロは違います。平和に、でも少しだけ珍しくと考えました。
海って、ココちゃんやリリに出てくるのですよ。被らないようにと^^;
海のお話は明日も続きます。
いつも感想を有難うございます!
励みになってまっす。頑張りますよ〜!
感想欄でお返事してますが、クリスティー先生は男性でっす。オネエさんみたいな喋り方の、綺麗なお兄さんでっす。^ ^
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宜しくお願いします。
ロロ②もね、やっぱ大変そうな気がする。(-。-;
書籍限定のオリジナルキャラは①で登場しましたね。オリジナルストーリーも、もしかしたら…?
まだまだ未定です。
ロロ①好評発売中でっす!宜しくお願いします!




