372ー海だ
「こうしてみんな一緒に鍛練して、一致団結する気持ちを養うのよ。魔物と交戦した時に、それが命綱になったりするの」
ほう、信頼関係が大事という事か。信じられない人に背中は預けられない。そういう事だろう。
今日はリア姉がセーブしながら鍛練している。昨日は張り切り過ぎて、一番最初にバテちゃったから。ニコ兄の方が長くもったのだもの。
「ふふふ、リアもちょっと勉強したみたいね」
いやいや、それよりも俺は驚いた。できるのだろうとは思っていたけど、リーゼさんも余裕じゃん。
パキパキと鍛練を熟している。あんなにドジっ子なのにって、それは関係ないのかな?
それにリア姉と、体型はそんなに変わらない。むしろリア姉より、ほんの少し小さくて細いかも知れない。なのに鍛練に、余裕でついていっている。
「リーゼも子供の頃から参加しているから、もう慣れているのよ。学院の寮に入って少し鈍ってしまったかしら?」
ええー、あれで鈍っているのか? それならリア姉はどうなるのだ?
結局、リア姉は今日も最後まで持たなかった。ニコ兄と同じ様なところでバテてしまった。昨日より少しマシだったけど。
「まだよく持った方じゃないかしら?」
「あらあら、エルザ。そんな言い方をして」
「だってお婆ちゃん」
「そうよね、リア嬢ちゃまにしては頑張った方だわ」
「もう、ユーリアまで」
酷い言いようだ。でもリア姉は瞬発力はあっても持久力が足りない。それは見ている俺でも分かる。もう途中からヤバイのが分かったもの。息が上がっていた。
「ああー、キッツイわ!」
「姉上は走り込みをする方が良いんじゃない?」
「レオ、そう?」
「俺もそう思うぞ」
「ニコだって、最後までできなかったじゃない」
こらこら、ちびっ子のニコ兄を一緒にするんじゃない。ニコ兄はまだ9歳だ。
「リーゼには驚いたわ。余裕じゃない」
「あら、そう? だって私は子供の頃から参加しているもの」
「そうなの?」
「そうそう、お祖父様やお父様が見逃してくれないの。もう無理矢理参加させられちゃうの」
「ええー……」
それはちょっと俺は嫌だな。俺って体力ないし、こんな鍛練なんてしたくない。
ユーリさんとテオさん、ジルさんもやっぱ余裕だった。
「りあねえ、ておしゃんにまけてるのら」
「ロロー!」
また抱き着いてきた。汗かいているのに、やめれ。
「汗をかいているだろう。着替えたら、出掛けよう」
と、ラン爺が言ってきた。今度こそ、海だ!
「しゅごいのら!」
「すげー!」
俺達は海に来ている。しかも船に乗っている。俺は前世、超インドア派だったからこんな船に乗った事がない。海だって、行きたいと思った事もない。
でも、キラキラと光る海面、どこまでも続く海原、淡い水色の空とエメラルドグリーンの海の色のコントラスト。眼が痛くなるほど鮮やかだ。
沖の方で海鳥が飛んでいる。濃い潮の匂いのする海風が、俺の短い前髪を撫でていく。どこまでも続く海。その中を波をかき分けて進む船。遠くの海面が青くゆったりと大きくふくらんでいる。
一緒に来たメンバーは、俺達四人とフリード爺、ラン爺、リーゼさんだ。それにピカとチロ。マリー達はお留守番だ。
「あらあら、マリーはそんなの怖くて無理です、気絶しちゃいますよ」
なんて大袈裟な事を言っていた。まあ、仕方ない。その間に料理を教わっていてくれないかな。
イシュトさんとユーリさんはお邸の守り担当だ。いつも誰かが残っている。いつ何があっても動けるようにだ。
イシュトさんとユーリさんが出掛ける時は、フリード爺やラン爺がお邸に残る。
ルルンデの街より、ずっと大変な土地なのだ。
「ロロ、掴まっていないと転けるぞ」
船の上でフラフラとしながら、立って前を見ている俺にニコ兄が心配してそう言った。
「にこにい、へいきなのら」
「アハハハ、ロロ。危ないぞ」
「わふん」
「ぴか、らいじょぶなのら」
ラン爺が俺の背中を、ずっと持って支えてくれている。だから俺は立っていられる。でないと、コロコロと転がってとっくに海に落ちているのだ。
ピカもずっと俺のそばにいてくれる。俺が危なっかしいのだろう。
ピカは全然平気みたいだ。普通に伏せている。トコトコと船の上を歩いたりもする。どうしてだ? ピカさんは万能なのか?
それにあのドジっ子リーゼさんが、平気な顔をして立っている。『あたッ!』と言わないのだ。
「リーゼも慣れているんだ。子供の頃から乗っているからね」
と、ラン爺が話していた。やっぱリーゼさんの体幹は凄いぞ。それに比べてリア姉だ。
俺と同じであっちへフラフラ~、こっちへフラフラ~。
「姉上、どうしてそんなに動くんだよ」
「レオ、ちゃんと持っていてよ!」
「持ってるって」
レオ兄に掴まりながら文句を言っている。これはリア姉、鍛練を頑張らないといけないと俺は思うよ。
「リアったら、腰が引けているわよ」
「だって船に乗るのも初めてなのよ!」
「でもレオは平気じゃない?」
「僕も平気じゃないですよ。でも姉上ほどじゃないかな。アハハハ」
「レオったらひどーい!」
いつの間にか、仲良しになっている。リーゼさんとリア姉て、性格も似てそうだ。
お読みいただき有難うございます!
今日は動物病院はお休みなのですが、打ち合わせが入っているので予約投稿です。
予約投稿にも少し慣れてきました。
ずっとバタバタしていて書けていないのですが、少しだけ書き溜めがあるのでなんとかなってます。^^;
年末年始は色々あるみたいなので、情報解禁になったらお知らせしますね〜
どんどん参加して頂けると嬉しいです!
今日も頑張りまっす!
いつも感想を有難うございます。
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ロロ①売り上げ好調らしいです。が、ここでもう少しブーストが欲しい!
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